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休み方が下手ってどういうこと?
二泊三日のひとり旅を終えると、なんだか心がモヤモヤした。
リフレッシュするための、有給を使っての温泉旅行。初日こそ仕事の電話があったものの、2日目からは上司も同僚も気を利かせくれて、完全に仕事からも解放された。
なのに、このモヤモヤはなんなのだろうか。仕事を休んだことへの後ろめたさ?いや、違う。
わたし、このままでいいの?
ひとり旅で時間はたっぷりある。温泉に入り、本を読み、食事をしほろ酔いになりうたた寝をして、また温泉に入る。それでもありあまる時間。そのあまった時間で、わたしは漠然と仕事のことを考えていた。せっかくの久々の休みなのに。わたし、この仕事を続けていていいのだろうか?成長できているだろうか? たっぷりある時間のなか、そんなことばかり考えてしまった。
温泉から戻ってもセンチメンタルな気分は消えず、モヤモヤしたまま仕事をしていた。
このままこの仕事を続けていていいのだろうか?この仕事に向いてないのでないだろうか? やめようかな……。
仕事中も、そんな思いがグルグルと頭を駆け巡る。
とうとうわたしは、モヤモヤに耐えきれなくなって上司に相談した。漠然としたモヤモヤを途切れ途切れに話す。わたしの話を辛抱強く聞いていた上司は、「困ったやつだなぁ」といった感じで、苦笑をしながら軽い感じで言い放った。
「休み方がヘタクソなんだよ」
休むのにも上手い下手がある
深刻に思い悩んでいたわたしは、あまりの軽い調子に面食らった。
困惑するわたしに、上司が話してくれたのはこんな内容。
毎日の業務に忙殺されている人が、急に休みをとると、ちゃんと休めない。せっかくの休みなのに仕事のことばかり考えてしまう。それが前向きなことならいいけれど、決まってそういう人はネガティブなことを考えてしまう。休み慣れてないから、休み方がヘタ。休みなのに、精神的には全然休めていない。疲れているのに余計に疲れて帰ってきて、仕事辞めたいとか言い出す。
なるほど、確かに。いろいろ下手なわたしだけど、まさか休み方まで下手だったとは。でも、納得。
わたしの肩の力が抜けたところで、今度はゆっくりと慎重に言葉を選びながら、いろいろな話をしてくれた。闇雲に前を向かせるような暑苦しさはなく、静かで穏やかで人間味溢れる言葉で。俺について来い!と手を引っ張ったり、お前ならできるよ!と背中を押してくれたりするような強引さはなく、そっと背中に手を当ててくれるような、起き上がれなくなったら黙って手を差し出して助けてくれるような、温かく静かな激励。そして最後に言ってくれた。
「この仕事が向いてるかどうかは、私にはわからない。そんなの誰にもわからないよ。私だって未だに自分が向いてるのかわからないから。でも、やりたいんだったら続けたらいいんじゃないかな。続ける限りは最大限サポートはするから」
あぁ、そうだった。やりたいからこの仕事やってるんだった。一番当たり前で、一番大事なことを忘れていた。
それに、こんなにも真剣に向き合ってくれる上司を持って私はラッキーに感謝した。
休む=非日常ではない
わたしはリフレッシュの方法を知らなかった。旅行に行けば日常からは離れられる。それがリフレッシュすることだと思っていた。けれど、心から休暇を楽しめなければ、どこに行ってもリフレッシュなんかできない、心は休まらない。
仕事がデキる人というのは、休み上手だと思う。忙しそうにしているのに、しっかり旅行に行っている。その上司もそうだった。
最近のわたしはといえば、喫茶店での読書がリフレッシュになっている。日曜日は仕事のことは何も考えず、近所の喫茶店に出かけて小一時間ほど読書に没頭するだけで、しっかり休んだ気分になれる。
手軽なリフレッシュ方法を見つけたとはいえ、そろそろ旅行に行きたい。
あれ以来、ひとり旅に出ていないので、今年はどこかへふらりと出かけたいと思う。さて、今回は上手に休めるといいのだけれど。
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