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虫メガネをつかう。

植物を言葉で表せないなら、
写真という手がある、って思いました。

植物は見ていて、確かにきれいで、
神秘的に見えることもある。

ただ、言葉では表現できない、って
思います。 

言葉だと表現が単純か、
ありきたりになってしまう。

表現しようとしているわけでも
ないけど、
もし表すとしたら、言葉では難しい。

理由は植物や自然の生き物は、
まるで神かのごとく、
人を超越した存在。

人が使う言葉は、人間界のもの。

自然界の生き物は、
人間界を超えているから
言葉で表現できないのだと思う。

だから、きれい、神秘的、心惹かれる、といった、

稚拙な表現しか思い浮かばないし、

仮に的確な単語があったとしても、
胡散臭く聞こえてくると思う。

そんなわけで、写真を撮るのですが、
これがまた、容易ではなかった。

というのは、きれい、はっきり、シャープに撮る、ということが
全てではない。

高性能の最新のカメラ、というわけでは
なかった。

これは植物を見ている時の心境も、
写真に現れるんだってことに
後から気がついたからです。

わかるようでわかりにくいことです。

たとえば、以前、色々調べて、とにかく画像が綺麗だという、

コンパクトデジタルカメラを
使っていました。

たしか、ソニーのRXM100Mというもので、とにかく
すごいレンズがついている、という。

確かに画像はとても綺麗に
撮れていたのですが、

何か物足りなさがありました。
コンパクトで使いやすく、画像が恐ろしいくらい、きれい。

画像は綺麗に映るけど、何か
冷たい感じなのか、なにか違う、どこか満たされない感じでした。

要は、写真を撮ること自体は
いいのだけど、
画像が綺麗すぎて、

楽しさや、暖かさのような、植物をみているときに感じるものがない。

映像がはっきり、くっきり、
シャープすぎて、合わなかった、ということだと思う。

カメラ、って目の前の情報をありのまま記録してくれるから、

写りよければ、全てよし、というはずだと思っていました。

でも実際は何か他にも
期待しているものが
あったようです。

たとえば、ある女性の写真を
撮るとする。

ほわっとした雰囲気を
イメージしていたのに、
顔の細かいシワ、 

化粧等で必死で隠そうとしていたものを
高性能なレンズで

全てはっきり浮き彫りにされると
困るわけです。

むしろ、だいたいきれいで、
どこか懐かしさがあるような

雰囲気がいい、って場合は
きっとあると思います。

というのも、どうやら、最近では何十年も前のレンズをつけて

デジタルカメラで撮影するのが
人気だそうだし、フィルムカメラを使う人もいる。

どこか、レトロ感のようなもの、
懐かしさを感じている人も
きっといると思う。

植物を見ている時は、
レトロではないけど、
どこか懐かしい気持ちもでてきます。

となると、その懐かしさとは、
なんだろうか、と思うと、

単に子供のときのような、
過去の思い出みたいなものです。

性能がいい新しいレンズではなく、
古いレンズをつかえばいい、と思って、

昭和の時代のレンズを
使っていました。

オートフォーカスが遅い、音が大きい、っていうことも
あるのですが、なぜか馴染む。

新しいもので
サイレントフォーカス、
物静かで素早いオートフォーカスには
驚いた。

でぉ性能はよくて、画像は
きれいなんだけど、

何か満たされないもの、ってあるなって思っていました。

私は、主に植物のマクロ撮影(要は拡大写真)を撮ることが多いのですが、

そういえば、子供の頃はよく虫眼鏡を
使っていたことを思い出した。

クローズアップ フィルターという、
拡大のフィルターという便利なものもあるのですが、 

よく見れば、虫メガネみたいなもの、って思った。

じゃ、虫メガネを使って撮影したらどうなんだろう、
って思いました。

虫メガネを手に持って
使うわけだから、
懐かしさが込み上げてくるわけです。


クローズアップ レンズフィルター。
便利ですが、つけたり外したり、
ちょっと一手間かかります。

虫メガネなら、
右手でカメラを持ち、
左手で虫メガネを持ちながら、
カメラを支える。 

安定していて、意外にも使いやすい。


虫メガネを使う。虫メガネを手で持ち、離れて撮った場合。
レンズに虫メガネをつけて撮る。



多少のブレなどありますが、
まぁ、虫メガネって結構使えます。


どこか懐かしさがあって、
植物をみている楽しい瞬間を

そのまま写真に撮れることが
わかりました。

本当は、高価なマクロレンズでも
使えば、
作品のような写真ができそうですが、

動植物は、もう何も
演じなくても完璧な芸術。
ありのままでいいわけです。

ありのままだけど、
どこか懐かしさもある、というのが、

わたしの場合は虫メガネを
使った撮影でした。

虫メガネを使うことで、昔にかえる。
そして、大人の今、カメラと虫メガネでマクロ写真を撮る。

これで、結構楽しめました。

いや、気がついたら、1時間くらい軽く経過していた、
時間を忘れていた、という状態です。

時間を気にせず、忘れるくらい、
この感覚ですね。 

子供時代というのは。

実は、マクロレンズやクローズアップフィルターを使っていた時は、

時間を完全に忘れるまでには
ならなかった。 これは不思議です。

虫メガネの魔力かもしれませんね。

虫メガネが軌道に乗れば、
3、5、10倍といった、クローズアップフィルターが
いらない。

もしかしたら、マクロレンズもなくても
行けそうな感じです。

それと何よりも大事だとおもったのは、
写真撮影時の気持ち、

虫メガネを昔使っていた、
その懐かしさを感じながら
シャッターを切る。

今と昔の気持ちの融合の状態で、
目の前の花、蝶の写真を撮る。

これだと写真撮影が楽しい、ってより思えてきます。

虫メガネの倍率があるそうなので、
色々と試してもいいかもしれません。

ただ、ポケットに入るくらいの大きさが
気軽でいいかと。

気軽さ、懐かしさや楽しさだけでない。

いろんな要素が撮影にも
影響してきます。


バナナの木。
寒冷地でも育つようです。
バナナの葉っぱ。軽く1メートルは超えています。
虫メガネ
山椒の実も結構近づいて撮れました。
あざみ

後から見ると、写真はブレていたり、ピントがあっていない。

それでも、写真を撮っている
ときの気持ちは
大事にしたいと思う。


大麦
アゲハチョウ
これくらい寄れるのが限界。
圧倒的、神秘。

やっぱり言葉にできません。
やっぱりずれていたり、
うまく撮れないけど、

それでも自然の生き物をみた時の感覚は
撮れていると思う。


たぶん、新しい機種のカメラやレンズを使った方が
ずっときれいな写真は撮れると思う。

でも、これくらいで
十分だと感じています。

むしろ、ほどよいレトロ感、懐かしさ、があるのって、

ひと昔前の製品だと
思うようになってきました。

結局、毎日同じようなところを歩き、
同じような写真を毎日とっている。

それでも飽きないのは、まずは自然が毎日変化していること。
花が咲き、または枯れる。

出会うチョウもいれば、蜂も種類が思いのほか多い。

写真に映らないのは、音と風、どこからか漂ってくる甘い香り。
(野いちごやレンゲ、その他、あらゆる花はわずかな香りを出しています。)

鳥の音なんて、
仮にビデオで撮っても、
その場で聞こえる音には敵わない。

ただ、圧倒的な自然の
美しさのようなものを
感じているから、見ていても
飽きることはない。

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