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市紗
2020年1月17日 21:04
「懐古」夕暮れの小さな部屋細い綺麗な指で銀のキイを押える彼女は私の一番目の女神で薄紫のひかりを奏でた笛吹き古い木の机の上に並べられた葦のかけらと水メトロノームの硬さすら彼女が和らげる橙の時がみちる緩やかな疲れの中で追いつこうと重ねた私の音符余私はオーボエを吹いていたことがある。独特の音色と複雑な構造とダブルリードの繊細さが本当に好きだった。ずいぶんと触れていないけ
2019年8月8日 17:23
どの季節でも夕方というのは一等良い。今は夏。うだるような暑さを孕んだ風も落ち着いてくる。クーラーを一度止めて、扇風機の首をぐるぐる回して、網戸にする。パソコンを開いて、適当にピアノ曲を選んで流す。アンダンテが良い。詩集を机に置く。これも適当に選ぶ。なにせ本棚には好きな詩人のものしかないから、どれを選んでも失敗することはない。電気はまだつけてはいけない。窓からの明かりで十分。いつも