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10年前、大学中退してよかったよ。

18歳のとき、大学に進学して3ヶ月で大学を辞めた。

周りからは「なんで?」「何考えているの?」「親不孝もの」と罵倒される。

それでも自分の気持ちに正直になって、初めて人生を選択した、当時の自分を改めて褒め称えたい。


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18歳になるまで、地元の小・中・高校に進学した私は特に大きなトラブルに遭うこともなく、平凡な人生を送っていた。

「将来はきっと地元の埼玉でのんびり暮らすのだろう」と考えた当時の私が大きく変わったのは、5歳上の兄が東京の大学に進学をしたときだった。

建築士を夢見て、東京の大学で学ぶ兄の姿は、紛れもなく私の”憧れ”だった。

「私も東京の大学を出て、立派な社会人になるぞ!」

迎えた大学入試。結果は最悪だった。

一般受験した大学はことごとく落ち、「浪人禁止」と言われた私はやむなくFラン中のFラン・大東文化大学に進学した。


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大東文化大学はキャンパスが2つ分かれており、1・2年は埼玉で、3・4年は東京に通うスタイルだった。

「まぁ、東京の大学だし……。目的は果たせている!キラキラな大学生活たのしも〜。」


しかし、日に日に「この大学、わたしに合わないな」と感じ始め、違和感が膨らんで行った。そうこうしている間に、5月の終わりには大学へ通わなくなった。


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「なにやっているんだ、わたしは。大学なんて卒業すればいいんだよ」
「あと4年、この大学に通い続けて私後悔しないかな。」
「そもそもなんで、東京の大学にこだわるの……」

思いが渋滞して、でも決め切れなくて。そんな自分が嫌だな〜と思ったある日、金曜ロードショーで『耳をすませば』が放送されていた。


中学3年の主人公・月島雫は、ヴァイオリン技師を夢見る同級生の天沢聖司に惹かれ、自分自身も小説家を目指し始めていた。
しかし、周囲は高校受験のお勉強ムード。物語を書くことに没頭していた雫は2学期の期末試験で赤ペンをとってしまう。


お姉ちゃんにも怒られ、お母さんからも呆れられ、消沈していた雫にお父さんが、こんな言葉をかけた。

よし、雫、自分の信じる通りやってごらん。 でもな、人と違う生き方はそれなりにしんどいぞ。 何が起きても誰のせいにも出来ないからね。
(引用:『耳をすませば』より月島靖也のセリフ)


周りとは違うけれど、自分のやりたいことを応援しているこの言葉に心を打たれ、それまで迷っていた気持ちに向き合えた。

「大学を辞めて、受け直そう」


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大学を中退する決断は、もちろんすんなりと通るわけはなく、終いには母親から「縁を切る」とまで言われた。

しかし親との縁が切れるより、自分に向き合わず中途半端な4年間を生きることが私にとっては辛かった


大学を辞めてから来年受け直したい学校を調べた。(もちろん、立地以外で)現役時代はMARCHしか見ていなかったが、MARCH以外も視野に入れた。
そこで少人数体制の”ゼミ”が注目され、学生一人ひとりを大切にしている武蔵大学に進学を希望。

そこから平日は図書館に籠り受験勉強、休日は派遣アルバイトで受験代を稼ぐ生活が、翌年の大学入試まで続いた。


そして翌年2月。無事に合格した。


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「自分の人生を自分で選択する」って難しそうだが、18歳のとき、はじめて選択して動いてみた。

しかしその経験は大きな誇りになり、大事にしたい価値観になった。


10年前のわたし、大学中退してよかったよ。

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