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遠藤 春奈/こんにゃく工房 迦しょう

法人名/農園名:株式会社Mighty Konjac/こんにゃく工房 迦しょう
農園所在地:群馬県沼田市
就農年数:17年
生産品目:コンニャクイモの栽培と、こんにゃく加工品
HP:https://konjac-kasho.com/

no.92

内需減少のコンニャク。スイーツ加工でギフトとしての魅力を

■プロフィール

 ニューヨークに美術の勉強で留学したのち、英国で日本語教師として働くなど、海外経験が長く、TV番組制作会社のADだった夫とも旅行先のバルセロナで出会って結婚。

 妊娠中、夫が「農家になりたい」と言い出したことがきっかけで、2005年4月、夫の実家がある群馬県に移住し、義父の知り合いでコンニャク農家を辞める人から畑を借り受けたうえ、農機具も譲ってもらって就農。

 2014年には親戚の加工場を引き継ぎ、パートも雇用して、6次化をスタート。群馬県産の果実を使ったこんにゃくジェリーなどを商品化。

 2016年にはニューヨークのスーパーマーケットで販売を始めるなど海外への販路拡大にも積極的に挑戦。

 経済産業省が選定する「ふるさと名物500選」「The Wonder500」にも選定。2020年「フード・アクション・ニッポン・アワード」受賞。農業女子プロジェクトに参加。

■農業を職業にした理由

 テレビ制作会社を退職して、キッチンカーの運営をしていた夫が、妊娠をきっかけに「自然が豊かな環境で子育てしたい」と故郷で農家になると宣言。家庭菜園どころか農業のことを何も知らなかったので、「農業って平和かも…」と安易な気持ちで賛同した。

 コンニャク農家を辞めるという義父の知人から3ヘクタールの畑を借り受け、農機具も譲ってもらうことになり、2005年4月に移住。

 研修経験もなく、改良普及指導員や同業者に教えてもらいながら植え付けに取りかかった。最初の1〜2年は種芋の状態が良かったので、ビギナーズラックがあったが、自己流で挑戦した3年目(2008年)に、根腐れ病が発生し、畑1枚をダメにしたことも…。思うように良いものが作れず、5年目までは厳しい経営状態が続いたという。

 夫の叔父からこんにゃく加工場を継承した2014年からは、栽培と加工を分業し、果実を使った「こんにゃくジェリー」の開発手腕で注目されるようになった。

 国内需要が減少傾向にあるなか、2016年にはニューヨークのスーパーマーケットに進出するなど、販路拡大を目指して挑戦を続けている。

■農業の魅力とは

 作物はウソをつきません。努力すれば、努力に見合う分だけ、サボったら手を抜いた分だけ、成果にあらわれます。

 スーパーマーケットなどの小売店で一般的なコンニャクは、アジアから輸入した安価な原料のものが多く、食生活の多様化により、コンニャク全体の内需は年々減少しています。

 収穫まで2、3年必要とする手間のかかる作物である反面、主役にはなりにくい地味な食材ですから、味に違いがあることを知らない人も少なくありません。

 群馬県は全国の生産量の9割を占める産地ですが、コンニャクが贈り物になったり、お土産になることもありませんでした。私が加工に力を入れるようになったのも、もっとたくさんの人にコンニャクの本当の美味しさを知ってもらいたいという一心からです。

 当初、海外展開を視野に入れていましたが、欧米では白滝は低カロリーのヌードルやパスタとして受け入れられたものの、コンニャクそのものは、食感や独特の匂いに人気がなかったので、果実と組み合わせてスイーツとして商品化しました。

 コンニャクのイメージアップにつなげようと、パッケージやWEBサイトをポップに変えています。その努力が実って、地元の皆さんからも、少しずつ認知されるようになっています。

■今後の展望

 現在も生産物の大半は地元のコンニャク製粉工場に卸していて、自前で加工しているのは10%程度です。

 2016年には米国に進出しましたが、コロナ禍の影響で、それも難しい状況です。

 でもだんだんと、コンニャクを使ったスイーツの認知度が広がって、2022年5月に隣村の道の駅「川場田園プラザ」で初の小売店「菓匠迦葉(かしょう)」がオープンしました。

 コンニャクで作った白玉団子やゼリーを主体にした「クリーム白玉蒟蒻あんみつ」や、「蒟蒻バブルソーダ」などのドリンクが人気で、夏はかき氷メニューも展開しようと計画しています。

 この人気が飛び火して、草津温泉など他の観光地でも出店の声がけをいただいております。

 群馬の名産というと、某ラスクが有名でしたが、今後は土産店をはじめ、お中元・お歳暮などのギフト需要でコンニャクを選んでいただく機会が増えることで、全国の人たちにコンニャクの魅力を再発見していただければと思っています。

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