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世が世なら今年踊り狂いたかったK-POP 【2020年ベスト10】

DJでもなければイベントも打ってない。専門知識があるわけでもない。

そんな至って普通のそこいらに転がっているただの音楽ファンが選んだのは、偶然なのか必然なのか、思わず『踊りたくなる』曲ばかりでした。

いまエンタメは見えない鎖でがんじがらめにされています。

音楽は、耳だけでなく、全身で受け取るもの。
意識せずともきっと本能的にそれを感じ取ったのでしょう。

みんなで歌って踊れるささやかな幸せが、再び訪れる日を願って。




【10位】
oceanfromtheblue / flying to the moon

彼のことは何一つ知らないし、調べても良くわからなかった。

選んだ理由は、ナチュラルなアーティスト名と曲名、そして淡いアートワークに押し付けがましくないセンスを感じたのと、もし自分が歌手になれるんだったらこの声になりたいと思った、ってことですね。それで十分でしょ?

来世はこの声で生まれたい。

むしろ彼が何者なのかご存知の方がいたらぜひ教えてください。


【9位】STAYC / SO BAD

数々のヒット曲を手掛けたブラックアイドピルスンによる完全プロデュースグループと言うことで、デビュー前からまったく期待していなかったSTAYC。しかし、これが予想に反して良かったのでわりと驚きました。

簡単に言うと、中村アンと栗山千明と一色紗英とC.C.ガールズが在籍する『顔が良い』グループです。

ビジュアルだけじゃなく、ちゃんと歌えて踊れるのが強みで、その辺りはさすがピルスンのお眼鏡に叶っただけのことはある。良くも悪くも『ザ・K-POP』なサビと、ドラムンべースの相性も思いのほか良い。

まー、何も知らずに聴いたらデビュー数年目のクオリティですね。

どうでもいいんだけど、1:43の「カッ!」って音、絶対来るってわかってても毎回笑っちゃう。こういうどうでもいいことに滅法弱い。

16歳の誕生日を迎えたばかりの最年少Jがこのグループ最強の隠し球で、これが『よくぞ見つけた!』という逸材。菅原文太ばりに低音の効いたドスラップが魅力の、いわゆる「個性さん」である彼女の存在が、グループに良質の化学反応をもたらしているのは間違いありません。

低音を支えるJといえば、LUNA SEAにも通ずるところがありますね(これはどうしても言いたかった)。


【8位】
WJSN / Pantomime

最近のWJSNのアルバム曲のクオリティは目を見張るものがありますが、この曲はその中でも最高峰と言っていい出来栄えなんじゃないですかね。

そもそも『Neverland』自体がめちゃくちゃ良くできたEPで、Full8loomが手掛けた「Our Garden」を筆頭にどの曲も粒揃いすぎて、正直どれにするかかなり悩んだけど、最初に聴いた時の衝撃度からするとやっぱりこれかなと。

活動曲とかじゃないんでMVもステージ動画もないんですが、いや、ホント「なにこれ?」って感じで、2020年に聴いた中で、断トツお洒落でヘンテコでクレイジーな曲です。

ジェットコースーターのような目まぐるしい展開に、振り落とされないようについていくのがやっと。必死についていくうちに、気がついたら終わってるという、なんとも身勝手な曲で、ドMの心をガッチリ掴んできます。

「フンチプンニャ、フンチプンニャ」とかおどけて油断させておいて、こういうとんでもない曲をしれっと出してくる、赤ずきんの狼のように狡猾なヤツラなんですよ、宇宙少女は!
ついに化けの皮が剥がれたな!(良い意味で)

いつかこの曲を爆音で浴びて、フロアで躍り狂える日が来ますように。


【7位】
BLACKPINK / Lovesick Girls

ここ2年くらい、BLACKPINKの曲には今ひとつハマれずにいました。

自らの価値を証明すべく試行錯誤を続け、チャレンジを怠らない姿勢には『リスペーーーーークト!』ではあったんですが、そんな気持ちとは裏腹に、活動曲がまったくもって好みとは乖離してたんですよね。

「Kill This Love」より「Don't Know What To Do 」
「DDU-DU DDU-DU」より「Forever Young」派なもので。

世界的な成功を収めて凱旋した彼女たちが、勝負球として新たな活動曲に選んだのは、天下を獲って気をてらう必要がなくなった、王者による貫禄のどストレートでした。

このグループのカラーを決定付けているのは印象的なロゼの声だと思ってるんですが、最近は背伸びしたコンセプトに加え、個より全が重視されてる気がして、その魅力がオミットされていたように感じます。

その点、メロディを軸としたこの曲ではロゼの個性が存分に発揮されていて、結果、より自然体で生き生きと自分たちを表現できているかなと。

この曲で一番好きなポイントは、ラストのサビ裏のベースライン。

1番2番ではせわしなく動き回っていますが、ラストでは歌のメロディラインはそのままに、ベースだけ白玉(要は長めに伸ばすこと)になっています。
それがそこはかとなくEDMっぽさを感じさせるので、フェス感も出てきて、バカデカいお祭り向きの曲になってるんじゃないかなと。

多くの作曲家が関わっている中で、David Guettaのインプットってまぁせいぜいこれくらいなのかなと思ってます。あとは売るための「ハク」よね。


【6位】
TWICE / I Can't Stop Me

平井の平井による平井のための曲(諸説ある)。

TWICE教には入信しておらず、好きな曲とそうでないものとの差も結構はっきりしているので、好きな路線の時だけソッと反応するようにしてるんですけど、これは「Feel Special」と並んで、むちゃくちゃ良いですね。

どうしたって随所でチラチラ見切れる平井さんを目で追ってしまいます。
これはもうしょうがない。しょうがない 夢追い人。

全体的に意味不明なMVですが、バイクで晩餐を襲撃するジョンヨンがとりわけ意味不明で最高です。いやホント、なんなの???

それから、次曲「HELL IN HEAVEN」との曲間がなく、ほぼシームレスになってるのがマジでニクい演出です。これは明らかにアルバム全体の流れを重視していることの証で、「活動曲だけじゃなくて作品もちゃんと聴いて欲しい」というメッセージである傍ら、ストリーミング時代に対するある種のアンチテーゼなのかなと。頭から流れで一気に聴きたいアルバムです。

さて、ちょうどこの記事を書いているタイミングで、新曲「CRY FOR ME」が公開されたんですが、これも良いです。世が世ならRed Velvetがやりたがりそうな感じですね(センシティシヴ問題)。
サビはMR.BIG(と言うかCat Stevens)の「Wild World」ぽかっただけど、オマージュなんですかね。


【5位】
GFRIEND / MAGO

環境の変化に伴い、音楽的にも劇的な変化を遂げたヨチン。

その口火を切った「Apple」を収めた『回:Song of the Sirens』はとてもよくできたアルバムで、革新的なのは活動曲の「Apple」だけで、2曲目以降は従来路線に近いもの。つまり新規と古参が同時に納得しやすい内容でした。
予め古参の反発を見越してか、段階的に新路線に馴染めるような配慮がなされていた点に、事務所の戦略の巧みさを感じたりも。

『ミン・ヒジン女史が絡んでいるのでは!?』と一部をザワつかせた、アート感を強めたティーザー写真にもワクワクさせられましたね。

で、それを経てのMAGO。

なんで?
なんでこうなったん???(褒め言葉)

アート路線でいくかと思いきや、ツッコミどころ満載のコンセプトでいきなりスラしてきましたが、曲自体は2020年のディスコトレンドを掬い上げた「やけにしっくりくる」ニュートロな良曲。ええ曲や。

アルバムタイトルの『ヴァルプルギスの夜』になぞらえ、スペイン語で"魔法使い"を意味する6人のMago(英語ではmage)、すなわち魔女たちが、世間のルールや抑圧から開放されて自分の欲求に素直になる一夜を描いたこの曲。
まさに『ヨチンの夢は夜ひらく』わけです。

ちなみに『ヴァルプルギスの夜』は、映画、小説、アニメなどのテーマとしても頻繁に取り上げられていて、掘っていくとかなり面白いです。
ボードゲームにもなってるので、興味ある方はどうぞ(在庫少ないらしいのでお早めに)。
https://artemisia.theshop.jp/items/15174985


【4位】
LOONA / Star (Voice English Version)

ここへきてLOOΠΔへの評価がさらに高まってきているのは、紛れもなく「Why Not?」の成功があってのものでしょう。
売れたら活動の場もさらに広がるし、後年ひょっとしたらターニングポイントのひとつにも数えられることになる重要な局面かも。

とまぁ、頭では分かってるんだけどね、
なんか「らしく」ないし、全然好きになれないんですよ。理屈抜きで。

成功を取るか、音楽性を取るか。数々のアーティストが抱えてきたジレンマに、もしかしたらLOOΠΔも直面していたのかもしれません。

ともあれ、「Why Not?」での活動に大いなる違和感を抱いていた身としては、「Voice」での活動継続の知らせには、溜飲が下がる思いでした。

MV化されたのは、海外需要を意識して英語ver.の「Star」のほう。賢い。

まぁこれですわ。我々が求めていたものは。最初からこれ出してよ。

ODD EYE CIRCLEの「LOONATIC」でも感じたけど、曲調も相まって英語で歌うと普通に洋楽なんですよね。ガールポップバンドものが好きな人にはピンポイントでツボりそう。

「Why Not?」での成功を受けての急造感が強く、全体的にやっつけっぽい雰囲気が見受けられるのが残念だけど、まぁ文句は全部椅子万に言ってくれ。


【3位】
Weki Meki / 100 FACTS (COOL English version)

最高の素材であるドヨンを活かせずにきたこのグループも、いよいよお尻に火がついたのか、これまでの路線を捨て、エッジの効いたバッキバキ路線で捨身の反撃に転じてきましたが、これが大正解。

モノトーンで武装し、タイトル通りのクールネスを打ち出したスタイル。
これまでがウソのように、バチクソかっこいいです。

再生数は、なんと「Crush」の1305万回を超える、過去最高の1310万回。
ちゃんと評価されてますね。

今回の活動を通じて明らかに新規ファンが増えたような印象で、METALLICAの『BLACK ALBUM』のように、音楽性の変化によって仮に失なったファンがいたとしても、さらに多くの新規ファンを取り込むことに成功したという例のひとつかも。

荒療治かもしれんけど、どうせこれまでと違うことをやるならこれくらい振り切った方が、ひょっとしたら良い結果に結びつくのかもってことですね。

まさに水を得た魚のごとく、アンジュルム佐々木莉佳子ばりのアピアランスを発散するドヨンの一挙手一投足にクラクラします。「男前」すぎるわ。

…………どうも様子がおかしい。

ドヨンを見ようとしても、ラップの加藤登紀子さんを追ってしまいます。
どうやらこのコンセプトで水を得たのはドヨンだけではなかったようです。

ヅカ(宝塚)キャラも活きるストロングスタイルなこの曲が、彼女たちをまだ見ぬフィールドに連れて行ってくれるのかもしれません。


【2位】
Yooa (OH MY GIRL) / Far

ダンスの実力は一流と知りながらも、ソロで一体どこまでできるのか?
今年最大のビッグ・サプライズ。心配は杞憂に終わりました。

「よい旅を!」
旅立つ者に対して投げかけるフランス語「Bon voyage」

活動曲「Bon voyage」のMVで繰り広げられるのは、映画『ミッドサマー』を彷彿とさせる世界観。抑圧された日常から解放されたかのように、大地、自然と一体となって自由自在に歌い踊る姿は、まさしく森の精そのもので、我々をファンタジーの旅に誘ってくれる水先案内人でもあります。

このMVの冒頭で赤い車が出てきますが、"get in the car"という歌い出しで始まる「Far」は、壮大なる「Bon voyage」での旅の前日譚、つまり「バカデカワンコ(狼)に出会うまで」を指し示しているのではないかと推測します。

ちなみに、「Far」の曲中には「赤い車の異邦人」なる歌詞も出てくるので、やはりこれら両曲はニコイチでリンクしていると考えるのが自然。

解放的な「Bon voyage」に比べると、「Far」ではこれまでの自分と決別して、新たな世界へ繰り出さんとする強い意志・推進力が感じられ、そうした感情の機微がエモーショナルな曲調と見事に呼応し、感動を呼ぶドラマティックな楽曲に仕上がっています。

この2曲だけを取ってみても、グループでは表現できないコンセプトであり、ソロ活動を行う意味は十分。他も捨て曲なしで言うことなし。

「Abracadabra」じゃなくてこの曲で活動してくれてもよかったんだよ?


【1位】Chung ha / Stay Tonight

今年もぶっちぎりのナナメ上感で、我々の頭上に数多くの「?」を生み出し続け、【「なんで?」オブ・ザ・イヤー2020】に輝いたチョンハ姐さんですが、とびきりの「なんで???」を喚起させるのがこれ。

こんだけすごい曲出しておきながら活動がなかったの、マジで一生悔やまれるし、2020年エンタメ界における最大の損失だと思います。

動画って余程じゃないとあんまり観ないほうだけど、チョンハさんに限ってはおもちろポインツが多すぎて、毎回注視せざるを得ません。
特に、このダンスパフォーマンスバージョンは、色々な意味で抱腹絶倒。

ケツバット確定の『絶対に笑ってはいけないチョンハ』地獄。
我々が喜ぶツボを熟知した天才マッサージ師チョンハさんにこんなんされたら、思わず「ヤダァ!」(もちろん良いほうの)って声出ちゃう。

オカザイルないしはスタンドばりに背後からグイグイ存在感をアピールしてくるバックダンサー(の主に顔芸)含め、ライヴで完全再現してくれないと、現世に大きな悔いが残ってしまう。おとなしく成仏させてくれ、頼む。
そして、コロナはとっとと成仏してくれ、マジで。

それから、どうやったら珠代姉さんとの「Wパンティーテックス」実現しますかね?教えて、エライ人。

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