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8.ポーター教授が示す「誤った戦略」とは?

今回はポーター教授が示す「誤った戦略」について説明したいと思います。

本noteは、ポートフォリオワーカーになった、外資系IT企業マーケティングマネジャーによる、『初めてマーケティングを学ぶキミに伝える マーケティングフレームワーク活用講座』の連載企画です。

前回はこちら、最初から読まれる場合はこちらからどうぞ。
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戦略には、当然、優れた戦略もあれば、誤った戦略もあります。

前回noteでは、マイケル・ポーターの競争戦略/ジョアン・マグレッタ著からの抜粋メインで、「優れた戦略」を説明しました。今回は、「誤った戦略」について解説したいと思います。

「優れた戦略」は、同書籍P133にまとめられていました。
しかし、「誤った戦略」については、まとめとしては記載されていません。
ボクが全体を読みながら、まとめ取ったものになります。予めご了承下さい。

「優れた戦略」は、ポーター教授は「条件」と言われていました。
では、「誤った戦略」も「条件」か?

というと、同じではないような気がします。
どちらかというと、「姿勢」「スタンス」「注意点」といったニュアンスに近いと思います。

そんな前提を踏まえ読んでいただければと思います。

誤った戦略とは?

誤った戦略
・最高を目指して競争する
・トレードオフを行わない
・戦略を持たない
・マーケティング戦略と混同する
・自社の強みを過大評価する


では個別に見ていきましょう。

「最高を目指して競争する」

最高を目指して競争しようとすると、どうしてもコスト高になってしまいます。コスト高になり、利益幅が減ることは、競争優位を確立していたとしても、その競争優位をもたらしている仕組みの継続性を損なうことにもつながりかねません。

利益を上げ、その競争優位の仕組みを継続提供することが「優れた戦略」です(前回note参照)。競争優位を確立した状態を継続させることに重きをおくべきで、その状態を自分から破壊しかねない、「最高を目指す」ことは行うべきではありません。

「トレードオフを行わない」

「最高を目指さない」の別の表現とも受け取れる言葉です。競争優位を確立するために、低コスト経営をしなければなりません。その際には、優先事項がでてくるはずです。

何を選択し、何をしないかを選択しないといけません。
(#6参照)

これも「優れた戦略」の裏返しです。必ず優先すべき事柄を実施するためには、捨てなければならない事柄が出てきてしまいます。その際にどっちつかずな選択を行い、特徴ある価値提供、低コストでの供給の仕組み構築ができなければ、競争優位は確立できません。トレードオフしなければいけません。

#7、#6で説明したサウスウェスト航空は、トレードオフを明確に実行しています。まだご覧になっていない方は是非御覧ください。同社CEOハーブ・ケレハー氏のブレない姿勢は必見です!

「戦略を持たない」

販売するものやサービスがあり、価格が決まっていれば、それを販売することは可能です。しかし、何も考えずに販売するのと、戦略を持って販売するのでは、おのずと販売成果に違いが出てくるのは自明の理と思われます。

もちろん少しは「こう販売しよう」と考えるでしょう。
でも、ちゃんと戦略を持って販売しているでしょうか? 

戦略を策定するのは、非常に泥臭く、面倒、手間がかかる作業です。

戦略を考えたって、売れないときは売れません。
戦略自体が的外れで意味がないことも当然あります。

でも、それ以上に成功する確率を上げることが出来るように感じています。#3で触れているので参照下さい。

「マーケティング戦略と混同する」

ここは、書かれている部分をそのまま引用した方が分かりやすいと思うので引用させてもらいます。P255

顧客やニーズに目を向けるうちに戦略が生まれるのは、ごく自然なことです。だから価値提案を中心に据えた戦略をもつ企業が多い。これは戦略の需要サイドにあたります。だが堅牢な戦略の必要条件は、特別に調整されたバリューチェーン、すなわち価値を実現するための独自の活動の組み合わせをもっていることです。つまり、戦略とは供給サイドの話でもあるのです。戦略は需要サイドの選択と、バリューチェーンについての独自の選択(供給サイド)とを結びつけるもの。この二つがそろわなければ、競争優位をもつことはできません。

読み過ごしそうなぐらい、さらっと書かれている部分です。まとめでも出ていません。でも、「最高を目指す」「トレードオフ」と同様、”しがち”な戦略の誤りを端的に説明されていると思います。

自社の強みを過大評価する

3CのCompetitor(競合)分析においては、Company(自社)分析と同時の行ったほうがいいとボクは思っています。ただ闇雲にCompetitor分析を行っても、その強さ、弱さを判断する尺度がないからです。Company分析を同時に行い、自社を尺度として、Competitorの強さ、弱さを判断すべきです(#2参照)

これは、逆も真で、いくら自社Companyがもつ独自資産を尺度なしで判断しても意味がありません。Competitorとの比較においてのみ、その資産の有効性が見えてきます。

次回は、いよいよマーケティングフレームワークに触れます!

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