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意思決定者を惹きつけるレポートを作ってみたら、組織サーベイがうまく回り出した時の話

みなさんの会社では組織診断ツールを使っていますか?きっと多くの会社でWEBツールを用いた組織診断を実施していることでしょう。色々な呼び方があり、組織サーベイ・ES調査・エンゲージメントサーベイetc、或いはGPTWやwevoxなどサービス名をそのまま使う呼び方もあります。これだけ多くの会社が導入している施策なのに用語が統一されていないのも面白いですね。このnoteでは「組織サーベイ」という名称を使って説明します。

さてこの組織サーベイですが、皆さんの会社ではうまく使えているでしょうか?どのように活用されているのかわからない・定期的に回答しているが何も変わらない・活用したいがうまく使えていないetc、組織サーベイはやっているが効果的に使いこなしている企業は決して多くはありません。
僕も以前在籍していた会社で、前任者から引き継ぐ形で組織サーベイの主担当者となりましたが、当初は効果的に使えていませんでした。言ってしまうと、年中行事のようにただ調査をして経営陣に報告しているだけになっていました。

せっかく全社を巻き込んでサーベイをやっているなら有効に活用したい!新たに担当することになった業務を成功させるために、どうやればうまく活用できるかを試行錯誤しました。

その当時の会社は、社内にはたくさんの課題を抱えており、社員の方の満足度・活性化度には課題がありました。そして組織の不満や不安をいろいろな社員の方々が口々に話していました。社員の方々の不安や不満をきちんと経営陣に届けたい!そんな思いを持ちながらレポート作り方を変えてみたところ・・・経営陣の目に留まり、組織サーベイへの関心が急激に高まったのです。そこから色々な変化が現れていき急激に会社が変わっていきました。

ではどのようなレポートを作ったのでしょうか?今回は、どのように経営陣
・意思決定者を惹きつけていったのかについて触れていきます。


なぜうまく行っていなかったのか?

主担当になって最初に取り組んだことは、これまでなぜ組織サーベイがうまく使われていなかったかを分析することでした。そして前任者が作ったアウトプット全体を眺めながら、2つの原因があることがわかりました。

原因1:ツールのデフォルトレポートをそのまま経営陣に報告していた

組織サーベイの分析結果は、とても良くまとまっています。WEB上のダッシュボード、レポート出力機能、組織サーベイのプロダクト開発元が工夫を凝らしてアウトプットを作っております。そしてその分析結果のビューは、実務担当者にとってとても分かりやすくまとめられています。

しかしアウトプットは実務担当者向けに作られていることが多く、経営陣向けに作られているわけではありません。そのため同じものを用いて報告してもうまく伝わらないケースが多いです。経営陣に同じレポートを共有して「なんか分かりにくいな」というかんじでうまく伝わらないことが多かったようです。まずは経営陣がパッと見て、何がよくて何が悪いかがわかるように要点を絞ったり、ビジュアル的に分かりやすいものを提供する必要があります。しかしそのためには別途資料を作る必要があり手間がかかりますが、手間をかけてでもやるべきことでもあります。

原因2:実務担当者の思い(≒主観)が前面に出た報告になっていた

もうひとつうまく伝わらないの原因として、自分の主張が前面に出過ぎていてこれではなかなか相手に伝わっていないな、と思う内容になっていました。社員の不安や不満を背負った人事担当者は、自分がなんとかしてやると気負いがちです。そのため報告資料にも熱意が込められますが、それがかえってマイナスになってしまっていました。

企画提案が通らないと嘆く人の資料を見ると、自分の主張を前面に出しすぎている内容になっていることが多いです。実務担当者が組織開発やエンゲージメントについて熱い思いを持っている時などは要注意です。
上手に企画提案を通す人は、決裁者の懐に入りながら相手のみたいものを上手に提供します。相手の関心を高めながら興味を持ってもらい、その中にさりげなく自分の主張や意見を織り交ぜているのです。どのタイミングで自身の主張を取り入れていくか、作戦を立てて資料作りを行う必要があるのです。

意思決定者を惹きつける資料の作成方法

ここからは僕がどのようにして経営陣を巻き込んでいったかについて説明していきます。次の3つの点を意識してレポートを作成していきました。

1、全体感としてどうだったかが一目でわかる資料にする

まず大切にしたことは、冒頭1ページ目のスライドで相手を完璧に惹きつけることです。たくさんのファクトと思いを俯瞰&取捨選択して、それを1枚のスライドにすべてまとめました。
ちなみに若い頃上司には「1枚のスライドで勝負しなさい」とよく言われました。上席者は忙しいし短気な人が多いから(笑)1枚分だけしか説明できないと思って資料を用意しなさい、と言われたものです。その時の教訓が生きた形になります。
実際、この作戦は有効でした。一発目の資料で全体感としてどうなのか?関心を惹かせることが重要です。たしかにいきなりつまらない話が来ると集中力を欠きます。それに最近はオンラインで説明することも多いのですが、一発目からつまらない話をすると内職を始めたりします。要点をまとめて相手を惹きつけるのはとても重要なことです。

2、調査結果の善し悪しを、できるだけロジカルに説明し説得力を持たせる

組織サーベイの結果は数値で表されます。その数値が良い・悪いについては基準がないため表現しにくいです。そのため、次のような比較資料を作り、結果の善し悪しを説明する必要があります。

  • 部署別の比較

  • 前年比・前回比などとの比較

  • 同業他社平均など外部との比較

ここで選択する比較軸がかなり重要です。経営陣が関心を持ちやすい比較軸をできる選択することで、興味を惹きつける必要があります。

例えば僕が当時選択したのは、部署別の比較を前面に出すことでした。当時の組織の状態が部署によってばらつきがあり、活気のある部と連帯感の低い部の差が大きかったです。経営陣もそこに関心が高かったのでとても興味関心の高い資料となりました。
また次の調査のタイミングでは、部署別の状況だけでなく、前年比・前回比のデータを使いました。前回の調査の結果は経営陣の頭に入っていたので、それがどうなったかへの関心が高かったからです。

このように、その時の会社の状況や意思決定者の関心事によって、比較すべき軸が変動します。組織サーベイツールのデフォルトのレポートでは追いかけられないことなので、自分作成する意味があります。

3、分析して考察を加える

このように組織サーベイの全体感を伝えられて、説得力のある比較を行うことができると、レポートへの関心は高まります。関心が高まるとso what? (で、何が言いたいのかな?)ということを考えるようになります。うまく惹きつけた段階で、実務担当としてきちんと分析し、改善提案を行いました。

ここでも主観的になりすぎないように注意をしました。前段の調査結果データと考察が整合性が取れている必要があります。自分の言いたいことが出過ぎて整合性が取れなくならないように、何度も周囲の方や上席者にレビューをしてもらいました。そこまで入念に準備して作った分析と考察は経営陣にもスッと受け入れて頂き、自分が当初考えていたことが実現できるようになりました。

意思決定者が賛同した内容となれば、自信を持って推進できる

意思決定者を惹きつける良いレポートができると、意思決定者にイシューや課題がしっかり伝わります。うまく伝わると解決方法の考えも一致します。意思決定者の考えと合う解決策が実行できるようになると、推進する人が安心してその施策を実行できるようになります。意思決定者の考えと同じだということが自信になるからです。

少々手間はかかりますが、このようにして意思決定者を巻き込むことで、自分がやりたいことを実現できるようになります。レポートをきちんとまとめることも組織を変える大事なきっかけなのです。

最後までお読み頂きありがとうございました。


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