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【詞】猫を見る / 波止場-2

猫を見る


河川敷で猫を見ていた
少々の憂鬱が頭の上で雲みたいに浮いているけど

河川敷で猫を見ていた
喉を鳴らしてどこかへ行きたそう


画面を開けば目の奥まで物事の翳りが
沁み付いてしまうくらい 暗闇は多くてさ

それもわすれて
ちょっと寛ぐ時があってもいいからさ


自分の些細な日々の描写は題も付かずに
線画の記憶になるうるかもしれない

これから先 その記憶の輪郭を
思い起こすことがあるのかないのかも
どちらでも


今、河川敷で猫を見ていた
気にしないで空を仰ぐ猫を見ていた
猫を見ていた


波止場-2


心は漠然としていて
何秒か経ったらわすれてしまう
それはあなたも同じなのかな
いや きっと違うでしょう

ちいさな蟹が居るか見たくて
夏の終わりに海へ向かった
波打つ岩場に術はなくて
変わって波止場に来たんだったね


これ以上 幸せが消えていくのを
止める為に 悲しみを堪えてみたんだ
ただでさえ 曇り気味の空が
より暗くなって見えたんだ

自然にしていた方がいいんだって
気のせいじゃないからね


海の音に 繰り返し耳をすました
午後は下り 夜の気配の波止場
風の音が 繰り返し耳を包む
午後は下り 夜の気配よ波止場



詩集 "りんかく" から
詞を2篇投稿しました。

"波止場"は2と付いていますが
こちらは1もあります。



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