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物語『賢者とミカド』の続編です。

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異世界か歴史か現世が混じり合うお話の続編。 大陸に新たな「ミカド」と「賢者」が現る?
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『続・賢者とミカド』第四回 「白ネズミの化身」

『続・賢者とミカド』第四回 「白ネズミの化身」

西の国の都の宮廷で行われた「円卓会議」では、空席となってしまった「大王」の座に誰を据えるかについて話し合われたのですが、ほとんどが、ネズミ大臣こと「デティ」の独演会のようになっていきました。
デティによる提案は、次期大王に、十年近く前に死去した、今でも褒め称えられる偉大なる大王・ミカドと同じ名前を名乗ってもらうのはどうかというものでした。「ミカド」とは、元々、この大陸に伝わる、畏れ多き闘神の名前な

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『続・賢者とミカド』第三回「ネズミ大臣の策謀」

『続・賢者とミカド』第三回「ネズミ大臣の策謀」

その大臣は、再び、大広間の中をぐるぐる足早に歩き回るのでした。ネズミを連想させる動きでした。それで、ここでは、その大臣を「ネズミ大臣」と仮称して話していきます。

それまで薄暗かった広間に外からの光が差し込み始めると、ネズミ大臣の姿がより明らかに浮かび上がっていくのです。
その頭には赤い四角い烏帽子のような冠が載っかっており、よく顔を見ると、目は小さく丸く、目の玉の奥は朱色で、肌は白っぽく見えるの

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『続・賢者とミカド』第二回 「黒猫たちの会合」

『続・賢者とミカド』第二回 「黒猫たちの会合」

北の地の果ての大山は雪に覆われていて、その周りは、ほぼ常に吹雪が吹き荒れているような天候でした。
何人も立ち入らせない妖気のようなものが立ち込めている印象でした。

私たちは、そんな人が立ち入るには禁断と思われる、恐山(おそれやま)の中へと潜入を試みたいと思うのです。

・・・

雪山の中は洞窟となっていました。
ほとんどが暗闇に包まれていました。
奥に通じるトンネル状の細い道には、ほのかな青白い

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『続・賢者とミカド』第一回「ミカドの幻影 」

『続・賢者とミカド』第一回「ミカドの幻影 」

【序】
前回の物語を今一度振り返っていきますので、前回を読んでいなくても、流れをつかんで頂きながら、読むこともできます。
どうぞこのままお読みください。

・・・・

大陸の西の国の大王ミカドは、世界を統一する目的で、各地に進軍し、戦(いくさ)を繰り返していました。

ちなみに、「ミカド」とは、大陸の西の地に古(いにしえ)より伝わる神様の名前です。愛しき者のために闘い、平和をもたらす闘神の名前なの

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