見出し画像

用語を考察しよう:スポーツ:マネジメント編

日本はよくマネジメントの「立場・役割」が曖昧だと言われます。企業でも一時期色んな役職・役務が出来解り難かったと言われていましたね。

陸上競技、特に中長距離・駅伝の世界もご多分に漏れずそういった状態が続いています。ただこれは「誰か」の責というよりは自然発生的に対応していたのが、ネット時代を迎え、統合的に見るとチグハグだったということに気付かれてきたということです。


★マネジメント:チーム経営・運営★

みなさんもご存知の通り、陸上競技は一部プロ選手が居るとはいえ「アマ」競技です。その多くを実業団システム、部活システムに依拠しており、プロチームは存在していません。

責任の所在や企業で言う権限や「執行」について曖昧さも多く残っています。これは草創期からずっと続いてきて今だ過渡期と言えるからです。

全部を書き連ねたら相当な分量になるのでざっくりと行きますが。


〇顧問、部長、監督

部活では基本的に「先生」が顧問を引き受けています。今後、先ずは外部指導者制度を設けたとしても「学校に設置された活動」である限り、顧問=部長としての立場は消えません。基本的には「部全体の責任を学校側の責任者として」全て負う人ですね。

これが学校から切り離され、クラブチームとなっても学校が介入するなら「生徒」としての立場に関わる事になるので、学校側の責任者がどうしても発生します。これがピアノ教室のように完全に学校から切り離され、民間に任せるなら関係なくなる役職ですね。部活改革の行きつくところは生徒一人一人にクーポンを渡すなりして助成しても、基本的には民間にしないと先生の負担は消えません。

そしてここで誤解が起きます。

高校駅伝などの場合「監督」と呼称されます。私立高校や大学ではこの「監督」というものが置かれますね。ただ大抵の公立や強化部でない大学などでは顧問や部長が兼任しているため「責任の範囲」が解り難くなっています。

監督というのは本来的には「チームにおける競技面での責任者」ですね。そのトレーニングや大会中の選手の様々なことに責任を持つ。これは指導も一体」と見なせるでしょう。

ただ日本の場合GM(ゼネラルマネージャー)とFM(フィールドマネージャー)の区別があまり進んでいません。GMはフロント側、基本的には経営者側としてチームの強化を担当します。いわゆるチームスタッフもこちらに属する形ですね。

こちらのサイトがそのあたり詳しいです。

日本で一番誤解が多いのはこの部長と監督の関係性。本来的には学校活動としての部活は部長が責任を負います。チーム活動中以外のトラブルや生徒としての行為、学業に関しても同じですね。

どうしても今までは部活中心で来たので、学業などへの配慮義務や生徒の行為も全てチームに負わせ、監督=顧問に責任が行っていましたが、プロチームではそのようなことはありませんよね。

基本的にはそのあたりは部長の責任の下、ガイドラインを出すもので、それを監督に一任したとしても「任じた」部長側に責任があると考えられます。また「結果責任」についてもプロと同様、そういった内容が明記された契約が存在しているならともかく、なければ本来的には監督に負わせるのは難しいと考えられます。


とにかく成立から時間が経ちましたが、少しずつ「アマ」としても「部活」としてもどうすべきか議論が必要になっていきます。でないとあやふやな組織や職制に基づいた突発的、個別的な事案に対応する術が今一つ不足しています。

最近、急激にガバナンスを叫ばれるようになりましたが、今のままではまだまだしっかりと構築できません。この辺りで冷静に整理する必要があります。


更にややこしいのは大学部活では陸上競技部の中にブロック制を採っている場合。部長は「全体の長」。では「総監督」とはなんでしょう?

基本的には「監督」のトップと言えそうですが、競技現場における全選手、全部ブロック活動の責任者と言えますね。そして各ブロック毎に監督(例えば駅伝監督)を置く場合は「そのブロックに活動が行われている間の責任者」と言えるでしょう。

総監督がそれぞれのブロック監督に一任している形ですね。

ここで時々出てくるのが「ヘッドコーチ」ですが、基本的には「監督」と同意味ですね。コーチのリーダーとは違いますが、ヘッドという語感からか混同されることが多いです。監督の下にヘッドコーチを置くのは職制が被っているので、監督が恐らくGMを包括している場合だとまだスッキリと見えるでしょうけど。


こうやって見て行くと一般的には凄く解り難い&誤解を生む状態があります。解決法としては職制を統一していくか、担当している役をきちっと書き出し、併記していくかしかないでしょうね。

そうでないと様々な面できしみが出ると思います。


ちなみに部活にはマネージャーというものも存在しますが、本来的に言えばマネージャーというのは「監督」のことか部長に近いか。いずれにせよ「チームマネジメントを担う人」という意味ですね。

これも学校スポーツなので「学生主体」という部分もあって「部活運営」はマネージャーがし切ることになると考えられます。ただ現実とは乖離していますね。やはり大学でも「学生主体」で行うのは難しく、クラブチームとして大学がメインスポンサーのような形を採っていく方が現実にそぐう感じがします。そうして学校側がコントロールしたいならクラブのトップに学校側の責任者を入れる形でしょうか。


プロ人材、フリーとして活動し、それぞれの契約を結んだ場合も、このあたりの組織や権限、規律がぐちゃぐちゃだと先ずそこで苦労することになります。

そういった部分で摩擦が起き、結局有為な人材も去っていくことになったり、消耗品のように扱ったり。もちろん、チーム側にも混乱を招くことになります。


この辺り、文章にすると解り難い話しでも、会社のように「組織図」を書いてみると解りやすくなります。「組織図」がまともに書けないくらいぐちゃぐちゃなチームもあるかもしれません。

そういった目でチームというものを知るのも一つの手ですね。


★★★

このnoteで書いたことが「正解」ではなく、あくまで問題整理の一つとして考えて頂ければ幸いです。

今から改革が進み、少しでも良き活動をどこも、誰しもが行えることに繋がるよう願って。自分も活動していきます。



いつもご訪問、お読み頂きありがとうございます。 すき(ハートマーク)を押して頂いたり、コメントやSNS等にシェア、サポート頂けると励みになります。サポート、応援頂いた分は必ず、活動する中でみなさんにお返しして行くことが出来ると思います。今後もお付き合いを宜しくお願い致します。