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憧れの国日本で健気に働く夫のもやもや

私の外国人の夫の話しです。あくまでも家族の立場で気付いた事を書きたいと思います。

最近はテレワークもすっかり日常化し夫も家で仕事することが増え、今まで気付かなかった夫の働く一面を目にすることが増えました。

スペインを出て憧れの国日本に居を構えて早15年。

始めは語学学校に通い、運よくコテコテの日本企業に就職先を見つけてそこから転職を重ね、なんだかんだで日本で働きだして10年以上経ちました。

真夏でもスーツを着て満員電車に揺られ終電まで働き、早く帰れる日も誘われれば飲み会に参加し、健康診断ではバリウムを飲み、防災訓練、社員旅行、そして短い夏季休暇。

一通り経験して、日本で働く上での酸いも甘いもそこそこに味わったと思います。

そんな夫でもまだまだ日本で働く不自由さは感じているようで、未だに試行錯誤のサラリーマン生活を過ごしているようです。

これから日本で働く外国人の方々も増えて行くでしょうし、
逆に外国に働きに出る日本人も増えて行くでしょう。

外国で働くことの大変さやどのような事で悩んでいるのか、そのような事を多くの人と共有して一緒に考えるきっかけになり、これから職場で外国人と一緒に働く時のヒントになったらいいなと思って書いてみることにしました。

まず何はともあれ言葉の壁です。そしてそれがなかなかハードルが高くコミュニケーションが上手く行かないことにジレンマを感じるようです。

特に日本人でもなかなか読み取れない本音と建前、指示が出てもどのくらい重要なのか察することが出来ず、真面目な夫は全力で取りくみ、いざ蓋を開けてみるサラっと終わってしまった・・・。
ちょっとした言い回しや表情などを見て意図を読み取るのが難しいようで、また日本はこういうやり方が普通なのかと考えてしまい、友達との会話ならまだしも、仕事の現場では非常に苦戦しています。社内ならまだしも社外とのやり取りは慎重さが必要になりますし、敬語使いやビジネス用語なんて日本人でも悩みますもの。

はっきりとNO!がないからどっちの意味で言っているのか読み取れない。
遠回しな言い方になっていないか、答えを相手任せにしていないか、微妙なニュアンス、相手の取り方次第。

ふだんの生活で自分たちが何気なく使っている言葉回しが、それを母国語としない人には非常に難しい。

そして良かれと思って補足したり、日本語で話すのは私に任せてね!なんて言われてしまうと、子ども扱いされてるみたいな気分になって、それはそれでダメージを受けるようです。

私だって普段何も考えず普通に夫と話しているし、ミスアンダースタンディングは日常茶飯事。お店で店員さんと話すときなんかも私が話した方がスムーズだからと横に割って入っちゃったりしますもん。

でもやっぱり仕事だと話は別。日本語が完璧ではなくても本人には自分がやった仕事に責任と自負があります。
なので周りも多少、いやそれなりに工夫や配慮が必要だと思うんです。
今この文章書きながら、自分自身が一番反省していますよ・・・。

はたから見ると、「本当にがんばっているな~すごいな~」なんて思っています。

夫は子供達の宿題を手伝いながら「ではこの作文を作成しようか!」なんて、もう仕事とプライベートの言葉の使い分けがごっちゃになってしまう事も良くあること。(資料の作成をよくやってるんだろうな~)

先日も、テレビのCMで「○○○だもん~!」というのをきいて、「このだもん!っていう言葉は仕事でも使っていい言葉なのかな~」と真剣に悩んでいました。

こんな事でも1つ1つ言葉の意味を考えながら仕事する上で気を配っているなんて、健気・・・。

漢字で書かれた大量の資料に目を通さなきゃいけない時なんて、もう半分影が薄くなっています・・。

本当に超えたくてもこえられない高い言葉の壁。
コミュニケーションの難しさ。

そして、会社での自分の役割について悩む事もあるようで、日本語が完璧ではないことにどうしても引け目を感じてしまうので、逆に自分が得意な英語を率先して引き受けたり、海外本社の人が来る時の食事に同席させられたり、どうしても間のクッション的な役割がそれなりに増えてきてしまい、本来はもっと自分自身の技術的な能力を高めてそこを認められたいなぁ~なんて思ったりもするようです。

極めつけは、今の会社に入社した際にお世話になった人事の人が退職することとなり、「入社の際はお世話になりました。」とメールを送ると、
「わが社のダイバーシティーの推進にご協力頂きありがとうございました。」というような一文の入ったメールが返信されてきました。

え!もしかして採用の理由はそこ?外国人だから採用したの??
我が社はダイバーシティー推進してますよ!ってアピールするためなの!?

いや、それでもいいじゃん!ラッキーじゃん!理由の1つではあったかもしれないけど、それだけじゃないはずだよ、実力だよ実力!と私はあまり気にしなかったのですが、本人は少なからずショックを受けていたようです。

確かに日本人でも同じように、自分の思った通りの仕事が任される訳でもなく、同じようにジレンマを感じながら働いている人は沢山いるでしょう。

外国人だからと多少ハードルを低く優遇されている事もあるよねと捉える考え方もあるかもしれません。

でも元々の言語習慣や環境の違い、文化的な背景など様々な事を考慮しても、そもそものスタートからエベレストみたいな高い壁が日本で働く外国人の前には立ちはだかっているんだな・・と少しでも頭の片隅に置いて対応する側も少しの配慮と工夫をしてもらえれば、外国人がもっと働きやすく、その違いをいい形で能力として発揮して、素晴らしい多様化の発想で企業の発展にも繋がるのではないかな~なんて思ったりします。

幸いにして今の夫の職場はとても良い会社で、ダイバーシティーにも積極的に取り組み、外国人だけではなく、LGBTQ、女性のキャリア、子育て、介護、自身の病気など、様々立場の色々な意見を取り上げてくれて、それを会社全体位で共有していく恵まれた環境のようです。

しかしそれもまだ始まったばかりのようで、まだまだこれから。
全ての人がお互いの違いを認め合い、協力し合い、気持ちよく仕事ができるような、そんな時代になっていくといいなと希望を胸に。

夫よ!めげるな!あなたは十分頑張っているから大丈夫。

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