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印象操作がクラスターの原因に?

クラスター、74%はブレイクスルーケース(ワクチン接種完了者)

2021年7月3~17日、マサチューセッツ州のバーンスタブル郡の町で、複数のイベントと大規模集会が行われました。期間中、何千人ものの観光客が集まったということで、クラスターが発生しました。

マサチューセッツ州でのクラスターの概要:                                                             ・予防接種率は、接種対象年齢の住民の69%  
・コロナの症例は、バー、レストラン、ゲストハウス、賃貸住宅などの会場で密集した屋内および屋外のイベント参加者に見られた。              ・469人の症例確認中、新型コロナの症状が見られた人は74%(346人)。 ・ブレイクスルーケース(ワクチン2回接種済みの感染者)は、症例確認者(469人)のうち74%
・入院5人中、未接種者は1人。接種完了者で入院した4人中、2人が基礎疾患あり。                                   ・死亡者なし                                                        ・感染者のウイルス量は、ワクチン接種者も未接種者も同じ

このマサチューセッツ州でのクラスター事例が注目されたのは、ワクチン接種(完了)者の方が未接種(接種未完了)者よりも高い割合で、コロナの症例確認をされたという点です。ブレイクスルーケースの件は、このクラスターよりも少し前から話題に上がるようになっていましたが、あくまで「感染者のほぼ全員ワクチン未接種者で、ブレイクスルーは稀なケース」ということになっていました。一部では、「ワクチン接種者が万が一感染したとしても、ウイルス量は未接種者よりも少ない」ということも言われていました。

ブレイクスルーはなぜ起こった?

CDCをはじめ、ワクチン推進派の政治家、科学者、メディアは、ブレイクスルーケースの原因をデルタ株にあるとしています。デルタに対しては、ワクチンの効果が落ちてしまうということなのですが、本当にそうでしょうか?

この手の話の最後には必ず定型文が付いてきます。「効果が低下しているとはいえ、ワクチンは、感染予防に一定の効果がある」または、「それでも、重症化や死亡リスクから接種者を非常に効果的に守っている」等です。しかし、このクラスターのケースでは「ワクチン接種者:未接種者=74:26」と、接種していない人の方が圧倒的に少ないわけで、”一定の効果がある”と言われてもピンときません。重症化(入院/症例発症)率は、ワクチン接種者は1.1%、未接種者で0.7%。大差はないものの、未接種者の重症化率の方が低かったわけです。これだけ見ると、「ん?ワクチン、意味ある?」となってしまいます。

このような状況に対し、推進派は、「ワクチン接種は、高齢者や基礎疾患を優先的に行ったため、結果的にコロナに感染・重症化しやすかった」と説明しています。年齢別のデータが公表されなかったため、年齢層は分かりませんが、基礎疾患に関しては、入院した5人の中で、ワクチン接種済み4人中2人が基礎疾患があったとされています。重症化率を見る限り(4人しかいないデータでものを言うのも何ですが・・・)、”ブレイクスルー感染で入院が必要だったケースの半分が基礎疾患があった人”であり、この推進派の説明は、このデータからはたどり着けないものです。「科学な根拠が〜」を連呼している人たちが、まさか雰囲気で回答しているわけではないですよね?

とはいえ、このデータを元に、「ワクチン接種した方が感染(重症化)しやすい」と断言できるわけではありません(断言しようとも思ってもいません)。そもそも感染(重症化)するかしないかの要因になるのは、ワクチン接種の有無だけではありませんし、英国公衆衛生庁のコロナアップデートでは、ワクチン未接種者の方が圧倒的な大多数で、デルタ(コロナ)という診断を受けています。

ここで検討しなければならないのは、本来、感染抑制が期待できたはずのワクチン接種者の中で、なぜクラスターが起きてしまったのか?という、その原因です。公開されているデータは上記しかありませんから、感染した人がどのような行動をとっていたかは想像することしかできません。

個人的に、1番の原因は、印象操作ではないかと思っています。

ワクチン推進メッセージが接種者のリスクに?

このクラスターが起こったときの、CDCのマスク・ポリシーは、「ワクチン接種完了者は、マスク着用しなくて良い」というものでした。もともとワクチンを打つメリットは、”普通の生活を取り戻せる!”っというものでした。”Masks or Vaxx?”(マスク着用か、ワクチン接種か)ということも言われていました。ですから、ワクチン接種を完了した参加者がマスクをせずに、密な環境で他者と接触していたと考えるのが自然です。

ワクチンを打ちさえすれば、2019年までの日常が戻ってくることになっていました。だから、「パンデミックが収束しないのは、ワクチン未接種者の責任!」とも。このメッセージは、本来、ワクチン未接種者を攻撃し、接種させるようにするために発せられたものでしたが、同時に「ワクチンを打ちさえすればパンデミック前と同じ行動で良い」という理解をワクチン接種者に広めてしまいました。

しかし、ワクチン接種が開始された当初は、マスク着用は引き続き必要とされていました。”着用しなくてもよい”となったのは、ファウチ博士とランド・ポール上院議員とのバトルの後だったように思います。ですから、このマスクポリシーは、科学的な判断ではなく、政治的な判断だったのではないかと、密かに疑っています。実際、CDCの海外渡航に関する規定のページでは、感染拡大国に行く場合、ワクチン接種者でもマスク着用が推奨されていました。このあたりのダブルスタンダードが「何だか臭うな」と思っていたのです。

「マスクしなくて良いよ」は、アメリカではものすごいインセンティブになります。ワクチン推進のために、マスクポリシーを変更したのだとすれば、このクラスターの責任は、CDCを初め、「ワクチンを打てばマスクなし(従来の生活)でよし」としていた人にあります。推進派の中には、「これくらいのブレイクスルーは当初からの想定内」としている人たちもいます。でしたら、なぜ、ワクチンを打っても通常の感染対策は必要と言うべきでした。

いずれにしても、ワクチンを推進しようとするがためのメッセージが、結果的に、ワクチン接種者を危険に晒してしまった感は否めません。マスク・ポリシーに関しては、パンデミック当初からおかしな点がいろいろありました。にも関わらず、いまだにCDCの助言がすべてと思っている人が多いアメリカは、やはり日本よりも強い権威主義の傾向にあるんだろうなと思います。

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