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ゆるくて雑で、甘やかさない授業

昨日、フランスにはいい意味で雑な雰囲気が漂っている、と書いた。
いい感じにゆるくて、過ごしやすい。

それは、語学学校の授業にも表れているなあ、と思う。

◇◇◇

授業は、毎日10時から15時まで。
週に2回、9時15分から先生に質問できる時間が設けられている。

午前の授業では、毎回、初めにプリントが配られる。
プリントには短めの文章と、問題。
文章の読み取りはしたりしなかったりで、あとは文章のテーマに関連したエクテ(聞き取り)やディスカッションをする。
最後に文法事項の説明を受けて、練習問題を解いて、答え合わせをしたら終わり。

午後は、ひとつだけに内容を絞って練習する時間だ。
ボキャブラリー、ディスカッション、文章の作成、エクテ、発音と、毎日内容が変わる。

◇◇◇

「雑でいいなあ」と思うのは、あまり厳格な感じがしないから。

ちょっとくらいなら遅刻しても平気だし、飲み物やトイレのために教室を出るのに、先生の許可を得る必要もない。
みんな、すっ…といなくなって、すっ…と戻ってくる。

授業中は、わからないことがあったら、いつでも質問をしていい。
質問でなくても、自分が思ったことをどんどん発言していって大丈夫。
たまーに話が逸れすぎたら、先生がうまいこと喋って軌道修正してくれる。

文法やエクテみたいに、明らかに答えがあるもの以外は、間違いも気にしなくていい。
ディスカッションする時や、自分のアイデアを話す時は、合ってるも間違ってるもないもんね。

日本のフランス語教室の授業や、大学院の講義の一部もこんな感じだったから、すぐに馴染めた。
黙って先生の話を聞いて、板書をノートに写して…なんて形式の授業、もう受けていられないかもしれない。
最近はもう、喋らないとすぐに眠くなってきてしまう。

宿題も特にない。
週末に1枚だけプリントが出て、週明けに提出するだけ。

◇◇◇

こんなにゆるくていいの、と思う人もいるだろう。
というか、高校生くらいの頃の、あの厳しくてまじめ、静粛な雰囲気の授業に染まっていたわたしなら、確実にそう思ったはず。
「遅刻を注意しないなんて!」
「宿題がないなんて!」
「甘やかしすぎ!」
ってね。

でも、よくよく考えたら、しめつけが厳しい方がよっぽど甘やかしている。
だって、その人が自分で考えて行動しなくても、代わりに考えてくれるってことだから。

遅刻したって、遅刻してもいいやと思っているのは、遅刻によるデメリットを被るのは、自分。
宿題なんかなくたって、勉強する気があるなら、勝手に自分なりに勉強するはず。

ゆるくて雑な雰囲気は、「自分のことを決めるのは、自分」という暗黙の前提があってのことなんだと思う。

そして、授業中に自分のアイデアをどんどん発信する隙があるのは、いいことだ。
言語の上達のためには、言語を使うしかない。
他の人とコミュニケーションを取る上でも、相手の話を理解するのと同じくらい、自分のアイデアを伝えることが大事。
でないと、相互理解なんてできないしね。

このゆるくて雑で、甘やかさない授業、わたしは気に入っている。
さて、宿題でもやろうか。
その後は、ボキャブラリーかディクテーションをやろうかな。

最後までお読みいただきありがとうございます。 これからもたくさん書いていきますので、また会えますように。