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現代文 クロスレクチャー 解法編 感想


対象読者

柳生先生の解き方本にあたる、クロスレクチャー解法編がどのようなものか気になっている方が対象です。

*なぜ解法を学ぶ必要があるのか
本題に入る前になぜ解法を学ぶ必要があるのかについてお話します。解法で使う思考というのは、その殆どが読みでも使う思考になります。それなら同じことの繰り返しになるし、別に勉強しなくても良いのではないかと思われるかもしれませんが、そうは問屋は下ろしません。なぜなら設問によって問われる強く意識しないといけない読みで使う思考は異なっていて、予め準備をしその設問のも持つ特徴を把握しておかないと見当違いなことをして間違えてしまったり、無駄に時間がかかってしまったりするからです。国語のテストは時間制限が厳しいので、この余計な時間を食ってしまうというのはかなりのダメージになってしまいます。
こういった状態にならないためにも、典型問題(有名設問)に関しては予め解法を学び準備しておく必要性があります。

内容

*概要
計8回を使って、授業または参考書を使う形で、文章の解き方を学んでいくものになっています。
全体を載せおきます。
第一講 傍線部の内容を説明する問題
第二講 傍線部の理由を説明する問題
第三講 人物の心情を説明する問題
第四講 文章の内容に合致するものも選ぶ問題
第五講 空所に適切な語句を入れる問題
第六講 文を正しく並び替える問題
第七講 文章の中から答えを抜き出す問題
第八講 答えを記述する問題
いつものように付録に指示語、接続表現、レトリックについてのまとめがあります。
授業ではただ解き方を押し付けるのではなく、なぜその解き方になるのかについても説明があるので、納得しやすく、未知の問題にも応用が効きやすい形になっています。よくある誤答選択肢についても触れられます。

*他の先生の参考書と比べて
類書として現代文プラチナルールがあげられます。

こちらの場合は、クロスレクチャー読解編、ここからはじめる、ここから繋がるなどの比較と違ってクロスレクチャーが単純に内容が薄くなっている、簡単になっているというわけではありません。類似点、相違点を元に大雑把に比較していきますます。
〈類似点〉
・ポイントがまとまっている
その問題で使われているポイントが、クロスレクチャーはTIPS、プラチナルールはルールとしてまとまっています。
・有名設問の対処の仕方がのっている
よく出てくる設問について見方、考え方、対処法が載っています。
〈相違点〉
・なぜその手順になるのかが詳しくなっている
プラチナルールでも多少説明されていたのですが、クロスレクチャーに関してはより詳しく、なぜそう考えるのか、その手順になるのかが説明されています。
・扱う説明の形式が変わっている
空所補充と脱文補充を一つの項目にまとめて、かわりに抜き出し(適語抜粋)について新たに項目が設けられています。
・プラチナルールでしか扱われていないものがある
原因が複数あるパターン、記述の組み上げ方※、心情の原因の持つ特徴などはプラチナルールでしか扱われていません。逆もまた然りで、クロスレクチャーでしか扱われていないものもあります。
※一部入っています。

余談です。
関先生や柳生先生がプラチナルールシリーズは直前講習をイメージして作ったと繰り返し仰られていると思います。何のことだ?と不思議な方もいると思います。そんな方でスタディサプリが見れる人は、最近追加料金なしで見れるようになった講習講座の直前講習の所を見てください。プラチナルールの授業版の現代文ファイナルチェックという授業があると思います。先生方はおそらくこれのことを仰られているので、1番近いのがこれです。一部の方々は少し不思議に思っていると感じましたので、補足させていただきました。

授業

*基本の進め方
基本的に読解編と同じです。概論説明(ダイジェストレクチャー)→意味段落毎に文章を説明→文章の全体像確認→設問解説
ダイジェストレクチャーは解き方についての説明です。
「文章の全体像の確認」の最後に学習アドバイスがあります。

*根拠やモチベーションの説明が殆どない
なぜそこに線を引くのか、なぜそこが解答の根拠だとわかるのか、なぜそう情報か整理されるのか、何故そうするのかの説明がほぼなく、結果ばかり言っていきます(まるで某東進講師のようです)。
普段駿台、特に関西で受けている人が、この授業を受けると説明しなさすぎて、驚くと思います。
※柳生先生の教え方は関西現代文の教え方と酷似しています
根拠、動作のモチベーションが分からないと他の問題でその考え方が使えないので学習効果が出にくくなってしまいます。数学だとよく経験するのではないでしょうか。その問題の解き方は分かるけど、なぜそう解くのか分からない、同じポイントの問題が自分だけで同じポイントの問題だと気付けないような状態です。これは根拠やモチベーションが不明だからこそ起きる状態です。これは現代文でも同様です。根拠や動作のモチベーションが分からないとどうしても、他の問題に対して考え方が適用できないので、経験として積み重なっていかず、成長する部分が少なくなってしまいます。部活などでもなぜそうするのかが分かっていない、戦略や技術の使用場面がわからないと、努力の仕方がずれたり、実力が出しきれなかったりして、上手く結果が出なかったりしますよね、それと同じです。

*TIPS
TIPSという形でその講でのポイントが示され、講の最後に一覧として纏めてあります。ゼロから覚醒シリーズだと、覚醒ポイントとなっている所です。
これがあるおかけで、ここだけ見てざっと復習するという使い方もできますし、ポイントの該当するページが書いてあるので、何のことを指しているのか分かりにくい時はさっと確認することができます。
※3の4,5の効果音と、8の文章の全体像のまとめ項目の効果音がおそらく飛んでいる

*参考書にない内容もある
参考書に書いていないことや動きとしてみた方が分かりやすいこともあるので、参考書だけでなく授業も受けたほうがいいです。
加えて、説明の仕方が参考書と違うことがあったりするので、どちらをメインにするかは人それそれですが、片方だけ使うのではなく、もう片方も一度は見る、読むことをしたほうがいいです。

*一つ一つの授業が短い
一つ一つが大体数分なので東進や学研プライムなどの授業に慣れている人にとっては、いちいち数分毎に画面を切り替えないといけず、億劫に感じるかもしれません。一応この細かくする形式にも先生なりの意図があります。普段受けている人は分かると思いますが、先生の授業は授業中にメモを取ることが推奨されていません。その代わり授業後にポイントを思い出しながら、まとめ直すということを推奨されています。これにより、授業中は理解することに集中でき、まとめ直す時に必然的にアウトプットするで、理解しやすく定着させやすくなるからです。

*動画の編集が凝っている
アニメーションや効果音などが、沢山使われていて飽きさせない作りになっています。TIPSの効果音が大きすぎるのが少し気になりました。物凄く響きます笑

感想

*マーカーがわかりにくい
解答の根拠と筆者の主張が同じ色のマーカーなので、区別がしにくく使いにくいのではないかと思いました。傍線で授業のみ一部区別しているものもありますが、殆どが区別していないにも関わらず、通読時の時も、問題を解く時も解答の根拠と主張部分両方表示してるので、混乱しやすくなっています。線を引く根拠、そこが解答の根拠になる理由を殆ど言わないので尚更混乱具合に拍車をかけています。
※分けて表示する場合もある
参考書で通読時と解く時のマーカーを参考書で見比べてもらうとよく分かると思います
スタディサプリの授業のように赤ペンと蛍光ペンで分けてもらうと見やすかったと思います。

*授業の終わりに次の授業への勧誘がある
それでは第三段落読んでいきましょう、それでは全体像を確認していきましょうといった形で授業の終わりに次の授業への勧誘があります。何気ないことかもしれませんが、これがあるだけでも継続率にかなり影響が出るので、かなり工夫されているなと感じました。

*読解編と似た話がある
読解編も取り組んでいる人は取り組んでいて、似たような話があり、読んだことあるなとなると思います。このことからも、難しい内容を自分に紐付け理解しやすくするために、背景知識の学習は可能な範囲でしておいたほうがいいです。

*読解編よりもいい
今話してきたように、なぜその解き方になるのかしっかりとした説明があるので、解法編の方がよく感じました。ただ、肝心の本文解説や設問解説は相変わらずなぜそうするのか説明が殆どなく、レトリックだけさっと言っていたり、結果を淡々と言っていくだけなので、自力で深掘りをしていかないとまともに実力が身につかない形になっています。読解編解法編どちらとも言えることですが、予備校に通っている人からすると内容が薄すぎて驚くと思います。
※The rulesにも似たような傾向があります。

*記述の解答の組み上げ方が書いてある
少しではありますが、集めた要素をどう組み上げるのか説明があるので、記述がある人にはかなり勉強になると思います。
ただ、あくまでおまけ程度ですので、実際に入手で問われる人はストラクチャーの方もしておいてください。

*積極法をおしすぎ
現代文は積極法、英語は消去法などと言われますが、もう少し正確にいうとどちらの科目も、積極法→消去法の順にで両方使います。ただ、比重のかかり方が違うのです。先生の場合積極法を押しすぎで、それでは正解も選びましょう。正解は〜ですと一発では選びにくいものまで選ぶので、受けている側からすると疑問が湧き納得しにくいと思います。

*TIPSのまとめ方だと使う場面、使い方が見えづらい
多くの先生の参考書に通ずる傾向ですが、まとめが抽象的で結局どすればいいの、いつ使うのが見えにくくなっています。そのため、この参考書を使う人は問題を解きながら使いやすい程度に具体化しながら進めてほしいです。
※最強の現代文と同じ状態です。

想定される質問

*記述問題が出なくてもした方がいいですか?
積極法の癖付けのためにしたほうがいいです。

*共通テスト、志望校で聞かれない設問形式もしたほうがいいですか?
普段使う道具を色んな方向から見ることで扱いの習熟度もあがりますし、それをすることで未知の問題が出てきた時の対応力にも繋がるのでするべきです。共通テストで出題された会話問題で、脱文補充、文整序の考え方を使うものがありました。出題されたものだけ練習してきた人にはなかなか厳しい問題だったと思います。

オススメの使い方

この参考書を具体的にどう使えばいいか、授業の方も併せて説明していきたいと思います。
〈大前提〉
動画だけ、参考書だけの使い方は基本的に非推奨です。どちらか片方だけでしか説明されてない場所、説明の仕方を変えている場所があるので、片方だけで使ってしまうと旨みが半減してしまいます。

*予習
・ダイジェストレクチャーをまず見る その後問題に取り組む
※この順番はどちらが先でも大丈夫です。苦手な方はダイジェストレクチャーを先に見て、仕込みをしておいた方が取り組みやすいと思います。
・コピーをとって問題を解く
・強調箇所に線を引き、意味段落分けをする
※線を引く事については復習の所を参照してください。
・解いている最中、読んでいる最中の思った事を書いておく
※たとえば、ここの内容難しかった、ここから内容がわからなくなった、この選択肢とこの選択肢で迷った、どう考えて解答に辿り着いたのかなどです。
・本文中の解答根拠に線を引く
・選択肢のどこが正解と対応しているのか印つけて分かるようにしておく

授業や参考書の解説で大事なのは、自分の思考と解説の思考を照らし合わせることです。照らし合わせた時に違う点や似ている点に注目しながら、思考を修正したり、知らない事を学んでいったりするのが現代文学習の基本です。したがって、予習を曖昧にしてしまうと、解説と照らし合わせるための材料がなくなってしまうので、この学習が上手く出来ず効果が半減してしまいます。成績を上げるためにもしっかり予習をしましょう。

授業中(参考書の解説を読む時)
・意味段落、強調箇所、本文中の解答根拠、解答根拠の辿り着き方、選択肢の正解箇所はあっているか確認する
・memoはめもる ※参考書に殆どのものが書いていないから
・見逃した解答のポイントはなかったか確認する
・知らなかった視点、自分が大事だと思ったこと、読み間違えた事、読む時、解く時の考え方をメモる

復習
・参考書(授業)を読む
※参考書で最初した人は授業で、授業で最初した人は参考書でしてもらうといいです。
・現代文学びの礎の印のつけ方を見てなぜそこが主張がわかったのか根拠づけをする

・なぜそこで意味段落が変わるのか、なぜそこが解答の根拠とわかるのか根拠づけをする
※この時、逆算的にならないようにしながら設問と答えまでの隙間を埋めていく
・次似たような問題に出会った時どうすれは正解できるのか考える 必要な知識があれば仕入れ、思考がおかしければ思考の仕方を修正する
・気づいたことはどんドン書いて深掘りしていく
※理解できた、学びになった思えるように自分の言葉に直して落とし込む
・知らない語彙は覚えていく

先生が本当に全然理由を説明してくれないので、復習で今いったことをどれだけ妥協なくやれるかかが、次に取り組む問題の正答率を決めます。一つの問題を解き終わった後に〇〇を学べたと、即座に出てくる状態であれば正しく学習をすることができています。

授業中のオススメのメモの取り方
・通読時の時の書き込み→赤ペン
・問題解説の時の書き込み→青ペン、緑ペン交互に
※どの設問の説明かわかりやすくするためにペンの色を設問毎に変えて使う
・解答の要素→蛍光ペン 
※違う要素の時は色をかえる この時設問番号を書いておくと復習しやすい 複数ある時は〈番号+アルファベット〉の形で書いていくのがオススメです。

これをすることで解答の根拠と主張、強調箇所がいかに重なっているか明確にできるので、読む時、解く時に線を引くことの重要性を理解しやすくなります。
(線を引くことがなぜ重要かについてはかなり長くなってしまうのでまた別記事で)

基本はこの参考書は2周し、読解編の後再度もう一回取り組むのがオススメです。二周目は一周目と比べて視点が上がっている分、見える範囲が広がっているので、一周目では気づかなかったことも学べるようになります。解法編をした後再度取り組む事で、解法編の内容を使う練習にもなりますし、読み方と解き方を身につけることで視点が上がっているので、二周目では気づけなったことにも気づけるようになり、さらに学びを深めることができます。周回すればするほど違った景色が見えるので、何度も反復して欲しいのですが、現実的にそれは不可能なので、解法編の後の一周を最低限のラインしてもらうといいです。

余談です
正直この参考書を使って現代文の実力を伸ばしていくには、使用者側の負荷が大きすぎるので他の参考書を使った方がいいと思います。
加えて参考書で必要な道具を揃えようと思うとどうしてもかなりの冊数になってしまうので、都合がつく方は予備校とくに駿台に行くことを強くオススメします。

受験生の参考になれば幸いです。

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