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100マスで創る新規事業〈改〉第1章‐2

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第10マス目は新規事業のマーケティングについて説明します。

マーケティングってよく聞く言葉ですがどんな意味でしょうか?

説明できますか?

既存事業でのマーケティングの意味は顧客視点です。

顧客から見て欲しい商品サービスを購入したい価格で購入した場所で

購入したい売り文句で提供するのがマーケティングです。

こんな商品サービスを創造できれば絶対に買ってもらえますよね。

これが既存事業のマーケティングです。

大局的にあるのはセリング(営業)です。

営業は自社視点で自社が販売したい商品サービスを自社に都合の良い価格、

お店、広告で販売するのです。

つまりマーケティングとセリングは真逆の活動になります。

マーケティングの大家であるドラッガーはマーケティングのことを

‘マーケティングの理想はセリングをなくすこと’と言っています。

ドラッガーが言うようにマーケティングがすべての商品・サービスで

成り立てば顧客から買いに来てくれるので営業活動は要らなくなりますね。

しかし経営陣からしたらすべての商品・サービスで勝手に

入れていくものだけではないですよね。

だからマーケティングとセリングの両方が必要なのです。

ここからは新規事業のマーケティングの定義を説明します。

既存事業の意味とは異なり新規事業のマーケティングは

もっと広い意味を持ちます。

新規事業のマーケティングはまず顧客のお困りごと(ニーズ)を

見つけるところから始めます。

そして既存事業と異なるので既存事業のVCでは

カバーできない場合が多いです。

そのために顧客に突き刺さる新しいVCを構築する必要があります。

ここを間違えて既存のVCを無理やり使ってしまうと無駄なコストが

発生したり届けたい顧客へつながっていなかったりします。

新規事業のマーケティングは顧客のニーズを掴むとともに

顧客へまっすぐ繋がる新しいVCを構築することです。

加えて事業は継続性が大事と説明しましたよね。

事業展開のために顧客を増やしていくことも必要です。

顧客が増えていくに従ってVCの拡大も行っていかなければいけません。

売れ続ける仕組み創りです!

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第11マス目は自分の保有するスキルを知ることです。

新規事業のマーケティングでは新しいVCを構築する必要が

あると説明しました。

つまり主活動と支援活動のすべての機能体を揃えないといけないのです。

支援活動については初めからすべて必要でない場合もありますが

いつかは必要になってきます。

それとそれぞれの機能体で検討する事業内容によって重要度が高いもの、

低いものが出てきます。

その中であなたが担当できる機能はどれですか。

あなたが担当できない機能を助けてくれる人は誰ですか。

バイネームで上げることができますか。

またあなたがリーダーであれば各機能がどのような仕事を

しているのか分かっていることは大切です。

他者が挙げてきた意見について判断しないといけないので

各機能の仕事や考え方は理解しておきましょう。

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第12マス目からは求められている新規事業の種類について考えて行きます

1マス目で会社の売上げ・利益の過去の推移を理解しましたよね。

このマスでは未来のありたい姿からの逆算で新規事業に

いつ・どのような規模を求められているのか考えます。

会社が目指す姿(売上げ)があると思います。

既存事業の伸びだけでは達成しない、もしくは、

既存事業がシュリンクしている場合は、

目指す売上げとギャップが生まれます。

そのギャップを埋めるのに新規事業とMAが必要になってきます。

そしていくつの新規事業とMAでギャップを埋めるのか決めます。

売上げギャップを必要な新規事業とMAの個数で割ったのが

1つの新規事業に求められる規模です。

これでいつ・どれくらいの規模の新規事業が求められるかが決まりました。

この内容を意思決定者とコミットしましょう。

そして今後は求められている規模の事業が求められている時期に

達成できるかを判断基準に議論をしましょう。

このように時期・規模を明確にすることで提案内容が

受け入れられる可能性が高まります。

合わせて既存事業のみで目標に達成できないことを明確にすることで、

社内に健全な危機感を共有することができるし、

既存事業からの協力も得られやすくなります。

少なくとも既存事業から嫌がらせを受けることは少なくなると思います。

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第13マス目は売上げを立てる難しさについて理解しましょう。

12マス目で求められている新規事業の規模・時期を明確にしました。

一方、このマスでは売上げをあげる難しさを理解し

本当に求められる規模の新規事業が達成できるのか

数字で考えてみましょう。

本当に難しければ新規事業の数を増やしてもらわないといけないですよね

例えば求められる新規事業は5年後に10億円規模だとします。

5年後に10億円達成するにはどんなスピードで

拡大していかないといけないでしょうか。

初年度は新規事業の内容を検討します。

提案が通った後、1年目は商品開発が必要です。

初めて売上げが立つのは2年目なのです。

しかも初年度3億円もの売上げができたとします。

これ以降、売上げを毎年150%成長していったとして

ようやく5年後に10億円に達することができるのです。

毎年150%成長を繰り返すのはかなり大胆な設定なのですが

このスピードで成長しないと達成できないのです。

利益について考えます。利益率を約15%を設定して

トータル利益額を計算すると5年間で僅か3.6億円しかないのです。

次に初年度3億円売上げる難しさについて考えましょう。

商品価格を1万円と設定します。

これも同じく毎月の販売数が150%成長するとします。

そうすると初月で116台販売し毎月150%成長していくと

最終月で1万台販売できると初年度の売上げが3億円になります。

150%成長するのも難しいですが生産が必要な商品であれば

モノ作りのラインを増やしていくことの難しさもあります。

モノ作りの難しさだけではなく調達や在庫管理など

様々な課題が出てきます。

このように提案では求められるがまま容易に5年後に10億円目指しますと

言いますが具体的に数字で考えて行くと

本当に難しいことが分かってきます。

先にも書きましたが本当に難しい規模であれば検討する

新規事業数を見直すことも必要です。

検討会で採用されても実際に事業開始してみたら

目論見通りいかなくなり数字で追い詰められて苦しむことになるのです。

本当に実現可能かしっかりと見極めましょう。

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第14マス目は意思決定者についての理解を深めます。

新規事業提案が通るか通らないかは意思決定者が

Go/Stopの判断をしますよね。

企業内では上位役職者であったりします。

認められればヒト・モノ・カネを投資するわけですから

ベンチャーでいうところの投資家と同じですね。

そのような重要な意思決定者(投資家)を知ることなく提案するのは

採用される確率を下げますよね。

その人がどんなキャリアなのか、どのようなことに興味を

持っているのかなど調べておく必要がありますよね。

普段からできるだけ細やかにコミュニケ―ションを

取れればなおさら良いですね。

それと意思決定者一人で判断するのでしょうか?

他にもどんな人が判断者として入っていてどんなポイントで判断しますか?

判断基準や判断項目が事前に公開されているケースが多いですね。

また意思決定者はどんな役職ですか?

社長や事業部長であれば自分の責任で事業を起こす権限を持っていますが

一方、CTOや研究所長が意思決定者であれば事業を起こす

決裁権は持っていないことが多いですよね。

その場合は大きな事業があることを説明した上で事業化に向けた開発や

研究に投資して欲しいというお願いになりますよね。

このように意思決定者を投資家と捉えて意思決定者のことを

深く理解することをお勧めします。

ただし意思決定者に好まれる内容ばかりに目がいき

自分の志から大きく離れてしますのも問題です。

矛盾しているようですが自分か置かれている環境を理解した上で

でも自身の志も叶えられる提案をしましょう!

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第15マス目は意思決定の難しさについて説明します。

新規事業を開発していく過程では必ず意思決定していかないといけません。

限られた情報でもリーダーとして意思決定する必要が出てくるのです。

特に変化の激しい事業環境では意思決定せず判断を

先延ばしにする方が危険です。

とは言いながら会議などでよく結論の先延ばしをしていること

多くないですか???

そもそも意思決定ってどういう意味でしょうか。

英語で意思決定はDecideですね。この言葉はDeとcideからできています。

Deとはごちゃっと混じっている物から必要なものと

必要でないものに切り分けるという意味、

cideは必要ないものを殺すという意味です。

意思決定はとても重いことなのです。

本当に難しいですがこの難しい判断をリーダーには求められます。

常日頃から意思決定する練習をしておいて難しい判断も

できるようになっておきましょう。

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第16マス目は新規事業の種類について深堀していきます。

12マス目では規模や時期で新規事業を考えましたが、

このマスでは事業の種類について考えます。

アンゾフのマトリックスとは横に既存市場・新市場、

縦に既存技術(商品)・新技術(商品)で4象限を作ります。

既存事業は既存市場×既存技術のところですよね。

そこから既存技術のまま新市場へ進出したり、既存市場のまま

新技術へ展開していくことを染み出しの新規事業と言います。

一方、既存事業からいきなり新市場×新技術へ展開することを

飛び地の新規事業と言います。

当然ですが飛び地は既存事業と市場面でも技術面でも関係がない、

つまり強みが活かしにくいので成功する可能性は下がります。

意思決定者が染み出しか飛び地かどちらの新規事業を

求めているでしょうか。

さらに細かく定義するためにアンゾフのマトリックスを改良した

リクルートの9ブロックがあります。

アンゾフのマトリックスでは染み出しの新規事業と言っても

どの程度既存事業との親和性があり強みを使えるのか分かりにくいです。

リクルートの9ブロックでは3×3の9マスで明確になります。

例えば市場軸で考えても日本の関西で電気事業を行っている会社が

市場展開と言っても中部地方や四国地方に展開するのと

中国へ展開するのでは難易度が全然違いますよね。

そのために市場軸も既にある既存市場、染み出し展開できる新市場、難

易度の高い新規市場と3個に分けています。

技術軸も同じく既存技術、新技術、新規技術で考え方は市場と同じです。

そしてリクルートの9ブロックではさらに面白い考察ができます。

提案してきた事業アイデアの受け入れ先とチェックポイントがあります。

染み出しの新規事業内容であれば受け入れ先を既存事業部にした方が

強みを活かせていいということ、

染み出しでない出島の提案の場合は事業部の強みが活かしにくく、かつ、

既存事業から邪魔される可能性が出てくるので

本社で引き受けて事業化を目指した方がいいということです。

また出島よりもさらに遠いところはよっぽど巨大市場があるか勝てるを

吟味して判断する必要があります。

このようなフレームワークを用いて意思決定者が求めている

新規事業の種類について明確にしたうえで詳細検討を始めましょう。

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第17マス目は組織形成とレポートラインを決まることです。

初めに組織体制の構築です。

なかなか組織体制を創れる権限を持たせてもらえないとは思いますが

新規事業開発においてどのような組織が理想なのか

知っておくことは重要です。

2つの考え方があります。

既存事業内に作る方法と社長直轄などに作る出島です。

事業部内に作れば既存事業の強みを活用できる一方、

新しい考え方を受け入れてくれなかったり抵抗にあったりします。

もう一つの出島にするとメリット・デメリットが逆転します。

それではもし自分で決められるとしたらどちらが良いのでしょうか???

私の経験から出島の方がいいと考えます。

理由の1つ目は、出てくる事業アイデアは染み出しの事業なのか

飛び地の事業なのか分からないから

どちらでも対応できるように出島組織で始める方がいいからということと

2つ目の理由はどんな組織でもやっぱり既存事業の抵抗がかなり大きいので

自由度を担保するには出島で行った方がいいという考えです。

仮に染み出しの事業アイデアが出てきても本格検討するまでは

出島で行い、その後スムーズに既存事業内へ移管するのが

望ましいと考えます。

それでは次に運用の仕方(レポートライン)を考えましょう。

まずは報告は担当者が直接、意思決定者にできる仕組みを創りましょう。

担当者の上司の上司が意思決定者に月報とかで報告すると

リアリティーが無くなるし本意が伝わらない可能性があります。

また、検討が進んでくると1つ1つの判断は事業判断となります。

意思決定者に直接、情熱を込めてレポートし意思決定してもらいましょう。

最後にスケジュール確保です。

このような取り組みは初めのうちは意思決定者も情熱をもって

取り組んでいただけるのですが

途中で既存事業の経営数字が悪くなってきたり

大きなトラブルがあるとどうしても既存事業に重きが置かれます。

そうなると最悪の場合、意思決定者は権限委譲したります。

先にも書いたように1つ1つの判断が経営判断である状況で

その判断ができない人が判断者になるとスピードが鈍化したり、

後からひっくり返ったりしてしまいます。

そのようなことを防ぐためにも予めレポートする日程を

決めておきましょう。

鉄は熱いうちに打ての考えで期日をかなり先まで決めましょう。

報告する本人もいい緊張感が持てますよね!

ここまでの17マスで強み・新規事業の種類について考えてきました。

皆さんの会社やご自身の強みは分かりましたか。

また、意思決定者からどのような新規事業が求められているか

どんな組織やレポートラインを創ると成功する確率が上がりますか。

いよいよ未来島へ出発です。

未来島へは既存事業の護衛艦に保護されて安全に移動します。

既存事業は本当にありがたい存在ですね。

そもそも新規事業を検討する費用も既存事業の利益からですものね。

お互いに感謝したって事業を継続させるために

協力し合える関係を築きたいですよね。

次マスからの未来島も楽しんで進めてください。

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