【作例写真あり】FUJIFILM X-S20 レビュー 最高峰のトラベルカメラの完成
2023年5月24日に開催された「X Summit BKK 2023」の中で発表された「X-S20」
前モデルの「X-S10」の後継機に位置づけられるモデルで小型軽量ボディに大きなグリップを備えるというスタイルを踏襲しつつ、画像処理エンジンの刷新、被写体検出AFの搭載、バッテリー容量の向上、動画撮影機能の進化が実現しました。
今回はその「X-S20」をレビューしていきます。
FUJIFILM X-S20
センサーには前モデルX-S10と同じく第四世代センサーの「X-Trans CMOS 4」、エンジンには第五世代の「X-Processor 5」を搭載と、今のところ他のカメラには存在しない組み合わせで唯一無二となるカメラです。従来よりも消費電力を抑えながらも高画質・高性能AFを実現しました。
さらに顔・瞳AFにはディープラーニング技術を用いて開発した被写体検出AFを搭載され、動物・鳥・車・バイク・自転車・飛行機・電車・昆虫・ドローンをAI で検出可能に。
「AUTOモード」には新たに「AUTO被写体検出機能」を追加されました。被写体を自動で検出を行い、ピントを合わせたまま追従することでより簡単に撮影が可能になりました。
大人気のフィルムシミュレーションには1970年代にカラーフィルムを使った表現として登場したニューカラーをイメージした「ノスタルジックネガ」が追加され、全19種類が搭載されています。
X-S10の最大の弱点であったバッテリーについては新たに大容量バッテリーである「NP-W235」を採用したことで、従来の2 倍以上となる約800 枚の撮影が可能となりました。
他にも以下の点がX-S10から進化しています。
X-S20のスペック
概要については軽く説明してしまいましたが、スペックについて詳しく見ていきましょう。
ショップについて価格は異なりますが、基本的には20万円前後となります。X-S10の発売当初の価格が約12万円とカメラにしては安価だっただけに高価な印象を受けてしまいます。このサイズ感でこのスペックを詰め込んだのであれば致し方ないと思う反面、X-Sシリーズの魅力の一つに価格も含まれていると思っていただけに複雑ですね。
X-S10よりもカメラの幅が若干広がり、重量も26gだけ重くなりました。これは大容量バッテリー採用をしたことが要因と考えられますが、500g切ってるだけにここはポジティブな印象。
あまり押し出していませんが、液晶背面モニターが104万ドットから184万ドットへ大幅に上がりました。
X-S20の外観
次にX-S20の外観を見ていきましょう。
中身には大きな変更がありますが、外観にはX-S10から大きな変化はありません。本体正面のX-S20というロゴで見分けがつくくらいで他に特徴的なポイントはありません。
X-S10とISOボタンとQボタンがそれぞれ独立していたような配置をしていましたが、今回は連結したような配置をしています。各ダイヤルの配置については配置について変更はありませんが、少しだけサイズが大きくなっています。
モードダイヤルには新たに「Vlog モード」が加わりました。この「Vlogモード」を使うと商品紹介モードや背景ぼかしモードなど自分撮りに適した設定で撮影することができます。
カメラを握ったときのサイズ感はこんな感じ。X-S10のときもそうでしたが、このコンパクトながら握り込めるグリップが備わっているのは喜ばしいポイント
握った感覚はX-H2やX-H2Sを一回り小さくしたような感じで、ホールド感は抜群です。
背面液晶はバリアングルモニター。「Vlog モード」があるくらい動画撮影にも適したカメラであるため、これは順当。
個人的にはバリアングルモニターが苦手のため今回の撮影もだいぶ苦労しました。
またX-S20は冷却ファン「FAN-001」の装着に対応。動画性能が強化されたことで撮影をサポートするオプションもしっかりと追加されました。
レンズにはこちらも新発売となった「XF8mmF3.5 R WR」を装着してみました。このレンズについてもレビューしたのでぜひご覧ください。
X-S20のレビューと作例
それでは実際にX-S20を使った使用感について作例と共に挙げていきます。
万能カメラとはこのことなのか
大容量バッテリーによる持久力、フラッグシップ機と同等の最大7.0段分の手ブレ補正による安定力、深めのグリップによるホールド力、最大6.2K/30p 4:2:2 10bitに対応している動画性能、高速・高精度AF全てがこの1台に詰め込まれています。そして何より小さくて軽い。
カメラに欲しい機能やスペックを全め積み込んでいるため何でも出来る万能カメラになりました。
小型軽量であることは撮影のテンポアップはもちろんのこと、持ち運ぶレンズの数を増やせることもできます。レンズを増やせるということは焦点距離、明るさ、近接、様々な表現の選択肢を増やせることにも繋がります。
そういう意味でも新たに登場した「XF8mmF3.5 R WR」のような軽いにも関わらず斬新な画を撮れるレンズとは非常に相性が良いと言えます。
何でも撮れて言い訳ができない万能なカメラ、これが使っていて感じた正直な感想。
ストレスフリーのAF性能
第四世代のエンジンでもAF性能は十分と感じていましたが、それでも驚くほどの進化を感じます。スッと被写体にフォーカスが食いつくので分かりやすい圧倒的な性能というよりは、ふとした瞬間にそういえば失敗してないなという感覚。まさにストレスフリーのAFです。
被写体検出AFも頼もしいです。ピントをしっかりと追従してくれるのでフォーカスのことは気にせず、構図の組み立て、シャッターのタイミングに集中することができます。
購入の分岐はセンサーによる画作りか
X-S10から正統進化しただけで約8万円の価格上昇を許容できるか。これには現行センサーによる画作りも判断するうえで大きな要素となるのではないでしょうか。
AFは高速かつ高精度になったのは間違いありませんが、画作りに関しては変更ありません。写りはX-S10、X-T4、X-E4、X100V等の「X-Trans CMOS 4」センサーを積んだカメラと同じ。
1枚目が現像前、2枚目が現像後です。これだけでは画作りの説明はできませんが、色の被り方のクセや現像時に感じる色乗り、シャドウを持ち上げた際の質感は第四世代のそれでした。
とはいえノスタルジックネガが追加されたという意味では画に変化は生まれますね。
色味や質感などの画に関しては完全に好みによりますし、どちらがいい写真を撮れるとかもないのですが、一応言及はしておこうかと。
FUJIFILMは色がいいというのは定説ですが、それについて的確に言語化できている文献はあまりないのですが、以下の書籍ではそのへんについてたっぷりと言及されています。
作例も多く掲載されていて、写真集としても楽しめる書籍となっています。
完成形ゆえの反動も
ここからは少しネガティブな内容を。
X-S10に感じていたシャッターボタンや背面部のMENUボタンやDISP/BACKボタンの質感からくる安っぽさも健在。軽すぎるシャッターフィーリングも改善されたわけではありません。
あえで直球で言うのなら物理的には何でも撮れ、撮影において言い訳ができないカメラである反面、撮っていて楽しいカメラではないなと感じました。これはあくまでX-TやX-Hシリーズと比べたときの個人的な感想なので全員に当てはまるわけではありませんが、撮影時のテンションを気にする方は(安い買い物ではないし)店頭やレンタルなりで一度使用感を確認してみるのがいいと思います。
逆に撮れる写真や映像が良ければそれでいいという方は前向きに検討してみるのがいいでしょう。
UHS-IIの対応
各媒体でそんなに触れられていませんが、UHS-IIのSDカードに対応しました。
X-S10ではUHS-IIが非対応でUHS-IのSDカードを使うしかありませんでしたが、これで高速連写によるデータ書き込みの時間短縮、PCなどへのデータ転送時間を短縮することができます。X-SシリーズはシングルスロットだけにUHS-IIを使えるのは嬉しい変更点でした。
特に連写撮影や多い方や4K動画撮影をする方はUHS-II対応のSDカードを使ったほうがいいと断言できます。
価格的にも性能的にもバランスの取れたUHS-II対応のおすすめのSDカードを載せておきます。
他の作例
X-S20で撮った他の作例を載せておきます。全て現像済みなので参考程度にご覧ください。
X-S20におすすめのレンズ
X-S20と相性の良いおすすめのレンズを以下の記事で紹介しているのでご覧ください。
X-S20におすすめのSDカード
カメラを買ったら一緒に買っておきたいのがSDカード、X-S20の性能を最大に活かせるSDカードを紹介しているのでぜひご覧ください。
購入前に使ってみたいという方にはレンタルがおすすめ
気になるカメラやレンズはあるけどいきなり大金を払って購入するのは気が引けるという方にはカメラレンタルサービスがおすすめです。
その中で特におすすめなのが「GooPass」というサービスです。「GooPass」は一生分の機材を”今”手に入れるをコンセプトに自分の好みに入れ替えて組み合わせられる月額制カメラ機材の入れ替え放題サービスです。
購入のハードルが高いという方は「GooPass」を使って気になるレンズをたくさん使いましょう。
実際にGooPassを利用してみた感想や具体的な使い方については以下の記事に書いているので、参考にしてみてください。
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