MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣
見出しの、「数字の苦手な私でも各企業の戦略がスッと入って来た」「会計の本ではなく、決算書から ビジネスモデルを読み解くビジネス書です。」に惹かれて手にとってみた。
戦略とファイナンスを紐つける、企業のビジネスを分析する思考をアップデートするには、持ってこいの良書。
決算書を楽しく読めるようになる
決算書と聞くと、数字ばかりで難しい、数字だけでもなく聞いたことがない費目ばかりで何のことだか分からないといって’’読まず嫌い’’になっていることが多いのではないだろうか?
当著では、決算書そのままを掲載し一語一句読み解くのではなく、ビジネスモデルを理解し、これまで当該企業がどんな打ち手を行なったのか?これからどんな打ち手を打つべきか、を同業社と比較しながら解釈していく。
ビジネスモデル特有の指標を重点的に紹介していくので、シンプルでわかりやすい。例えば、ECビジネスで需要な指標2つある。1つは、
ネット売上=取扱高×テイクレート(Take×Rate)
これは、取引高が100あった場合に、いくらの売上になるのかを表す割合のこと。
もう1つは、これは直販型で、900円で仕入れたものを1,000円で販売したとする場合に使用する
ネット売上=販売額ー仕入れ値
がある。
このように、ECビジネスといっても、取り扱い手数料をネット売上とするのか、商品の売買を売上とするのか、というビジネスモデルが理解した上で決算書を読みほぐす思考を得ることができる。
最先端のビジネス活動と決算書の読み方が分かるようになる
ビジネスモデルは、インターネットの普及から、モノつくりから、サービス、情報の提供、またマーケットプレイスの提供、マッチング、広告ビジネスなど、多種多様の変化を遂げた。
当著で取り上げられる企業は、それぞれの章立に当てはまる企業のケースが取り上げられている。第2章ECビジネスでは、アマゾン、ヤフー、楽天、第3章FinTechビジネスでは、PayPal、Square、第4章広告ビジネスでは、テレビ局各社、ヤフー、フェイスブック、ライン、動画ビジネスのサイバーエージェント、第5章個人課金ビジネスでは、Netflix、Spotify、Pandora、第6章ではドコモ、KDDI、ソフトバンク、第7章企業買収(M&A)では、Link、Verizonと、名だたる企業の活動が解説されている。
国内企業、海外企業とスケールの大きさの違いや、将来のトレンド予測など、より身近に感じることができる。
章立て
第1章決算が読めるようになると何が変わるのか?
第2章ECビジネスの決算
第3章Fin Techビジネスの決算
第4章広告ビジネスの決算
第5章個人課金ビジネスの決算
第6章携帯キャリアの決算
第7章企業買収(M&A)と決算
終章決算を読む習慣をつける方法
決算を読み習慣にする方法
決算の読み方に触れたが、習慣には辿りつけたわけでない。習慣するには、
1.「決算を上手に読むらめの10ケ条」を理解する
2.関心がある業界の決算資料を「1社15分」で読む
3.決算から得た知識を実際の仕事で使う
を紹介している。
各企業の活動が決算にどのように現れるのか?また、逆に決算の数字がビジネス活動をどのように解釈できるのか?を学べる機会となった。