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地震が起きた夜、相棒がはないちもんめ状態だった

わたしの相棒タレちゃんは、災害時に生き残れないタイプだ。

数ヶ月前のこと。
深夜に震度3~4の地震が起きた。ゆらゆらと長く続く気持ちの悪い揺れ方に、大地震の可能性が頭をよぎった。急いで、玄関のドアを開けて逃げ道を確保。廊下にぶら下げてあるヘルメットもかぶった。
幸いその後すぐに揺れは収まり、別に暮らす私たちは互いの無事を確認し合い再び眠りについた。

数日後、タレちゃんと地震の夜の話になったのだが、
あろうことかタレちゃんは怖くてずっとお布団をかぶっていたというではないか。

お布団がビリビリで逃げられなかったのか!?
昭和の遊び歌をこんな時まで伝承し続けなくてもいいのだ。
揺れが収まったら、お布団から出て安全確認をしなくてならない。
避難が必要かもしれない。

間違いない。繊細で怖がりのタレちゃんは生き残れない。
しかしそんな形でタレちゃんを看取るという人生設計はしていない。
ぴんぴんころりがわたしの理想だ。
タレちゃんの頭上にうっすら点滅し始めた死亡フラグをへし折るべく、会社の備品廃棄で余っているというヘルメットを持って帰ってくるよう指令を出した。

今、我が家にはヘルメットが二つ。
わたしと、タレちゃんの分だ。
残る問題は、本番でいかに冷静に装着し避難するかだ。


ある日、タレちゃんはヘルメット姿で威勢よくリビングに登場。
「突入せよーーーーーっ!!!」と右手を掲げ役所広司の真似をし
ケラケラと笑ってふざけてみせた。

なんだか楽しそうだ。

在りし日のお姿がこれなら、まあまあいい人生かなと
ぼんやりと思うのだった。


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