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アメリカテック大量レイオフの話。

去年からGAFA等を初めとしたアメリカのIT巨大企業による大量レイオフが話題になっています。
そのことについてちょっと触れてみたいと思います。

そんな機能いりますか?

常に成長・進化しなければならないという、企業の鉄則がありますが、会社や業界の調子が良いときは色々な理由(理屈?)を見つけては何かを足そう、作ろうという話が四方八方から湧いてくるのです。会社やサービスがまだアーリーアダプターからアーリーマジョリティーに移行する途上ならそれでも良いのでしょうが、ある程度成熟したサービスやシステムにおいて、そのような”もっともっと新機能ほしい病”が続くと何がおこるでしょう?そうです、ユーザが望みもしない機能の追加なのです。みなさんが使い慣れたアプリで、これからは音声だけですべて操作してね!とかいうような変更があったらどうでしょう。英語の文章を勝手に日本語に翻訳してくる、といった仕様が強制されたとしたら?大学時代、人間工学の授業で、携帯電話のインターフェースは人間工学的には決して優れていないがユーザの方々が”慣れた”為、変えにくいものになったということを思い出します。ユーザが慣れたインターフェースや仕組みを変えるには相当な勇気が本来いるはずですが、それでも何かをするというのはよっぽど創造的か、それとも余剰人員を無理やり稼働させるために蛇足を生み出しているかのどちらかと思います。そしてそれはおおよその割合で後者でしょう。

雇用調整

会社や株主もある程度そういったムダを無くしたいとは思っているのではないかと思います。しかし一度正社員として雇用すると、基本的には解雇をするのは簡単ではありません。解雇をするには相当な理由が本来必要になります。アメリカにおいてもです。Twitterで最近起こっていることが普通では決してありません。普通の企業は法的リスクや評判を落とすリスクを恐れてあんな乱暴な行動はしません。しかし、不景気に備える、実際業績に陰りが出始めたという状況があるとどうでしょう。そうです、これこそ比較的低リスクに雇用調整、つまりレイオフを断行できるチャンスというわけです。

蛇足なことばかりやっていた部署、将来の見込み薄な部門、アンダーパフォーマー(注意;必ずしもアンダーパフォーマーがアンダーパフォームではありません。不本意な人間関係、割に合わない仕事の割当等、不幸な境遇の人も多くいます) を低リスクでクリーンアップするというのはまことに冷酷かつ合理的と言わざるを得ません。

スーパースター求む

そしてもう一つ付け加えるとすると、IT業界は一人のスーパースターがいさえすればそれで良いという点です。普通の人10人の成果物よりスーパースター1人の出す成果物の方が質も量も良いという業界なのです。100人の中優れた5人だけ残しました、ということが仮に起こったとしても、それでも業務もうまく回る、新規開発の質も高まるということが起こり得るのです。これがアメリカのIT業界の面白いところでもあるのかな、と思います。

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