見出し画像

書籍『楽しいの作り方』#10 モルックを親子で楽しめないのは誰のせい?

#09で書いた遊び場運営スタッフに僕がいつも話すこと「あまり働こうとするな」一体これはどういうことなのか?

運営スタッフもお仕事で来てる以上、これは有難い話、やっぱり頑張ろうとしてくれます。そうすると遊び場で何を頑張るか?それはやっぱり多くの子ども達とちゃんと遊んであげるんです。それ自体は決して悪いことではないんですが、スタッフが子どもと”遊んであげる”ことで生まれる弊害も実はあるんです。

それは大人が遊べなくなることです。とても分かり易いエピソードが以前あったので僕はそれでこの事実を学ぶことが出来ました。

以前依頼されたイベントで、遊び場ブースを出していた時に、僕がある親子にモルックをさせてあげてました。お母さんと小学校低学年ぐらいの子どもでした。僕が子どもにモルックというスポーツ(遊びもの)のルールを説明してプレイさせてあげる。そして「お母さんもどうぞ」というと「私はいいです」と言って見てるだけでした。

そして、子どもが一人で木の棒をターゲットに向かって投げる、それを僕が拾ってあげて、倒れたターゲットを起こしてあげて、また投げさせる。その繰り返し。「僕は内心これ何が楽しいんだよ!」と思ってました。そこでは大してリアクションするわけでもない子どもと、一投一投オーバーなリアクションで必死に盛り上げようとする僕と、脇で見ているだけのお母さんという構図が出来上がり、正直そのお母さんに対して「お前の好奇心死んどるんか!初めてみたこの遊びものを子供とやってみようかなと思わないのかよ!」と思ってました。

そんな中、僕が他の運営スタッフに呼ばれて、その場を離れることになったんです。そして、数分後にその親子が気になって戻ってみると、なんと親子で楽しそうにモルックで遊んでいたんです。全然、教える役の僕が居なくてもその場は親子で楽しそうに成立していてむしろさっきよりよっぽどいい雰囲気でした。あんなにモルックを拒んでいたお母さんも子供と一緒に対決していました。

この時に僕は「そうだったのか。あの時に邪魔だったのは僕だったのか!」と悟りました。

つまり、このお母さんは好奇心が死んでいるわけでも、子どもと遊ぶのが嫌いなわけでもなく、単純に遠慮していたんです。そしてその遠慮を引き出してしまっていたのが他でもない一生懸命仕事をしていた僕でした。

#11に続く

①最後まで読んでくれたあなたは「❤スキ」を ②「おもろ!笑ったわー」のあなたは100円サポートを ③「勉強になったなー」のあなたは500円サポートを ④「ヤバっ!人生変わりそう!」のあなたは1,000円サポートを ⑤「光なしでは生きていけない!」のあなたは自由にサポートを