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セニングなんて〜その2

「ベーシック万歳」の続編になります。

終ることのないミーティングの続きは果たしてどうなるのか。

コラムというか、ショートストーリーというか…

サロンで良くあるミーティング風景です。

あくまでフィクションですが,多くの美容室では問題となっている様な事ではないでしょうか。

時代の変化によって何を捨て、何を大切にしていかなければいけないのかを考えたいと思います。

※※※

カッター全員が揃いも揃って同じ意見を持つなんてこれまでに見たことが無かったと、なぜかそのミーティングの場にいたカラーリストの中田さん後日話してくれた。それほどに手に技術を伝えるということ、その中でもセニングに関しては吐き出す呼吸と吸い込む呼吸をぴたりと合わせる必要があるほどの事なのだろうか。



僕は落語が好きで暇さえあれば聴いている。その芸事の世界はこの師匠と弟子の関係性がとても強くあるべき世界なのではないだろうか。


落語家に弟子入りした前座が師匠の、話し方、息遣い、間のとり方を目で見て耳で聴き覚えて1人前になっていくということと似ているのだろうか。かの立川談志師匠は弟子たちに落語を教えるのではなく、家での下働きや付き人などをさせ、下積みとして生活をともにすることで肌で感じて覚えさせるということをしていたそうだ。

さすがに今の時代住み込み修行をする美容師はいないと思うし今回のセニング問題とは少し違う話だが…。



だけど アシスタントをスタイリストとしてデビューさせるということは 師匠が弟子にコームの入れ方、ゾーンに対しての髪の毛の引き出し方、セニングのアングル、立ち方、ハサミの使い方、あらゆる癖や毛量に対し一つ一つを見て感じて覚えさせ、お客様を可愛くしていくことができるようにすることであると考える。

これは落語家で言う「2つ目」(付き人、雑用をやる必要がなく独り立ちしたと認められらた身分)に昇進させ弟子を世に送り出すということと似たようなものだと感じる。


カラーリストの中田さんはこんな話をしてくれた。

昔BOSS(カッターである)がミーティングでカラーリストの予約制限に関して話し合っている際に発した言葉である。
「お客様を待たせるならホイルワークなんて先にアシスタントでもいいからやらせれば、いいんじゃないの!」これは、カラーリストに対する暴言である。その発言に対しすぐさま噛み付いたと話す。
「セニングをアシスタントにやらせることはないですよね?」一人一人違うヘアスタイル、クセ、デザインに対し軽はずみに発言したことに少々苛立ちを感じ言い返したらしい。セニングとホイルワークはカットとカラーで異なる施術ではあるが、引き出すパネルに対しどれくらいの幅、厚み、重なりを作るかでデザインが変わってくるということにテクニカル的なつながりを感じる。数本の髪の毛を拾うか拾わないかでラインの太さの強弱が変わる。ラインとして見えるのか、ブレンドして見えてくるのか。頭のどこにホイルを配置するのか、角度をどうするのか、薬剤のレベル設定をどうするのか。カラーリストはそれらのバランスを考えコントラストをカラーデザインへと似合わせていく。
中田さんはその時の興奮を思い出すかの如く、少々鼻息があれていた。

これに関してはセニングも然りではないだろうか。クセや毛量、太さに合わせセニングのピッチや角度が変わりその違いでツヤ感、束感などの質感に違いが出るのと同じように。カッターのいう理論では伝わらないセニングの仕方は、ホイルワークみたいなものなのだろうかとこの時感じた。

つづく

☆☆☆

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