ノキさん

半ヒキコモリ生活4年目。同性伴侶タレちゃん、恐怖の母ちゃん等、自分と家族のことを綴って…

ノキさん

半ヒキコモリ生活4年目。同性伴侶タレちゃん、恐怖の母ちゃん等、自分と家族のことを綴ってます。 くすりと笑える時間になるとうれしいです。時々、ぼんやりとたどり着いた生き方を書いてます。

マガジン

  • 軒下書斎(コモリ部屋)

    家族との向き合い方とか、心を掘り下げた結果とか。悶々と考えたことを書斎に収めました。

  • 【エッセイ】 家族と呼んでもいいかな-まとめ

    伴侶タレちゃんとの日常を綴っています。

最近の記事

あの人の『ありがとう』は切れ味の悪いナイフ

どういう訳か、 ある友人に『ありがとう』と言われると 釈然としない気持ちになった。 礼を言われて気落ちするというのは珍しい。 「君に礼を言われる筋合いはない!」 なんて台詞をよく耳にするが、 私とその友人に限ってその台詞は当てはまらない。 礼を言われる筋合いのある、旧友だからだ。 その友人をPさんとしよう。 付き合いも長くなったあるとき、 Pさんが持つ二面性に気づいた。 『誠実』と『不誠実』。 Pさんの中に内在するギャップだ。 というより、 私から見えるPさんのギャッ

    • 紅しょうがのイタズラな魔法★

      2015年、現在の伴侶タレちゃんと出会ったばかりの頃。 明け方の歌舞伎町。 路上ではホストが女の子を囲い、 カラスはゴミをあさっている。 私たちは朝までひとしきり呑んだ帰りだった。 胃袋が鳴り響いて、塩分と糖質を欲している。 体がアルコールを分解したがっていた。 牛丼屋の松屋に入り席に着くと、 ほどなくして並盛牛丼が運ばれてきた。 いざ食べ始めようとすると、トイレに行きたくなる。 「先、食べてて」 私は御手洗に向かった。 御手洗から戻ると、私のどんぶりは様変わりしてい

      • 1997年エヴァに取り込まれた中3の夏。

        2021年。シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇が公開され、旧アニメ版の放送から二十五年の歳月を経て物語に終止符が打たれた。 エヴァの最終話(25話、26話)は、旧アニメ版、旧劇版、シンエヴァと存在するわけだが、 私の成長過程でいつも傍にいたのは、なんといっても旧劇版だ。 ――――― 壊滅的に破壊され水没する街。 朽ち果てた電柱から避雷器が外れ落ち、 空虚な音をたてて静かに水紋が広がる。 物語のはじめから世の終末を感じさせる退廃的な世界に、 中学三年の夏、私は沈み込んでいっ

        • ただいまとドアを開ける前の憂鬱。

          ごはん、すごくおいしいね。 切り方も工夫してくれたんだ。 食感がいいよ。 食器洗いは私がするね。 ありがとう。 洗濯もの全部洗ってくれたんだ。 畳むのは私が。 ありがとう。 床も拭き掃除してくれたんだ。 気持ちいいよ。 ありがとう。 あれ、お風呂場もピカピカ。 鏡の水垢、気になってたんだよね。 ありがとう。 今日もごはん、すごくおいしいね。 隠し味?わかった、味噌だ! ありがとう。 ありがとう。 ありがとう。 ・・・・・・。 もういいよ。 お願いだから、もう

        あの人の『ありがとう』は切れ味の悪いナイフ

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        • 【エッセイ】 家族と呼んでもいいかな-まとめ
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        記事

          好きな映画が「ベタだ」と笑われて

          大学生の時、 映画は、”ショーシャンクの空に”が一番好きだと言うと、 「うわ~、超ベタベタだなー 」 と笑われて、恥ずかしい気持ちになった。 ――――――― あなたの好きな〇〇を聞かれたとき、 定番を外して、他の人が知らないようなセンスを見せつけたくなる。 10代20代にありがちな、 そういう自意識の渦中に私もいた。 好きな音楽は?と聞かれたら、 当時まだマイナーだった星野源とか、 デビューしたばかりのラッドが好きだと答えていた。 音楽通をにおわせて、センスがあると

          好きな映画が「ベタだ」と笑われて

          海から届いた珍妙な土産

          生きていると、人並みにお土産をもらう。 お土産は消え物がありがたいが、中にはクラフト雑貨で「これどうするかな…」と自分の生活様式にはどうしても当てはめられない物もある。 そんな時、私は潔く手放してしまう。 贈り物は相手に渡したら、その後どうするかはもらった側の自由だ。 何より気持ちを受け取ることが大事。 その多寡にもよるが、そう考えると贈り物も気楽になるし、使わない物をもらってもありがたい気持ちでいられる。 わたしの伴侶タレちゃんも、よくお土産を買ってきてくれる。 大抵

          海から届いた珍妙な土産

          地震が起きた夜、相棒がはないちもんめ状態だった

          わたしの相棒タレちゃんは、災害時に生き残れないタイプだ。 数ヶ月前のこと。 深夜に震度3~4の地震が起きた。ゆらゆらと長く続く気持ちの悪い揺れ方に、大地震の可能性が頭をよぎった。急いで、玄関のドアを開けて逃げ道を確保。廊下にぶら下げてあるヘルメットもかぶった。 幸いその後すぐに揺れは収まり、別に暮らす私たちは互いの無事を確認し合い再び眠りについた。 数日後、タレちゃんと地震の夜の話になったのだが、 あろうことかタレちゃんは怖くてずっとお布団をかぶっていたというではないか。

          地震が起きた夜、相棒がはないちもんめ状態だった

          どうか死んだあとは楽になっていて欲しい

          2016年春、とある土曜日。 桜が美しく咲き誇っていたこの日、わたしはタレちゃん(現在の伴侶)にお花見の約束をすっぽかされ、新宿シネマカリテで映画を観ていた。 前日の金曜からタレちゃんと連絡がとれていなかった。 昼に送ったLINEに既読はついている。 だが夜になっても返事は来なかった。 様子がきになるが、仕事で疲れて寝てしまったのかもしれない。 お花見の確認は当日朝でもいいかと、電話はせずに眠った。 当日。朝になっても返事は来なかった。 携帯の電源は入っている。 午前中、

          どうか死んだあとは楽になっていて欲しい