講義を受けた学生の90%以上が「スタイルマッチ」は重要だと回答。その理由とは?~宮城大学 アントレプレナー基礎 登壇レポート~


宮城大学は、グローバルな視点と地域貢献を融合させ、実践的な学びを通じて、未来志向で挑戦的な人材を育成することを大事にしています。2024年7月、同大学にて行われたアントレプレナー基礎講座では『自分らしい「しごと」の創り方』がテーマとなりました。

この講義に、株式会社No Company代表の秋山真と株式会社HYTEKの満永隆哉氏が登壇。司会を務めたNo Companyの吉本健太も自身の視点を交え、三者三様の切り口で深く掘り下げました。

講義ではNo Companyが提唱する「スタイルマッチ」の概念を用いて、自分らしい「しごと」の意味や、どうすれば実現できるのかを解説。講義に参加した学生のうち、90%以上が「スタイルマッチは重要」だと答えてくれました。

学生たちが本講義で何を重要だと感じたのか。そのリアルな意見は、きっと人事・採用担当の方にとっても有益な情報となるはずです。そんな講義の内容を、一部抜粋してレポート形式でお届けします。

自分らしさを起点とした事業開発・就職の重要性

吉本健太(以下:吉本):司会進行を務める吉本です。No Companyでクリエイティブディレクター兼UXデザイナーとして働いています。弊社は企業の採用ブランディングを支援し、企業と求職者をつなぐお手伝いをしている会社です。

僕の主な業務はクライアントワークと商品開発で、採用ブランディングに効果的な新商品のアイデアを考えたり、事業開発に携わったりしています。また、KAMISORI WORXという個人会社も経営しています。

吉本:本日の授業の趣旨は、自分らしい仕事の創り方です。

僕は以前、ある企業で新規事業開発を支援してきたのですが、数多くのプロジェクトを経験する中で、この事業は「面白い」「応援したい」「伸びる」と感じたものには、必ず自分らしさが反映されていました。この事例も含め、うまくいった事業には「自分らしさを発揮できた」という共通点があったと実感しています。

こうした事業開発の現場だけでなく、皆さんが就職する際も「自分らしく」あることはとても大切だと思っています。今日はこの重要性が伝えられたら嬉しいですね。

ここからは、自分らしさを活かした事業展開やキャリアの歩み方の事例として秋山さんと満永さんに話してもらいます。

価値観の不一致で苦しむ人を減らすためのスタイルマッチ

秋山真(以下:秋山):秋山です。僕は2016年に博報堂グループのスパイスボックスに新卒入社し、社内起業でNo Companyを立ち上げました。

僕は学生時代から「スタイルがいきる社会」の実現を目指してきました。スタイルとは、各個人が独自に持っている個性を意味します。多様なスタイルを活かせる社会で、価値観の不一致による苦しみを減少させたいという思いがありました。

普段は企業支援が中心ですが、今日のように皆さんと直接対話する機会も大事にしています。「スタイルがいきる社会」の実現には、これから社会に出る学生一人一人が自分のスタイルを考えることが重要だと考えているからです。

秋山:スタイルマッチは、企業と働く人の価値観を一致させることでビジョンの実現を目指します。これまで約600人の企業人事の方々と就活や転職に関する話をし、マッチングのあり方が大きく変わってきたと感じています。

僕が就活していた頃は主に事業内容とのマッチングが重視されていましたが、その後、企業文化や社風、働きやすさも選択のポイントになりました。現在は、コロナ禍の影響もあり、働き方や価値観がさらに多様化しています。このような時代には、より深い価値観レベルでのマッチングが非常に重要です。

例えば、「20代が成長しやすい環境」という言葉の「成長」の定義は企業によって全く異なります。自立性を重視する企業もあれば、仕事の量をこなすことで成長すると考える企業も存在する。このような具体的な価値観を企業が発信し、就活生や転職希望者がそれを知った上で自分に合うかどうかを判断できるようにするのがスタイルマッチの目的です。

秋山:自分らしい仕事を創るイメージを持っていただくため、僕自身の例をご紹介します。僕の自分らしさは、ヒップホップやストリートダンスの経験から生まれました。ダンスを通じてスタイルが尊重されるカルチャーに触れ、自分の経験を言語化して表現することの重要性を学びました。この経験が、働く場面でもスタイルを重視したいという思いにつながっています。

さらに、この思いを社会に貢献する形で実現するために、博報堂のマーケティング・コミュニケーションの技術や顧客基盤を活用しました。自分の大切にしているものと会社のリソースをマッチングさせ、新規事業として立ち上げたのがNo Companyというわけです。

こうしたアプローチは起業だけでなく、会社員にとっても重要です。どちらの立場でも、自分の価値観と会社の環境や人をマッチングさせることで、自分らしい働き方ができると考えています。

吉本:多くの人は、新しい事業を考える際に他社と被らないよう差別化を重視しますが、秋山さんの場合は自分の好きなこと、大事だと思うことからスタートしています。もちろん最終的には差別化も考えられていると思いますが、まず自分の思いから積み上げていくアプローチが結果としてオリジナリティにつながったのではないかと。これは非常に重要なポイントだと感じました。 

ちなみにNo Companyが掲げるスタイルマッチは、他の採用支援の会社と比べて何が違いますか。その独自性は何でしょう。

秋山:スペックのマッチングだけでなく、人としてのマッチングを重視していることです。

一般的な採用ツールは給与や勤務地といったスペックのマッチングが得意ですが、僕たちは「こういう人がいるから働きたい」「この価値観に共感できる」と思えるようなマッチングを目指しています。スタイルを起点とした人と人との出会いのマッチングが、競合との大きな違いです。

スタイルマッチが実現することでリスペクトし合いながら仕事ができる

吉本:ここからは満永さんにも登場していただき、トークセッション形式で進めます。

満永隆哉氏(以下:満永):HYTEKでエンターテインメントやアートのコンテンツ制作を行っています。

学生時代はダンスとバスケットボールを組み合わせた「フリースタイルバスケットボール」に熱中し、大学を休学してアメリカへ。約1年間、ニューヨークでストリートパフォーマーとして活動する中、パフォーマーのスキルの高さやパフォーマーたちを尊重する現地のカルチャーに衝撃を受けました。

新卒で博報堂に入社してからもパフォーマー活動は続けていたのですが、会社員としての仕事との両立が難しくなってきて。でも、どちらも諦めたくないという思いから最終的に起業を決意しました。

HYTEKを立ち上げ、自分のアーティスト活動を続けながら、企業や演出チームと協力してパフォーマンスを制作しています。海外でも活動し、かなり大きなプロジェクトにも関わらせていただいています。

吉本:自ら環境をつくり、自分らしい仕事ができている二人はまさにスタイルマッチができている状態にあると思います。自分らしい仕事をしてきてよかったと思うことについて、聞かせてください。

満永:就職先でも完全にマッチしていなかったわけではありませんが、今のように自分で会社をつくった状況では、より深いレベルでスタイルマッチしていると実感しています。

特に、一緒に仕事をしている仲間やクライアントとスタイルマッチをしているのがとてもいいと思っていて。自分のスタイルやカルチャーへの愛着、海外に届くコンテンツをつくりたいという思いを理解してくれる人からしか仕事が来ないので、受発注のミスマッチが非常に少ないです。

リスペクトし合いながら、コラボレーション的に仕事ができる感覚があります。「やらされている」のではなく「やりたくてやっている」という感覚で仕事ができるのは、かなり大きな意味があると思います。

秋山:満永さんの話を聞いて、重要なポイントが2つあると思いました。まず、やり抜けるということ。スタイルマッチをしていれば、納得して仕事に取り組めるのでやり抜く力が生まれます。

あと他者のパワーを活用できること。スタイルマッチをしている環境では、自分だけではできないことも、同じベクトルを持つ人たちや機能を使って実現に近づけることができます。「早く行きたければ、一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」という言葉があるように、大きな目標を達成したいときに、スタイルマッチをした環境があれば、より大きく事業を成長させられます。

自分らしい仕事を見つけることで自己肯定感も高まる

本講義では、二人の起業家の実体験も交えて自分らしい仕事を見つけ、事業開発や自身のキャリアに活かすことの重要性を伝えました。自分らしい仕事をすることは自己肯定感の工場にもつながります。

講義を受けてくれた学生の皆さんに、仕事選び(起業含む)において「スタイルマッチ」はどの程度重要だと感じたのかを聞いたところ、90%以上の方が「重要」だと答えてくれました。なぜ重要だと感じたのか、その理由を一部ご紹介します。

・他の人がやっていることを真似しても突出することはできないので、競争の激しい業界で生き残っていくためにも自分らしさを出していくことが大切だと思ったからです。

・一人一人が自分らしさを持って協働していくことで、社会に多様な価値観が生まれ、より良い世界が出来上がると感じたから。

・どこか客観的な必要性が大事で、スペックとかを重要視してしまうところがありました。しかし、自分の主観的な嗜好性や得意だと思う特徴を伸ばすのも大事だと気づきました。

・自分らしさということはすぐに見つけることは難しいが、自分らしい仕事ができることで仕事をしている自分を肯定できるということを聞いてとても納得したから。

・価値観の違いで悩んだことがあり、自分らしい考えで働けたら仕事を継続しやすいと考えたから。

・仕事をする上で辛いことも楽しいことも「自分らしさ」がないとどちらも経験できぬ間にダメになってしまうんだなと感じたから。組織で働くからといって自分らしさを蔑ろにする必要は全然ないんだなということが私には発見でした。

まとめ

アンケート結果を見て、学生たちが「自分らしくありたい」という思いが強く講義を受けた学生の90%以上が「スタイルマッチ」は重要だと回答。その理由とは?~宮城大学 アントレプレナー基礎 登壇レポート~改めて実感しました。そのうえで、90%以上の学生が「スタイルマッチ」の概念を重要だと感じた事実は、彼ら彼女らの就職活動に大きな影響を与えるのは間違いないでしょう。これは、採用活動に携わる皆様にとって重要な意味があります。

今後の採用活動においては、学生たちの「自分らしくありたい」という思いにいかに寄り添い、自社との「スタイルマッチ」を判断してもらうための情報提供と機会創出が、これまで以上に重要になります。

No Companyは「スタイルマッチ採用」をテーマに採用活動の支援を行っています。本記事の内容にご興味を持たれた方、自社の採用活動に「スタイルマッチ」の概念を取り入れたいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。


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