久しぶりの朝帰りだった。飲みに出掛けて終電を逃し、レイトショーを観て喫茶店で夜を明かす。 夜の新宿はすっかりコロナ禍の賑わいを取り戻し、24時間営業の喫茶店も大盛況だった。 街に活気があり、なんだかうれしくなった。新宿の雑多で欲望に塗れた雰囲気は嫌いじゃない。パワーが溢れていて元気をもらえる気がする。 これが池袋だと精気を吸い取られてHPがどんどん削られる。肌に合わない街にいると、いるだけで疲れる。馴染みがあるなしでなく、街の肌感みたいなものって確実にあると思う。ちなみに表参
今年一回目のおみくじは末吉か小吉だった。枝に結んでしまったので覚えていないが、大吉でも凶でもなくありきたりなものだったことだけは覚えている。内容も可もなく不可もなく。ただひとつ恋愛だけは「今はまだ駄目です」。え?駄目?駄目です?これだけですます調なのはなぜですか?ほかは「よしからず」「あわてねば叶う」「さしつかえない」とかなのに恋愛だけは「駄目です」って強い主張を感じる。そして今っていつですか?今年ですか?いつならいいんですか、駄目っていうのは不幸になるのか、成就しないのか、
生活していると「なんかイヤだな」と思うことってあると思う。 何が嫌なのかはわからないけれど、なんかモヤモヤするイヤな雰囲気。それは場所だったり人だったりするのだけれど、なにかイヤな感じがする。それは「嫌い(キライ)」とはまた違う。なんだかよくわからないけれど、イヤな感じ。その直感とも言うべき、モヤモヤは意外と大切にしたほうがいいのかもっていう話。 ホワイト企業で感じたモヤモヤ数年前、転職をして入社した会社は、福利厚生がしっかりしていて、有給取得率も高い。休憩室があり、昼休み
自動ドアの前で、一歩前に出たり後ろに下がったり横に歩いたり。センサーを見上げては首をかしげ、また不審な動きを繰り返す。そうこうしているうちに後ろから人がやってきて、難なく自動ドアが開く。わたしってセンサーにも認識されないほどに、存在感がないのだろうか。 飲食店に入ったときも、しばらく店員に気づかれず待ちぼうけることがよくある。気づいてもらえないので、勝手に空いている席に座るが、店員はいっこうに気づかいない。「すみません」と声を上げるも、これまたわたしの声はまったく通らない。
「結婚=実家から逃げる手段」という図式ができあがり、「結婚は不自由で窮屈」という思いから、結婚しないという結論に至ったことを以前のnoteに書きました。結婚するしないよりも、わたし自身は性格的に結婚には向いていないと思っている。それは自分でもちょっと笑ってしまうくらい、とてもとても心配性だから。 子供の頃はこんなことがあった。 小学生だった弟の帰宅が遅い。門限を過ぎても、日が暮れても帰ってこない。さすがに、こんなに暗くなっても帰ってこないなんておかしい。折しも当時は子供を狙
二泊三日のひとり旅を終えると、なんだか心がモヤモヤした。 リフレッシュするための、有給を使っての温泉旅行。初日こそ仕事の電話があったものの、2日目からは上司も同僚も気を利かせくれて、完全に仕事からも解放された。 なのに、このモヤモヤはなんなのだろうか。仕事を休んだことへの後ろめたさ?いや、違う。 わたし、このままでいいの?ひとり旅で時間はたっぷりある。温泉に入り、本を読み、食事をしほろ酔いになりうたた寝をして、また温泉に入る。それでもありあまる時間。そのあまった時間で、
「ご結婚は?」 打ち合わせも終盤に差し掛かったころ、そう問いかけられた。相手は私と同じ年頃の女性。話上手な彼女のお陰で、打ち合わせは楽しくスムーズに進んでいた。 「してないんですよ〜。誰かいい人いないですかねぇ」と私は自嘲気味に答えた。 相手の女性も「私もなんですよ〜」なんて言って、結婚できない自分たちを自虐気味に語り合い、打ち合わせは大いに盛り上がった。 こんなこともあった。取引先との飲み会に参加したときのこと。総勢10名ぐらいの参加者全員が30代女性。そこでも結婚の話に
「何の本を買いに行くの?」 本屋に行くと告げた私に、彼は言った。 思いもよらぬ問いかけに、少しだけびっくりした。そうか、本屋に目的がないと行かない人もいるのか。 そういえば以前に「男は用がないと本屋に行かない」と言っていた人がいたのを思い出した。 私はそのとき、欲しい本があったわけじゃない。でもそこに行けば何かしら欲しい本があるのはわかっていた。久しぶりに近くに来たから寄りたいと思ったのだ。 SPBは駅から離れた場所にある。だからわざわざ私がその本屋に行くというか
「ねぇちゃん!体が溶けちゃう!」 弟が突然半泣きで言う。 私中学生、弟小学3年生ぐらい。 一緒にお風呂に入っていたときのことだった。 「シャンプーが体についちゃったから!早くとって!早く!!」 弟は叫ぶ。 シャンプーが体につくと体が溶ける?? 何を言っているのだろうか? 奇病にかかったのだろうか? 「大丈夫だよ。シャンプーで体溶けないよ」 「だって、ねえちゃんが言ったじゃん!」 なおを半泣きで叫ぶ弟。 私が? 時は遡ること数年前を 弟が幼稚園児だったころ。 やはり一緒
ときどき世田谷線に乗る。 世田谷線は、東京・世田谷区を縦に走る路面電車。東京とは思えないような、のんびりとした雰囲気が好きだ。通勤時間に乗ったことないから、そう思うだけかもしれないが。 その日も長閑な時間が流れる世田谷線に乗っていた。ぼんやり車窓を眺めていると、女子高生二人組が乗ってきた。派手さはなく、ごく平凡な感じの二人。運動部に入っているような、明るく快活な印象を受けた。 二人は座っている私の真横に立っていたので、彼女たちの会話を聞くとはなしに聞いていた。女子高生特有の