西野 由季子

編集者。あなたのイマイチをピカイチに!面白さを発見&エンタメ化。売れるカタチに編集しま…

西野 由季子

編集者。あなたのイマイチをピカイチに!面白さを発見&エンタメ化。売れるカタチに編集します。「インディーズ作品をフランスにて電子書籍で販売」をコツコツと。この数年は『マンガ新聞』『MyAnimeList』SmartNewsマンガチャンネル、Google booksなど。

最近の記事

東洋経済さんの記事があまりにスカスカなので、マトモなツッコミいれてみました。

東洋経済ONLINE「フランスで「日本マンガの人気」再沸騰している訳」という記事がありました。 https://toyokeizai.net/articles/-/460243h あれあれあれ?これ背景や認識がすっぽ抜けてるじゃないか!と感じまして、反論反証をすることにしました。以下、該当記事と比較しながらお読みいただければ幸いです。 再沸騰なんてしてない日本マンガは2000年代に入り、前半は倍増ペースの売り上げを続け、2013、2014年のフランス全体の出版不況の影響で

    • 編集者がやるべき唯一のこととは!?『マンガに、編集って必要ですか?』

      元マンガ編集者として、このテーマはシリアスすぎて、今、頭を抱えながら書きあぐねています。 みんなして、見ないふり気づかないふりをして、何十年もやり過ごしてきたのに、もう寝た子は起きてしまった今、マンガ関係者は自らの立ち位置を決意せざるを得なくなりました。 作家さんも編集者もうやむやにしてきた自分と闘わないといけないのです。 作家さんの立場から読むと……主人公の佐木小次郎先生は崖っぷちのマンガ家。マンガ家さんのほとんどが、佐木先生と同じポジションにいます。 連載はギリギリで

      • フランスで絶賛の画力!植物オタク少年の歴史冒険譚『アルボスアニマ』①~⑤

        作者・橋本花鳥(はしもと・かちょう)先生は、その画力とストーリーテリングがフランスで非常に高く評価されている作家だ。 コミックリュウで連載されていた『アルボスアニマ』も、フランスでの集英社にあたるグレナ社からフランス語版第5巻が5月に発売されたばかり。 期待の作品とあるだけに、発売のプロモーションも盛んだ。 春ですね! アルボスアニマ第5巻。植物学者メリッサが衝撃の登場!ノアの日常に波風が……。偶然?それとも、ツンデレならではの遠巻き?存在感たっぷりに「私はここよ!」と

        • 原作マンガが一番おもしろい!美少女たちのゲス顔がたまらない『賭ケグルイ』

          ドラマ化、アニメ化もされている『賭ケグルイ』。ご覧になっている方も多いでしょう。 * *  * セレブ進学校である私立百花王学園では、ギャンブルの強さでヒエラルキーが決まっていて、最下層にいる者は人間扱いをされない。全生徒の頂点に立つ生徒会長は冷徹な天才ギャンブラーだ。 そこに転入してきた蛇喰夢子(じゃばみ・ゆめこ)は、リスクが大きければ大きいほど、勝負に悦楽する正真正銘の「賭け狂い」。 知識、心理戦、度胸、なによりも恍惚感を持ってギャンブルに勝ち続けていく。 鉄壁

        東洋経済さんの記事があまりにスカスカなので、マトモなツッコミいれてみました。

        • 編集者がやるべき唯一のこととは!?『マンガに、編集って必要ですか?』

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          幻想怪奇な読み切り短編作『もののけ草紙』(全4巻)

          『夏目友人帳』よりエグイ。 『人魚の森』シリーズより明るい。 『蟲師』よりネットリ。 『どろろ』より妖艶。 そんな位置にあるのが、この『もののけ草紙』だ。 舞台は昭和20年前後。 主人公の少女は、千里眼や霊視で座興をするひとりぼっちの旅芸人だ。 手のひらに眼の形の入れ墨があり、「手の目(てのめ)」と名乗る。 客の依頼で料亭のお座敷に呼ばれては、丁々発止の口上で、一席を披露する。 その一芸とは、さまざまな怪異や面妖、悪霊を呼び寄せ、消し去り、操る術だ。 ©高

          幻想怪奇な読み切り短編作『もののけ草紙』(全4巻)

          日本の漫画家がフランス出版社とマンガを作り、アジアへ逆輸入? -ジャパンエキスポレポート(5/5)

          ジャパンエキスポレポート全5回 –(1/5)(2/5)(3/5)(4/5)(5/5) ――――――― 謎の作品『TSUGUMI PROJECT』 ジャパンエキスポに向けてリサーチをしていたとき、フランスの大手マンガ情報サイト「MANGA NEWS」で、ひときわ大きく取り上げられている『TSUGUMI PROJECT』なるマンガを知った。作者はIPPATU(イッパツ)氏。検索しても日本では出版されていないようで内容も、作家の詳細も情報が出てこない。 引用元:https://

          日本の漫画家がフランス出版社とマンガを作り、アジアへ逆輸入? -ジャパンエキスポレポート(5/5)

          驚愕の高レベル!フランスのコスプレ –ジャパンエキスポレポート(4/5)

          ジャパンエキスポレポート全5回 –(1/5)(2/5)(3/5)(4/5)(5/5) ――――――― マンガ新聞編集部の西野です。 2019年7月にパリで開催されたJapan Expo 20eの取材レポートを5回に渡って連載しています。 今回は第4回目、「コスプレ」についてです。 フランス流コスプレとは? 日本文化の展示会というよりも、アニメ、マンガのお祭りとして楽しみに来ている人も多いJapan Expo。 お祭り気分を盛り上げているのは気合いの入ったコスプレイヤ

          驚愕の高レベル!フランスのコスプレ –ジャパンエキスポレポート(4/5)

          溢れ出る巨匠への愛とリスペクト -ジャパンエキスポレポート(3/5)

          ジャパンエキスポレポート全5回 –(1/5)(2/5)(3/5)(4/5)(5/5) ――――――― ジャパンエキスポだからこそ渡仏する大御所マンガ家たち Japan Expoの特徴のひとつはゲストの豪華さだ。 普段は人前に出ることのないマンガ家がトークショーやライブドローイング、あまつさえサイン会を行い、握手をする。 まず日本ではありえない。 過去には小池一夫先生、寺沢武一先生、北条司先生、原哲夫先生、浦沢直樹先生、貞本義行先生、赤松健先生、大今良時先生、大久保篤先

          溢れ出る巨匠への愛とリスペクト -ジャパンエキスポレポート(3/5)

          フランスで人気のマンガって? - ジャパンエキスポレポート(2/5)

          ジャパンエキスポレポート全5回 –(1/5)(2/5)(3/5)(4/5)(5/5) ――――――― マンガ新聞編集部の西野です。 前回に続き、Japan Expoのレポートを全5回集中連載でお送りします。 今回は第2回。どんなマンガがフランスでは読まれているのか、にフォーカスします。 手に入らないマンガを買いに来る。それがマンガファンにとってのJapan Expo 日本のコミケとは違い、Japan Expoは物販(と商談)の展示会だ。 私たちがいつも読んでいる日本

          フランスで人気のマンガって? - ジャパンエキスポレポート(2/5)

          フランスでの日本マンガの読まれ方 - ジャパンエキスポレポート(1/5)

          ジャパンエキスポレポート全5回 –(1/5)(2/5)(3/5)(4/5)(5/5) ――――――― マンガ新聞編集部の西野です。 海外で日本のマンガはどう愛されているのだろうか。 『DRAGON BALL』や『ONE PIECE』のほかにどんな作品が読まれているんだろうか。 ずっと知りたいと思っていました。とくに、北米以上にマンガの人気があるフランスに注目し続けてきました。 フランス国内で、もっとも人々がマンガと接触を持つ機会ともいえるジャパンエキスポ2019を取

          フランスでの日本マンガの読まれ方 - ジャパンエキスポレポート(1/5)

          読み応えガッツリ!粋な心意気の時代物『口入屋兇次』

          江戸が舞台のゴツい世話物口入屋とは職業斡旋業者のこと。その口入屋を営む兇次(きょうじ)は、お江戸では知る人ぞ知る「人物の目利き」として、人と仕事の縁を結んでいる。 大柄で強面だが清濁併せ呑む器の大きさと、面倒見の良さで兇次を慕うものは多い。 縁あって兇次と知り合い、やがて兇次の預かりなら間違いのない人物だとの太鼓判を押され、新しい職を得て幸せに暮らしていく人々の物語……と書くと、まるで池波正太郎や宮部みゆき原作のNHK時代劇ドラマみたいに思われそうだが、これはNHKでドラ

          読み応えガッツリ!粋な心意気の時代物『口入屋兇次』

          鬼才の連載デビュー作『よるくも』(全5巻)は感受性を揺さぶり続ける

          「絶望的なまでに無垢」第1巻の帯に書かれた「絶望的なまで無垢」という言葉。ストーリーをイメージできるだろうか。結論から言うと、この表現が本当にピッタリなのだ。 明るくて、悲惨で、残酷で、優しくて、切なくて。 主人公は純粋であるがゆえに、他者の色に染まりつつ、純粋すぎるゆえに、自分の色から抜け出せない。じつに複雑で重厚な心象と、魂のもがきを描いた、類を見ない読み応えの傑作だ。 世界観に一気に引き込まれる舞台は経済格差が確立された世界。富裕層が暮らす「街」、貧しい者が住む「

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          フランス人も魅了されたゾンビ満載作品『クルエラー ザン デッド』(上・下)

          コミケ発→フランス経由→日本着の異例の作品 「描きたいものを描きたい」。それが商業作品にならなくたって。 原作の佐伊村司(さいむら・つかさ)が、その画力に惚れ込んでいた高橋構造(たかはし・こうぞう)の作画で4年越しに完成させた同人誌『クルエラー ザン デッド』。 コミケで販売していたところ、たまたま通りがかった外国人に「お兄さん、読んでみてよ〜」と冷やかしに声をかけたら、その薄い本の一冊を買ってくれた。 なんと、このお兄さんはフランスの集英社ともいえるグレナ社の編集者で

          フランス人も魅了されたゾンビ満載作品『クルエラー ザン デッド』(上・下)