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読むまちづくり

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記事一覧

まちづくりと、オーラの泉が普及させた「語りのスタイル」との関係について

こないだお友達と、まちづくりにおいて、スピリチュアル系の動機を語る人というのは、いつごろから現れるようになったのか、というような話をしていた。お友達は直感として、東日本震災あたりに契機を見たようだ。 調べると、面白い論文があった。中村晋介『「スピリチュアル・ブーム」をどうとらえるか―福岡県内の大学生を対象とした意識調査より―』(2011)である。 要旨によれば、現在の日本では、「スピリチュアルなものへのあこがれ」、いわゆるスピリチュアル・ブームが、若い世代の間にも広がって

名張市地域づくり協議会制度について勉強した

コミュニティ政策学会で、名張市のコミュニティ政策について教えてもらったので、忘れないようにメモしておく。 名張は大阪のベッドタウンとして発達した。ベッドタウンの発達は団塊世代の大量転入によって成立する。同世代が一気に転入することで、急速に宅地化と人口増が見込めるが、その先に待っているのは高齢化と住民税の極端な減少であった。 こういった状況で地域組織によるまちづくり活動を維持するために名張市が選択したのが、自治協議会制度の導入であった。具体的には、各種団体の補助金カットと、

まちづくり活動の動機は「楽しさ」か「面白さ」か「義務感」か〜あるいはカント的道徳観の問題について

先日、コミュニティ政策学会の大会に参加した。 思えば私はこの会に20年近く参加しているのだが、こうして長く継続的にかかわっていると、やはりこういう業界でも、ファッションとかと似てトレンドみたいなものがあるのだなと思う。そういう変化の中で最先端にいないといけないとは思わないが、どういう議論が流行っているのか、ということは知っておけると面白いなと思う。 ところで、そんなトレンドに関して、大会で面白い議論があった。 一昔前に比べれば、「人々に地域活動に参加してもらうためには、

学校運営協議会における司会者の役割の重要性について

諏訪 英広、藤井 瞳、田中 真秀『学校運営協議会の会議運営に関する一考察 ―「意思形成」過程に焦点を当てて―』を読んだ。参考になった。 地域でまちづくりに関わっていると必ず目に入るのが、学校運営協議会という名前である。 学校運営協議会は、保護者や地域住民による学校運営への参画を促進するために、2004年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正(第47条の5)によって規定された制度で、次の三つの権限を持つ。 第一に、校長が作成する学校運営の基本方針の承認をすること。

Perplexityに自治体の債務負担行為について教えてもらった

知らない言葉が出てきたので、Perplexityに教えてもらった。 ・・・ 私:自治体の債務負担行為とは? 債務負担行為とは、地方自治体が将来にわたって債務を負担することを約束する行為のことです[1][2][3]。具体的には以下のような特徴があります: 1. 予算の一部として議会の議決が必要です[1][2]。 2. 翌年度以降の支出を伴う契約や債務を設定する際に用いられます[1][3]。 3. 一般家庭のローンに例えられることがあります[3]。 4. 歳出予算に

気縁コミュニティが発達してもらっては困る人の話

まちづくりを成り立たせるコミュニティというものは、以前から、物理的な近所に住んでいることで生じる縁「地縁」、志やテーマを共有することで生じる縁「志縁」があると言われてきた。私はそこに、気質や価値観が合うことで生じる縁「気縁」という視点を付け加えることを提案してきた。 地縁や志縁があっても、気が合わないためにまちづくり活動が停滞するとか空中分解するなんていうことは日常的によく聞く話だ。実際には、うまく活動を継続できている地縁組織や志縁組織は、運よく、たまたま地縁や志縁のなかに

休日だったので、chatgptに、町内会の未来を占うパネルディスカッションを開催してもらった

これからパネルディスカッションを開始します。 現在町内会は加入率の低下や高齢化で存続が危ぶまれている。ただ、では将来的にどのような姿になるのかということはあまり議論されていない。 あなたはこれから、このテーマに詳しい3人の科学者を演じる。 科学者1は、町内会が消滅するシナリオを想定する。 2は町内会が発展するシナリオを想定する。 3は町内会の機能が異なる組織に置き換えられるシナリオを想定する。 三者のディベートを記してください。 ChatGPT ディベート:町内会の将

「PUBLIC HACK: 私的に自由にまちを使う」を読みました

「PUBLIC HACK: 私的に自由にまちを使う」読みました。今まさに読みたい内容でした。面白かったです。 常々、「こんだけ豊かになった社会では、これからは、まちづくりではなく、まちつかいの方が必要だ」といってきたけど、それをパブリックハックという概念で説明されている。 ただ、この観念をわざわざ言わないといけない状況に私たちの社会はあって、本書はそのことに対する問題提起でもある。 例えば、法的には何の問題もない行為でも、それに対する不安を抱えた人々からの通報があれば警

まちづくりにおける催事(いわゆる”イベント”や”祭り”)の本質を考える

先日、まちづくり活動でしばしば好まれる催事の効果に関して質問された。ここでいう催事というのは、ステージが有り、飲食や物販や体験などができるブースが多数ある、期間限定の特殊空間のことである。 しかし、この催事のまちづくりにおける効果は案外言語化されていない。特に恒例化して「第何十回」みたいな話になってくるとそもそもその効果を問う事自体が忌避されるようになるらしい。で、狙う効果を言語化していないので、アンケートなどの形で定量的な効果測定も十分なされない。 そこで、催事の効果を

「デス・ストランディング ディレクターズカット」をクリアしました

「デス・ストランディング ディレクターズカット」をクリアしました。面白かったです。 これ、オリジナルは2019年末に出たのか。コロナ禍の影響を受けたような描写もあったが、それより早かったことに驚く。優れたSFにはそういうことがある。 2010年代末というのは、グローバリズムの進展、アメリカ(に代表される先進国、日本も含む)における、リバタリアニズムとコミュニタリアニズムの葛藤、ポピュリズムの台頭、社会の分断。反出生主義の流行。20世紀的な国民国家的統合に由来する社会の崩壊

今週のnoteのアクセスランキング

今週のnoteのアクセスランキング。 ※今回から先週分の「ランキング」は抜いていく。 1位 よく企画書を書くときに聞かれる「目的」と「目標」と「狙い」の違いとはなにか? https://note.com/nonnnomodel/n/n1fd87ffef111 いつものやつ。 2位 「弱い人ほど群れる」というけど、実際は「弱い人ほど群れられない」と思うって話。 https://note.com/nonnnomodel/n/n4146ad775b7c これもいつも人気。 3

今週のnoteのアクセス数ランキング

◯1位 この記事ずーっと人気。ちなみに講演でもリクエストが続いている。よほどみんな目的と目標の違いってなんなんやろと悩んでいるんだろう。 ◯2位 まちづくりにおける様々な「成果」も人口ボーナスの賜物だったのではないか。という話。日本はこれから確実に人口が減る。それを踏まえた作戦がいる。 ◯3位 昨年の私のまちづくり研究の発見の一つが「地縁」「志縁」に続く第三の縁としての「気縁」の存在を示唆できたことだと自負している。 ◯4位。 なんで急に上がってきた。 日本の地

書籍感想文 深川光耀「私発協働のまちづくり」

花園大学の深川先生から献本いただきました。ありがとうございます。 現在、Amazonで予約注文を受付中だそうです。 せっかくご献本いただいたので、これから本書に興味を持って手に取る人が増えることを願って、感想をメモしておきたい。 師弟三世代に渡る「私発協働」理論のリレー本論文は、故・延藤安弘氏の「私発協働」をキー概念として用いている。私発協働とは、「<私>から始まり、まわりをゆるやかにひきつけ、ともに力を発揮しあうことを通じて”公共の幸福”に導く一連のプロセス」のこととさ

人口の波とまちづくり組織の活性化の話

先日、まちづくり関係のお友達と話していて、おやじの会の話になった。おやじの会は東京では1986年に設立されたという組織だ。 1986年とは、1947年生まれの団塊世代が39歳と元気と体力があまりまくっているタイミングだ。1971年生まれの団塊ジュニアが15歳、ちょうど中学生になったころだ。よく聞くように、おやじの会は小学校でPTAをやっていたおやじたちが、子どもが中学に上がったあとも、地域で活動したいと考えて自主的に結成したというストーリーに合致する。 おやじの会はその後