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シルクロードを通じて伝わったもの

パキスタンと日本の関係は大変古く、交易路であったシルクロードを通じて、古代インドから直接的または間接的に日本まで多くの文化や技術が伝わりました。

シルクロードは東西の交易路であるとともに、それぞれの文化が行きかう交流の路でもありました。主な交易品は、その名の通り中国で作られた絹製品(シルク)です。その他、東洋からは茶、染料、香水、磁器などが、西洋からは馬、ラクダ、蜂蜜、ワイン、金などが輸出されました。

シルクロード

この記事ではシルクロードを通じて伝わったものを紹介します。

仏教と哲学的思想
現在のパキスタン北西部に存在した古代王国ガンダーラは仏教の中心地であり、シルクロードに沿った仏教の広がりは、遠く日本にまで地域を結びました。仏教とともにその哲学的思想も、ガンダーラから西域、中国、朝鮮、日本へと伝来しました。

ガンダーラ

ガンダーラ美術
ヘレニズム文化の影響を受けた古代インドで生まれたガンダーラ美術は、中央アジアを経て、中国、朝鮮、日本にまで伝わりました。※ヘレニズム文化はアレクサンドロス大王の東方遠征によってギリシア文化とオリエント文化が融合して誕生した文化です。

アレクサンドロス大王の東方遠征

仏像
仏教は6世紀頃、朝鮮半島より日本に伝来し、仏像造りとその技術も日本に伝わりました。仏像はインドからシルクロードを通って、中国、日本へと伝わりました。和歌山の道成寺にはガンダーラ美術の釈迦如来像が祀られているそうです。

釈迦如来像

数字
アラビア数学(0.1.2.3.4….)は、古代インドからシルクロードを通ってヨーロッパへ伝わったと言われています。インド起源の数字にもかかわらずアラビア数字と呼ぶのは、アラビア経由でヨーロッパへ伝わったから。アラビア数学は日本へ明治時代に伝わりました。

アラビア数字の伝わり方

医学
医学の知識や薬も、中国からシルクロードを通って各地へ伝承しました。日本に伝わったお薬は東大寺の正倉院に納められています。シルクロードは医学の普及と進歩においてかなり重要な役割を果たしました。

中国のお薬

小麦料理
小麦の製粉技術は、中央アジアからシルクロードを通じて中国へ伝わり、中国でさまざまな小麦料理が食べられるようになりました。麺は中国で生まれたあと、再びシルクロードを通じて東西へと広がりました。日本のうどんやそうめんも中国から伝わったものです。

中国の小麦料理

絹と養蚕
絹(シルク)は、中国からシルクロードを通ってインドやペルシャへと、山や砂漠を越えてヨーロッパへと伝わりました。ちなみに、養蚕と生糸生産は、日本へはシルクロードよりもさらに前の弥生時代に伝えられたとされています。

絹糸

これら以外にも、クルミやザクロなどの植物、毛皮や絨毯などの毛織物、貴金属やガラスなどの工芸品、琵琶などの楽器、絵画の画法など、今の私たちの生活に欠かせないものが、シルクロードを通じてはるか日本にまで伝わりました。

ちなみに、胡椒(こしょう)、胡麻(ごま)、胡座(あぐら)、胡瓜(きゅうり)、胡桃(くるみ)、胡弓(こきゅう)・・・「胡」という漢字は古代中国において西方の異民族の称でした。「胡」が付くものはシルクロードを通じて、中央アジアから中国経由で日本に伝わったものです。