緊急時の広報誌が成すべきこと
リスクコミュニケーションにおける広報
今回は、緊急時でのリスク下における広報誌の役割について考えました。下記紙面は、新型コロナウイルスを特集した「ねりま区報4月11日号」です。
多くの自治体広報誌では、日々の感染拡大や緊急事態宣言の発令により、現在、こうした感染拡大防止策や各種支援事業、相談窓口を伝えています。
広報の目的や役割は、リスクコミュニケーションを考えるうえで、提供する情報が各段階で変わってきます。
❶平常時(通常)
防止と緊急時の備えを伝え、危機管理体制を確立する
❷緊急時(発生)
危機管理を伝え、被害の最小化を図る
❸収束時(復興)
平常時への復旧を目指し、回復と再発防止に努める
この紙面は、4月7日の緊急事態宣言の発令から4日後の4月11日に発行と、❷の緊急時にあたる段階での広報にあたり、被害の最小化を図るため迅速にリリースされました。
(参考)ねりま区報 令和2年4月11日号
(参考)広報しながわ 令和2年4月11日号
(参考)おおた区報 令和2年4月11日号
伝わる広報がリスクを変える
今回のリスク時における広報だけでなく、情報の送り手である行政と受け手である住民との間には、「情報の満足度」に関するギャプが日頃から存在しています。
こうしたニーズと課題のギャップを解決するためにも、広報は多くの住民に情報を正しく伝える役割があります。
広報において、「正しく伝わる広報」とは何か。
特に行政広報は、一方的に「伝える広報」となりがちですが、「伝える」と「伝わる」には大きな違いがあります。
「正しく伝わる」とは、情報やメッセージの送り手が「正しく伝えること」と、受け取り手が「正しく理解すること」が同時に達成されることです。
伝わることで、住民は危機管理を知り・考え、リスクを認知・理解する。
正しく理解することで信頼感が醸成され、リスク回避の行動をとる。
緊急時でも広報誌が伝えるメッセージは、読者に迅速かつ表現を工夫して発信することが大切です。
「伝える」から「伝わる」広報へと変われば、リスクを減らすことできる、それを実現するのが広報の力といえます。
最後に、以前noteで書いた「地域の広報誌のあり方について考える」での一文を改めて。
ー 自治体広報誌を皆さんが身近に感じ、さらに読んでもらえる人が増えると、地域での暮らしが充実していくものになるかもしれません。