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仕事のプロ意識・ プロレスを観て感じたこと

先日、ひょんなことから35年ほど前に放映されていたプロレス中継の動画を観ました。(ここ20年、プロレスはあまり観なくなりました。)

圧巻だったのは、タイガー・ジェット・シン。
悪役(ヒール)レスラーとして、日本プロレス界では名を馳せ、良くも悪くもプロレスファンを魅了したのは、間違いないでしょう。

今の50代・60代のかつての(今も)プロレスファンには、彼の暴れっぷりの映像が、鮮明に焼き付いていることだろうと思います。

彼の暴れっぷりのストーリーはこうです。
対戦相手の正統派レスラーが、颯爽と入場。
シンの登場を待たずに、リング内では、レスラーとレフェリーに若い女性からの花束が贈呈される。
贈呈後、シンの入場テーマ(ピンクフロイド・吹けよ風飛べよ嵐)がかかり、穏やかな雰囲気は、一変して不気味な空気になる。
花束を渡し終えた女性たちが急ぎ足で逃げるようにリングから降りる。

その後,後方控室から上田馬之助に介抱?されながら、サーベルを口にくわえ狂乱状態で、シンが現れる。
観客を威嚇しながらリングへと向かう。

スタート時の大方のパターンとしては、対戦カードによってまちまちですが、シンの挑発に乗った相手レスラーが、場外に降りて小競り合いを始めるか、またはコーナーで待機している対戦相手めがけて、シンがサーベルで殴りかかりにいくか、のどちらかでしょう。
またリング下には、ビール瓶が隠してあったり、凶器になるものが事前に忍ばせてあります。(試合前の事前準備はバッチリ)

シンはガウン(インド風の着衣)を着たまま相手を攻撃し、対戦相手は不意をつかれ、シンの攻撃を受けている。これ以上正常なスタートが切れないとの判断で、試合開始のゴングが鳴る。

シンの試合は、いつもまともな始まり方をしません。リングアナウンサーからの選手紹介もなく、なし崩しで試合が開始します。

こんな光景を私が小・中学生だった頃は真剣に、高校生の頃は少々あら探しをしながらもただただ楽しんで観ていました。

しかしながらこの歳(50代)になり、ビジネス的視点でプロレスを観てみると、タイガー・ジェット・シンは、随分観客のこころを掴む名人だと感心させられます。

プロレスはエンターテインメント

プロレスは、エンターテインメント産業ですから、多くのお客様に会場に来ていただき、楽しんでもらい、一人でも多くのファンの裾野を拡げていくのがミッション。
そのプレイヤーである選手たちも、特に外国人選手などのフリーランスプレイヤーたちは、憎まれ役だろうがなんだろうが、プレイヤーとしての価値を認めてもらわなければ、団体から仕事の依頼がきません。また売れっ子・そうでないプレイヤーでは、ギャラも相当変わってきます。

当時のタイガー・ジェット・シンもヒール(悪役)のキャラを立てるのに、必死だったはず。凶器をリング下に忍ばせる事前準備も怠らず。ハチャメチャやっているようにみえて、実はいかに「ファンに憎まれ、嫌われ、正統派レスラーを引き立てられるか」を設計し、実行したプロ。彼をみていて、強く感じられます。

プロレスといえば、ミッキー・ローク主演の「レスラー」という映画に、プロレスラーで生きる男のシビアさが描かれています。
プロレスに少しでも関心がある方、またかつてあった方は、ご鑑賞ください。

ちなみにタイガー・ジェット・シンによる新宿伊勢丹前でのアントニオ猪木夫妻襲撃は、どこまで演出だったのか。
騒ぎで駆けつけた警官からなんとか宿泊先の京王プラザホテルまで逃れたシンはよかったけれど、逆に団体代表で被害者であるアントニオ猪木氏が、警察から「やらせ」かなのか、本当の傷害事件なのかで、厳しく問い詰められたエピソードが残っています。

場外乱闘にしては、ちとやりすぎかな。

※タイガー・ジェット・シンの姿を知らない方は、画像・動画で検索してみてください。

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