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地域おこし協力隊としてのコラム。

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2022年4月から着任している地域おこし協力隊での活動を通じて、感じたこと・考えたことを綴っています。
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#気づき

名のない仕事で、世界はまわる。

「名前のない家事」という概念がある。料理や洗濯などと、いわばメジャーな言葉では表せないような作業。たとえば、ゴミ箱の袋を取り替えて大きくひとつにまとめること、また洗面所の排水溝をきれいにすること。それらはひとつの単語でビシッと表現できないものとして、それでも、日常にはかならず必要なものではないかと思う。 僕が委嘱されている地域おこし協力隊では、多くの地域で「活動報告会」が行われる。年に一度、日頃からお世話になっている住民の方々を招待したり、最近ではオンライン配信もしたり、1

伝統とオリジナリティ。

地域おこし協力隊の3年目のシーズンを迎えている今、ふと自分が退任した未来のことを考える。町の1期生の隊員として着任し、町民や行政職員との理解ある関係性をイチから築いてきた。もちろん今なお任期中であり、その道すがらではあるものの、自分なりに下地をつくってきたそれなりの自負はなくもない。 徐々に隊員の数も増えてさまざまなコミュニケーションが生まれているけれども、これまで僕たち1期生が出会ってきた人々との関係性はどうなるのだろうと、なんだか気になる自分がいる。つまり、僕と出会い地

どれだけペースを保てるか。

地域おこし協力隊として、2年目の活動を迎えている。気づけばもう6月も中旬に差し掛かり、今年度もあっという間に2ヶ月を過ぎようとしているわけだ。ここまでの自分の活動を振り返ると、どうしても「できていないこと」が目につく。それはほかのまちの先輩隊員をはじめとする、自分以外の隊員の活動と比べてしまうからである。あるいはあえてポジティブ言えば、自分自身に期待しているからである。 調子に乗って、ここらで自らを勇気づけてみることにする。たとえば今日は、良い意味で仕事にならない1日だった

信じるということ。

占いという概念が苦手である。たとえば占い師に“僕の未来”を話されたとて、いったいどう捉えればいいのだろう。ポジティブな内容には喜び、ネガティブな内容には落ち込むのだろうか。それを踏まえて、未来に向けた行動を変えようと思うのだろうか。いや、ポジティブなものしか聞こえないような気もする。というか僕はそもそも、未来の話をすっかり信じることができないし、結局占いがあろうがなかろうが“僕の未来”は変わらないというか、つまるところ自分次第だと思う。ここに帰結してしまうから、占いとの距離感

事件は現場で起きている。

「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」 織田裕二主演ドラマ『踊る大捜査線』シリーズでの、あまりにも有名な言葉だ。調べてみると、それは劇場版の『〜THE MOVIE』で発せられた台詞であり、西暦にして1998年。当時6歳の僕には知る由もないものだったが、ドラマ名場面集だのモノマネ芸人だの、僕は平成のテレビの大きな波を受けてしっかりと記憶している。 とても本質的な言葉だなあ、と思う。たとえば、今の僕なら。 地域の課題を解決するような、あえて大きく言えば地

守護神の運命。

サッカーでいうゴールキーパー。野球でいう抑え投手。しばしば、いずれもチームの“守護神”と言い表される存在である。彼らの特徴は「守る」ということはもちろん、「守って当たり前」と思われていること、とも言えそうだ。たとえば、スポーツニュースのハイライトなんかで取り上げられやすいのは、得点のシーン。守護神が取り上げられるのは、失点したシーンや「まさか」のプレーが見られたシーンであるように思う。 地域おこし協力隊となって、約3ヶ月。宮城県美里町の場合は会計年度任用職員として委嘱されて

地域へのアシストを。

地域おこし協力隊になる前は、どれだけ「俺がやれるか」が重要だと思っていた。町中に名前が通り信頼が置かれた、いわゆる町のキーマンとなり、自分がさまざまなプロジェクトにおける中心となる。そんな青写真を思い描いていた。 そして、今。残念ながらその青写真は、青写真のままである。これまで長く地域で暮らしてきている人々にとって、僕はあまりにも無知すぎる。あるいは、これまでロクに勤めることなくなんとか生き延びてきたような僕は、あまりにも無能すぎる。無知で無能な実力では、自分自身ですら「俺

椅子に座ってちゃいられない。

4月に地域おこし協力隊となってから、もうすぐ3ヶ月。自分が解決すべき地域課題や成し遂げるべきプロジェクトには、まだまだ靄がかかっている。また、個人的には久しぶりの組織、あるいは初めての行政での仕事であり、不慣れな部分も少なくない。それでも、普段の仕事は大きく2種類に分けられるのだと感じられている。 ひとつは、自分とPCさえあれば完結する仕事。企画書の作成や報告書の記入、SNSの記事の執筆などが該当する。 そしてもうひとつは、自分ひとりでは進められない仕事。企画の話し合いや

ふと思いついた、新たな移住促進のかたち。

地域おこし協力隊として、まちの移住・定住の促進活動にも取り組ませてもらっている。現段階の我が宮城県美里町にはハッキリ言ってこれといった施策はなく、全国的な知名度で言えばマイナーを極めている状況だ。きょうは上司と共に、関係人口創出に関する民間サービスのオンライン説明会を受けていた。 移住・定住について、界隈的にもうだいぶフェーズが進んでいる。地域に興味がある人に対して無造作に「移住してください!」と伝える自治体は少なくなり、あの手この手で“関わりしろ”を生み出す地域が増えてい

やっぱり上手じゃないこと。

議論するのが上手じゃないなあと思う。自分自身の話である。 地域おこし協力隊としての初任者研修会、2日目。講義を聞きっぱなしだった昨日とは打って変わって、今日はグループワークに取り組んだ。ランダムに振り分けられた5〜6人のグループで、地域課題の解決を想定したシミュレーションゲーム。メンバー同士で意見を出し合い、模造紙にマジックやふせんを駆使してアイデアを書き込んでいく。 その意見を出し合う議論の場で、やっぱり自分はそれが上手じゃないと感じた。“やっぱり”とは、そう思うのは今

面白がる力。

4月に地域おこし協力隊となってから、今月下旬に〆切を迎える課題が出されている。それは「町の魅力発見レポート」。宮城県美里町に移住してきて自分の目で見て肌で感じた、そんな町の魅力あるいは可能性をまとめて提出してください、というような内容だ。 しかし、東京からUターンして8年ぶりに美里で暮らしている僕にとって、それは決して簡単な話ではなかった。かつて過ごしていた小学1年生から大学4年生までの期間を含めても、思いつかないのだ。町の魅力ってやつが。魅力がないから僕たち協力隊が必要と