政治理論における「権力」とは「他人の望まない行為を強制する力」のことである。それは例えば「我々に従わないと攻撃するぞ」という脅しというかたちで発揮される。しかし、そういうあからさまな権力の行使は、権力者に対する反感を招き、やがて反撃される危険性を帯びる。
その点において、上手な権力の使い方をする「賢い権力者」は、あからさまに姿を表して権力を行使したりはしないだろう。著者は、PTAを国家の権力装置とみなし、その権力作用を分析する。
そもそもPTAとは何か。おそらく誰もが知っている組織でありながら、その全体像や位置づけをわかっている人は少ない。まず、PTAとは学校教育法に基づいて設置される学校に付随する組織であることを確認しよう。
この組織は、しばしば、あたかも地域のまちづくり活動、すなわち「まちの人なら誰でも使える財を供給する活動」を行う組織であるかのように理解される場合がある。しかし、それは実態と異なるようだ。