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読書紹介 そういえば読んだことない 編Part6 『怪盗紳士ルパン』

 どうも、こぞるです。
 今回私がご紹介するのは、モーリス・ルブラン作『怪盗紳士ルパン』です。
 全部で9篇からなっており、最初の話が1905年、原作単行本が1907年発行ということです。このシリーズで紹介する本は、時代が想像つかないものが多いですね。私が今回読んだものは、早川書房から2005年に出ている平岡敦訳のkindle版です。

-作品内容-
 大西洋を行く客船プロヴァンス号に無線が入った。「貴船にルパンあり。一等船客、金髪、偽名はR…」あの怪盗紳士がこの船に!いったい誰がルパンなのか?船客たちは恐怖と興奮に沸きたつが―世界に知らぬ者なきヒーローが誕生した記念すべき「アルセーヌ・ルパンの逮捕」など、傑作9篇を収録。ルパンの前にルパンなく、ルパンの後にルパンなし。

得得ルパンセット

 こちらの本、数あるルパンシリーズの中で、第1巻にあたるものなのですが、まあ、お得!です。これさえ読めば、ルパンの基本情報が全て抑えられるんじゃないかというぐらいです。ルパンの出自もわかれば、最初の事件もわかるし、二人のライバルとの関係性も見えてくるのです。
 恥ずかしながら、子供の頃も含めて、初めてのルパンだったのですが、もっと謎だらけの人物かと思っていたアルセーヌ・ルパンさんが、読者目線では非常にわかりやすくその像が描かれているのに驚きました。
 それから、全然知らなかったのですが、このルパンシリーズは、作者のモーリス・ルブランが、ルパンから自身の冒険譚を聞いて小説に認めているという形式をとっています。ちょうど、ワトソン医師がホームズの話を聞いて、本にしているかのように。今作の1編には、作者モーリス・ルブランが登場し、ルパンとの出会いを述べるという話までもが収録されています。
 古い年代が間に挟まれつつ、ルパンの各事件が紹介される短編集なのですが、ただいろいろな短編が入っているだけでなく、全体としてしっかりとつながりを持って、次の作品を期待させる終わり方になっているため、1冊のお話としてのクオリティも非常に高いものとなっています。

 う〜ん、ますますお得!

名探偵ハンニン

 他の作品、特に長編ではむしろ冒険小説的な側面が強いそうなのですが、こと今作に限って言えば、非常に質の高いミステリー小説となっています。中には、ルパンが事件に巻き込まれて探偵役を務める話もあり、そのトリックも非常に面白いのですが、私としては、ルパンが犯人でありつつ、探偵もしているという形式に面白さを感じました。
 古今東西、さまざまなミステリー小説がありますが、犯人が自分のやり通した完全犯罪を自信満々に語り明かす小説というのは、そうないのではないでしょうか。
 漫画『憂国のモリアーティ』(1巻しか知りませんが・・・)みたいな、復讐劇だとありえるんですかね。そういった作品をご存知の方いたら教えてください。

ハーロック・ショームズ

 こちら、ルパンシリーズに出てくる名探偵です。名前を見ただけで、あれ?ってなりますよね。原文だとHerlock Sholmèsと書いて、エルロック・ショルメとも訳すことがあるそうですが、バリバリのシャーロック・ホームズオマージュです。なぜか日本語訳版では、その後Herlock Sholmèsと書いてあっても、シャーロック・ホームズと訳されることが多いようなのでわかりにくいのですが、今作にて初登場した際には、原文でもまんまシャーロック・ホームズという名前を使っているみたいです。
 さすがに怒られたという説があったりなかったりで、その後は少しずつキャラクター性なので、本家と違いが生まれるそうですが・・・・・・いやあ、すごいですよね。ホームズの二次創作は、それこそ山のように作られてきていますが、実際にホームズが連載中(デビューは20年ほど後輩)にこれを書いちゃうところなんて。しかも無許可で。今の感覚では考えられませんが、でも、こういうコラボって、夢の共演であることは間違い無いですよね。
 犀川創平と桜井京介が建築学会で出会ったり、法月倫太郎と有栖川有栖がミステリー作家のパーティーで仲良くなるとか。ちょっと読んでみたい気もします。

さいごに

 思っていた以上に人間味が見えて、そして何より本当に「紳士」って雰囲気を漂わせた、初代ルパン。シリーズを読んでいくと、カリオストロの城など、モンキーパンチ先生の「ルパン三世」のオマージュ元がわかるようなものもあったりしますので、そういった興味から入っても良いかもしれません。
 また、原作の素晴らしさか訳のすばらしさか、あまり古臭さを感じずに読んでいける魅力もありますので、面白そうと思った方、是非お手に取ってみてください。そして、こんなお話だったとか、ここが好きだったなどの感想があれば、コメントなどで教えていただけると嬉しいです。


それでは、この辺で。









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