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晴れの日も雨の日も

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そのとき感じたことを感じたままに綴るエッセイ集。晴れの日のように澄みきった気分のときも、雨の日のように翳りに覆われるときも、その気持ちを、透明な言葉で伝えたい。
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#家族

ハレの日の美術館

よく晴れた5月のある日、私たちは美術館で結婚式を挙げた。 結婚式といっても、参加者は私と…

如月桃子
1年前
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父の就活

最近父が就活をしていると、母からの連絡で知った。 「いい職場が見つかるといいね」と返信を…

如月桃子
4か月前
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わたしの街になっていく

夏のあいだ、西へと向かう帰り道を運転していると、夕陽を背にする山が見えた。 それは、私の…

如月桃子
8か月前
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はじめての母娘二人旅

「昨日の夜は、あまり眠れなかった」 と、新幹線の車内から、母がLINEをよこした。 LINEが来…

如月桃子
1年前
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どこでも住めるとしても、きっと君の隣を選んでしまう。

私が、初めて自分で決めた場所に暮らしたのは、大学4年生のときのことだった。 それまでずっ…

如月桃子
1年前
75

甘々な日々

私と夫・ぺこりんの日常のお話たちです。 びっくりするほどくだらないです。 と、先に言って…

如月桃子
1年前
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ふつうがいちばん…

小学生の頃、長期休暇の前にはかならず成績表が配られた。 家に帰ると、私はまずそれを母に見せた。 母は、私の成績表を見ると、いつも同じ話をした。 私の通った小学校の成績表は、すべての評価科目が三段階で評価され、「よくできた」「できた」「もう少し」のどれかに〇がついている。 私の成績表は、体育以外どの科目にも「よくできた」ばかりに〇がついていた(体育では「よくできた」は一つもなかった)。 成績表の一番下には、先生から3行くらいの言葉が書いてある。いつもいいことが書いてあった

いつだって、待っていてくれる人

6月の終わりに、3ヶ月ぶりに実家に帰った。 実家まで帰る道すがら、なんだかそわそわとして…

如月桃子
1年前
75

いつだって、甘やかしごはんだった

対面キッチンのある食卓は、実家の東側の一番大きな部屋にある。 食卓に朝日が差し込む前に、…

如月桃子
2年前
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家族への手紙

最近、心がざわざわする。 そのざわざわは、大きな世界での出来事に起因したものなのか、小さ…

如月桃子
2年前
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壊れかけのマグカップの行く末

お気に入りのマグカップにヒビが入ってしまった。 ホットミルクを作ろうとして、マグカップを…

如月桃子
2年前
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寂しさは、いつも遅れてやってくる

私は、卒業式で泣けなかった。 みんなと明日から会えなくなる。 頭ではわかっているはずなの…

如月桃子
3年前
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怒らない母のやさしさ

私の母は、とても優しい。 いつも笑っている。 いつも私や妹を抱きしめてくれる。 もう私は…

如月桃子
3年前
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健康第一、家族第一

少し前に、私は体調を崩した。私の父は、私が体調を崩すとすごく怒る。 最近、夜寝るのが遅かったんじゃないか。 体調管理が疎かなんじゃないか。 そんなふうに、私にむかって怒る。 小さい頃は、なんで父がそんなに怒っているのか理解できなかった。風邪を引いたときくらい、優しくしてよ、と思っていた。でも、最近になって、父は、私を叱りながら、父自身を叱っているのだと気づいた。 父にとって、私はいつまでも小さな女の子で。自分が守ってあげたくて。 でも、自分が守ってあげられないのが腹立