小さい頃の「本」体験
祖父が小さな本屋さんを営んでいた。どこかでも書いたけど、祖父っ子だった小さい頃の自分はしょっちゅう遊びに行って、作業を見て、手伝ったりしていた。(囲碁との出会いも祖父)
祖父は結構な高齢で(小さい頃、祖父は活動的な人だったので年齢を意識したことはなかったけど)、本屋さんも衰退期に入っていたのかもしれない。最盛期があったのか、なかったのか?そこは今一つ解らず残念。
とにかく、本屋さん。朝が結構早いし、ハード。
通勤通学の人が新聞や雑誌、漫画を買っていく。どんどん買っていく。今でこそJRにはキオスクがあり、駅で買う人も多いかもしれないけれど(そもそも新聞も雑誌も売れなくなっていたり、コンビニで買う人も増えた?)。
祖父のところはお客さんがまるで投げ銭のように小銭をポンとカートにおいてさっさと駅へ向かっていく姿を多く見かけた。まあ、適当だ(笑)お客さんがきちっと支払っているかどうかは信頼関係でやっているよう。
そんな信頼関係のあるお客さんたちに毎朝提供すべく、通勤通学前の時間帯には本屋さんは開いているというわけ。
定休日もなかったと思う。来る日も来る日も店を開ける。
もちろん稼ぐためには、店を開けなきゃ始まらない。そして、もし開けなくても問屋から商品はどんどん運ばれてくる。返品作業もある。一時的にさぼったら余計に仕事を抱え込むだけ。
確か、正月3が日は休みにしていたと思う。その時は休み明けの為の商品が家の中で出番を待つこととなる。山と積まれた本や雑誌や漫画たち。そう、いわゆる在庫というもの。構造上、店と住居がくっついていて、倉庫と言えるような場所はあるのだけれど、そこをダンボールで埋めてたから、必然的に在庫は住居区へ侵入することになる。
もうこれだけ本や雑誌、漫画が溢れていた環境に関われば、自然と本が身近に感じる訳です。祖父からのプレゼントも本。小さい頃は『人物日本の歴史』や『世界の偉人伝』あたりだと思うけど(親かもしれない)セットものを頂いた。
有難いことに我が家にも大きな本棚があり、沢山の本を所蔵することが出来た。
そうして徐々に自分の身の回りにも本が溢れるようになっていく。当時は近くに図書館は無かったように思うけど(行ったことはあまりないはず?)学校の図書館は良く利用したはず。
『耳をすませば』のような出会いを求めていたわけでもなく、ただ貸出カードに名前を書き込むのは嬉しかったと記憶している。
祖父の店で売っていないような本との出会いはこっちの方から。ルパンや江戸川乱歩をはじめとする冒険ものやミステリー、童話やなんやらも記憶にある。
雑多読み、興味あるものは片っ端から読む習慣もそうやってついたんだろうと推測しています。小さい頃からそんな状態を繰り返せば、そりゃそうなりますよね。
もしお子さんが、何よりみなさん自身があんまり本を読まない/読めないなら、でもちょっとは読もう/子供には読む習慣を付けようと思うなら、先ずは本屋さんに脚を運んでみましょう。
そして、表紙が可愛いでもタイトルが気になったでも良いので買ってみましょう。読まなくても良いから置いといてみましょう。身近に本があることが大切だと思います。身近にあれば、何かの拍子にひょいと手に取って、少しずつでも読み進めるかもしれません。
同じ様に、図書館ならとりあえず興味のありそうなものを借りてみましょう。きちっと読まなくても、ぱらぱらっと見て、また期日に返す。それを繰り返していても少しずつ本に触れる習慣が身に付いていきます。
待ち合わせや街での空き時間も本屋さんに行ってみましょう。最近はブックカフェも増えているし。病院や美容室の待合でスマホではなく、本を手に取ってみる。
こうやって本に触れる機会を多く。少しでも身近にしていく。
そうした中でみなさんや、子供さんたちに習慣づいていきます。そして、私が今でも記憶する本たちのように、自分にとっての良い本との出会いが訪れるチャンスが大きくなっていくと思います。
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