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一期一会

2年前の話。
2ヶ月に一回会いにきてくれる人がいた。彼はパン屋さんで働いていた。
会いにきてくれたら後日私もパンを買いに会いに行っていた。

店内は狭いけれど、色んな種類のパンがぎっしり売られていた。
口にするもの全てが美味しく毎回沢山買って帰っていた。

〝いつかは自分で店を開きたい〟と言っていた。
フランスが主催するパンのイベントや大会に積極的に参加していると聞いたような。。
もう2年前のことすら曖昧な記憶となっている。

恋愛関係でも大人な関係でもなかった。
お互いのことや仕事のことについて少し話すくらいで単純に穏やかな時間を楽しんでいた。
だからか、疎遠になっても〝なんだかいい思い出〟として残っている。

もともと、人に執着をしなそうな人だった。
自然に、本当に自然に私の目の前から消えていった。

連絡先も知らなかった。

今分かっているのは、私があのパン屋に行けば会えるかもしれないってことだけ。

恋愛感情も会いたい気持ちも全くないけれど、全てが害なく淡々としていた思い出にいる人物はこうやって時折思い出す。

色んな出会いがあったあの街もあの街ももう訪れることはないのかもしれない。
私には他の街に他の地に会いたい人達がいる。それがとっても幸せであることをちゃんと理解して今日は糖質0のビールを飲みながら寝たいと思う。
おやすみ!


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