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美容師の日常のこと

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髪の毛のことが日々、気になります。
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#コラム

人の気配、残像、景色に色を足す〜③

カラーリストになるということ、 なったことで変わったこと、 そして最近感じることを書いてみました。2600文字くらいあるので、3回に分けます。 ✴︎✴︎✴︎  コロナ禍で、これまでの日常は変化した。  誰もいない街、誰もいない駅のホーム、だれもいない公園はどこか色褪せ、グレーな世界に潜り込んでしまったように感じた。  それは写真のモノクロの世界ではなく、ほんのり色味を感じるほどの色褪せた世界だ。そんな中全ての人が国内に留まり、日本を出ることができていない。まだ1年とわ

人の気配、残像、景色に色を足す〜②

カラーリストになるということ、 なったことで変わったこと、 そして最近感じることを書いてみました。2600文字くらいあるので、3回に分けます。 ですので、よろしければ①からお願いします。 ✴︎✴︎✴︎  東京に出てきて美容室に勤め、絵画を見に行くようになった。それは色への欲求が幼少期の反動のように出てきたものだと自分では正当化しているが、それはただの詭弁である。  反動なんてたいそうなものではなく、ただ単純に興味関心が出ただけだ。色に突き動かされてしまっていた。人間、

人の気配、残像、景色に色を足す〜①

カラーリストになるということ、 なったことで変わったこと、 そして最近感じることを書いてみました。 全部で2600文字くらいあって長く感じてしまいそうなので3回に分けます。 ✴︎✴︎✴︎  全てがグレーだったあの頃、赤色を選ぶという選択肢すら持ち合わせていなかった。    色を感じたという記憶をたどるとそんなに思い出せない。記憶の中にカラフルが存在しなければ、配色という言葉もない。なぜならば幼少期から十代の頃、色を意識して生活はしていなかったし、色に触れるのは小・中学校

ミキシングメッセージ。

名探偵コナンだったかな、いや金田一少年の事件簿だったかな、まあどちらでもいいか、 何者かに殺された人が死に際に残すメッセージのことを「ダイイングメッセージ」とよんでいた。死者が自分の血を使いイニシャルなどの英語文字をかいているような、あれだ。 英数字をみて、何かを感じ、何かを受け取り、何かを推測する。 美容室でも英数字を多用する。お客様の個人カルテだ。 ある英字と数字(比率)が並ぶと何かしらの暗号みたいに見える。その暗号を見ると 「あー、なるほど、こんな髪質の人にこ

髪の毛をデザインすることでバトルするというコミュニケーションの有用性。

コロナウィルスの感染拡大に伴い、スタッフの退社ウィルス感染拡大もひそかに起こりつつ、下がりつつあるサロンのムードを打破するべく一つのイベントを催しました。 少なからず将来への不安でも感じるのだろうか、辞めていく人を追うように辞めいくという負のスパイラルに飛び込みそうにならないように、好きなこと、気持ちが盛り上がる事でコミュニケーションをとるのが、手っ取り早いと店長は目論見つつ。 各々が自分の好きな物、事柄からインスパイアされたデザインをヘアスタイルに落とし込み、プレゼンを

セニングなんて〜その2

「ベーシック万歳」の続編になります。 終ることのないミーティングの続きは果たしてどうなるのか。 コラムというか、ショートストーリーというか… サロンで良くあるミーティング風景です。 あくまでフィクションですが,多くの美容室では問題となっている様な事ではないでしょうか。 時代の変化によって何を捨て、何を大切にしていかなければいけないのかを考えたいと思います。 ※※※ カッター全員が揃いも揃って同じ意見を持つなんてこれまでに見たことが無かったと、なぜかそのミーティン

セニングなんて〜その1

「ベーシック万歳」の続編になります。 終ることのないミーティングの続きは果たしてどうなるのか。 コラムというか、ショートストーリーというか… サロンで良くあるミーティング風景です。 あくまでフィクションですが,多くの美容室では問題となっている様な事ではないでしょうか。 時代の変化によって何を捨て、何を大切にしていかなければいけないのかを考えたいと思います。 ※※※ まだまだ、とある分業制を行うサロンの話をさせて頂く。 ようやくベーシックの在り方についてスタイリ

ベーシック万歳〜その3

コラムというか、ショートストーリーというか… 美容室で良くあるミーティング風景です。3回にわけて投稿します。 あくまでフィクションですが,多くの美容室では問題となっている様な事ではないでしょうか。 時代の変化によって何を捨て、何を大切にしていかなければいけないのかを考えたいと思います。 ※※※ スタッフ20人前後のサロンではある程度の道筋、いわゆるシステムが必要となる。落とし所はどこなのかを探すこと1時間。あっという間だ。あーでもない、こーでもない、それぞれが考える

ベーシック万歳〜その2

コラムというか、ショートストーリーというか… 美容室で良くあるミーティング風景です。3回にわけて投稿します。 あくまでフィクションですが,多くの美容室では問題となっている様な事ではないでしょうか。 時代の変化によって何を捨て、何を大切にしていかなければいけないのかを考えたいと思います。 まだの方はその1からどうぞ。👇 ※※※ ベーシックという考え方はどうあるべきか、この問題はサロンで教育を考えている方は必ずぶつかる壁ではないだろうか。それは教える側には確固たる原理

ベーシック万歳〜その1

コラムというか、ショートストーリーというか… サロンで良くあるミーティング風景です。 あくまでフィクションですが,多くの美容室では問題となっている様な事ではないでしょうか。 時代の変化によって何を捨て、何を大切にしていかなければいけないのかを考えたいと思います。 ※※※ 美容人生において、初めて転職した。 たいして長くはない美容人生だが,たまたま見かけた求人広告でスタイリスト募集という記事を見かけてしまい、いつか東京で働いてみたいと事を考えていた二十八歳の自分は3

魂をこめる

理論的な事を伝えることは、教育としてはとても大切な事だと思う。 でもたまには精神論みたいなものを振りかざすときもある。 忙しい時に、若者アシスタントにカラー剤をマドラーで混ぜてもらう事がある。 その時に、自分は真面目な顔をしてこう伝える。 「魂をこめてね。」 そのように伝えると、何も考えずに混ぜるよりは1.5倍は良くかき混ぜてくれる気がする。 気持ちを込める、魂を込める、これはただの精神論だけではない。 よくかき混ぜることで物質への作用としての効果も確実にある。

びわコラム〜その5 忖度

わずか数時間だが少しは家業に対し、何かしらの手伝いになったのだろうか。 帰る時間になり自分が販売できたビワの数はどれほどだったのかをか頭の中で数えてみる。片手の指で数えることができるくらいだろうか。1パック700円だとして、ざっと2100円といったところか。売るということの難しさを金額に表して見てあらためて感じた。 当然、報酬なんて全く期待はしていなかったが、兄が今日のバイト代だと言い大玉のビワ12個入りを一箱くれた。確か一箱2800円のものである。素直に嬉しかった。単純

びわコラム〜その1 動機

 5月のゴールデンウィークが終ると、僕の故郷である長崎では、約2週間という短い間でのビワの収穫が始まる。兄は家業である農業を継ぎ、1年で最も忙しいこの2週間を親戚の手伝いもありながら、慌ただしくビワを全国に出荷している。最近はインターネットやSNSによる拡散効果もあり、兄が農業を継ぐ以前よりも多くの人に長崎のビワというものを知ってもらい、注文を受けていると聞いている。収穫したものが全国の家庭に届くという事は、美容師である自分が言うのもなんだが,生産者としては喜びの極みでもある

コラムをあげてみる

 Googleでコラムとはなんぞやと調べてみる。 コラム column 新聞・雑誌などで、線で囲んだ、ちょっとした記事。囲み欄。  中学生のころに国語の先生に新聞のコラム欄を毎日読む事で国語力が上がると、言われ毎日読んでいた気がする。天声人語というコラムだったかな。  でも確かな事は,その時の自分の国語力はたいした物では無かった事は事実だ。おそらく、読んだだけになっていたのだろうか、その文章から何もつかみ取る事ができていなかったと思う。いわゆる、「読解力」が欠乏し