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『ロボット・イン・ザ・ガーデン』デボラ・インストール(著)松原葉子 (訳)

AI(人工知能)の開発が進み、家事や仕事に就くアンドロイドが日々モデルチェンジする近未来のイギリス南部の村。弁護士として活躍する妻エイミーとは対照的に、親から譲り受けた家で漫然と過ごす三四歳のベン。そんな夫に妻は苛立ち夫婦は崩壊寸前。ある朝、ベンは自宅の庭で壊れかけた旧型ロボットのタングを発見。他のアンドロイドにはない「何か」をタングに感じたベンは、作り主を探そうと、アメリカへ。中年ダメ男とぽんこつ男の子ロボットの珍道中が始まった…。タングの愛らしさに世界中が虜になった、抱きしめたいほどかわいくて切ない物語。

実にほのぼのした良作。ポンコツロボットのタングがどこまでもひたすら可愛い。レトロ玩具の様なやっつけ作業ボディと、最先端の自我を持つAIの対比も笑える。

お話は、ある日突然庭にあらわれた挙動不審なロボット(タング)をきっかけに、破綻寸前だった夫婦が破綻する。また、フラレた中年無職男は、タングの内部パーツにヒビがはいって中の液体が漏れているのを発見。製造者を探す修理旅行に出る。

タングの特徴として、レトロボディと、AIが3歳時並に未熟、という点があり、そのため、仕草がいちいち可愛い。はしゃいだり、駄々をこねたり、癇癪起こしたりして面白い。それをダメ男があやすから余計面白い。子育てにしか見えないが、絵面を思い浮かべると、実際の子育てより、遥かに笑える。

修理旅行は、イギリスからアメリカ、アメリカから日本、日本からパラオへと、波乱万丈。日本で写真とられまくってるのに笑ってしまった。

そしてこの旅行が二人を成長させ、仲良くなってゆく様が実に心温まる。旅行からイギリスに戻った主人公のダメ男など、最初と最後で別人にしか見えない。

続巻もあり、続巻の表紙はこの巻以上に素敵なので非常に楽しみ。

ただ1点、マイナスだったのは、このロボットは子供のメタファーでもあるので、序盤の下ネタは無い方が良かったな。


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