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日記

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記事一覧

日記:稲荷ずしを作る

いっぺんにたくさん炊いて保存していた白米が全く消化できないでいたので
稲荷ずしを作ることにした.

本当は炊き立てのご飯で酢飯を作ったほうがいいんだろうけど気にしない.
最近は良い世の中だ.かんたん酢なんてものが売っていてこれをご飯に混ぜればそれこそ簡単に酢飯ができあがる.

薄く輪切りにしたきゅうりに塩をふってよく絞る.
ピンク色の新ショウガは薄切りにしておく.

2合分のご飯をレンジで温めてか

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日記: じいちゃんが眠っていた

じいちゃんが私を忘れてから3年、意識を失ってから半年がたった。

硬直した手首を胸元にぴったりくっつけている姿はティラノサウルスみたいだった。
自力で閉じることのできない開けっ放しの口を覗き込むと、舌の上にからからに乾いた結晶塩のようなものがこびりついていた。

枕もとでクラシックギターの静かな曲を3曲流し病室を後にした。
流している間かちかちになってしまった右手をそっと撫でた。

もしかした

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日記:恋人たちの夢

たちの悪い夢をみた。

細かい筋は覚えてないけど、10代の終わりから長いこと付き合っていた昔の恋人がでてきた。
恋人という言葉に漂う甘美な香りは夢の中の私たちの間にはない。
その人の隣で、今の恋人のことを思い出してひたすらに罪悪感を感じていた。

昔の恋人は相変わらず、自由気ままに寝ていた。
あれもしなくちゃこれもしなくちゃとせかせか動き回っていたあの頃の私はそういうのんきさにだいぶ救われていた。

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日記:揚げたてのカレーパン三つ

早起きをして部屋を一生懸命片づけ始める。
今日は私の住むちいさな部屋にソファが搬入される日だ。

食パンをトースターに放り込む。
湯を沸かし、コーヒーを入れる準備を整える。

いったん台所から離れ、服を選ぶ。
しばらくぶりに白いボトムスをはいてみよう。
この灰色のセーターもついでに。
これだ、と洋服を選び取れる日はとても気分がいい。
着替えている自分からしゃきしゃきと音がしているような気がする。

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日記:すでに特別な存在だった

眠れなくて夜に三度ほど起きる。
どうして眠れないんだろう?
金縛りにあう前の前兆のような嫌な気分がする。
意識をベリベリと強引にはがされているような。

急にぞわりとする。
今、目をしっかり開いたら、見えないものが見えそうだ。
「見よう」と努めると、見えてくるものがある。
免許を取ったとたん道路標識が目に飛び込んでくるように。

押入れの隙間や、天井の隅のくらがりを絶対に見ないことを心掛けトイレを

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