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住む人のリレー

昨日、同じ学校のクラスメイトと、カフェに行った。

彼女は半年前からこの街にいて、やはりだいぶこの街に詳しかった。
すてきなカフェをたくさん知っているし、わたしが行けないであろう場所にも、何度も行っているみたいだった。

半年もいれば、「住民」って感じになる。
そこまでこの街に馴染んでいることが、素直にうらやましかった。

彼女からは、わたしの残り時間で行けそうなところ、行くといいところを、教えてもらった。
彼女のおかげで、ひとりだけでいるよりも、この街のことを知れた。

◇◇◇

昨日も今日も、一昨日フランスに着いたばかりのホームメイトと学校に行った。

わたしだって大して詳しくはないのだけど、バスやトラムの乗り方を教えた。
大きくて便利なスーパーや、きれいな景色が見える場所、おいしいパン屋、化粧品を安く買えるお店、知っている限りのことを彼女に伝えている。

わたしはもうすぐ帰るけれど、彼女は12月までこの街にいる。
春や夏、秋、わたしが体験できない季節も、彼女が楽しんでくれるといい。

◇◇◇

来てまもないわたしに、いろいろ教えてくれた人がいて。
今度はわたしが、別の人にそれを渡す。
他の人から受け取ったやさしさや思いやりを、同じように、来たばかりの人に渡す。

バトンをつなぐみたいだ、と思う。
人の入れ替わりが多い場所では、こうやって世界が回っているのだろう。

できることなら、もっとこの街にいたかったけれど。
ただの一瞬でも、そのリレーに加われてよかった。
この街に住んでいた証が、できたようだから。

最後までお読みいただきありがとうございます。 これからもたくさん書いていきますので、また会えますように。