自粛解除後の高齢者の筋力低下とフレイル
緊急事態宣言、東京アラートが解除され、文京区根津にも人の姿が少しずつ見えるようになりました。今後の感染の予想は難しいものの、約2ヶ月間の自粛生活は感染症蔓延を一時的に抑え込むことができました。自粛生活によって得られた時間の捉え方は、人それぞれ。有意義であったと感じられる方、不安を抱えた方、ストレスを感じた方、そして、それは現在進行形であること。。。解除後のちょっとした変化を少しずつ感じつつも、当院に来院される子供たちや高齢者に最近感じることは「怪我をする人が増えていること」です。
子供の怪我は元の生活に戻り、活動的になったことが誘因だと容易に予想されますが、高齢者の怪我(特に頭部外傷)はどうして起こるのでしょうか?その誘因は自粛生活を強いられた結果、活動範囲が狭くなり、筋力低下が現れたものと考えます。
最近、テレビでも取り上げられている「フレイル」という言葉を知っていますか?
高齢者は、「健常な状態」から「要介護状態」になるまでに、「フレイル」という中間的な段階を経ていると考えられるようになりました。わかりやすく言えば「加齢により心身が老い衰えた状態」という感じでしょうか。しかし、フレイルは、その中にある問題を早く解決することで、元々の「健常な状態」に戻る可能性があるという状態なのです。
自粛生活により、筋肉量減少→活動量低下→エネルギー消費量低下→食欲低下→食事量減少→栄養不足(特にタンパク質)となります。さらに、そこから悪循環が始まり低栄養→体重減少→筋力低下が起こります。こうした悪循環をフレイル・サイクルと言います。このサイクルは転倒・骨折・慢性疾患悪化を招き、要介護になる可能性が高くなります。
フレイルを予防するには適度な「運動」と「栄養バランス」そして「社会活動への参加」が重要となります。
梅雨入りをした東京ですが、筋力を落とさぬよう「よく食べ、よく歩き」、気持ちを上げるために「よく笑い」、そして適度な距離を保ちながら「コミュニケーションを持つ」ことが大事だと思います。
6月15日から始まる区の検診は無料で「フレイル」の評価項目が入っています。血液検査
、レントゲン、心電図も無料です。
この機会に受診されることをお勧めします。
また、頭を打ったり、怪我した時も、すぐにCT撮影や縫合など対応できますので、お気軽にご相談ください。
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