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驚愕の高レベル!フランスのコスプレ –ジャパンエキスポレポート(4/5)

ジャパンエキスポレポート全5回 –(1/5)(2/5)(3/5)(4/5)(5/5)
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マンガ新聞編集部の西野です。

2019年7月にパリで開催されたJapan Expo 20eの取材レポートを5回に渡って連載しています。

今回は第4回目、「コスプレ」についてです。

フランス流コスプレとは?


日本文化の展示会というよりも、アニメ、マンガのお祭りとして楽しみに来ている人も多いJapan Expo。

お祭り気分を盛り上げているのは気合いの入ったコスプレイヤーだ。

年に一度の晴れの舞台だけに、凝りに凝ったコスチュームでポーズをとったり、ねり歩いたり。

日本のコミケとの大きな違いは、カメラ小僧がいないことだ。

コスプレは自らがするものであって、見るものではない、というスタンスが共有されていた。

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(↑貴重な『るろ剣』。彼女はキメているが背後にいるお友達はフリーダムなコスチューム。自分が楽しい恰好をすることを優先しているようだ。第三者からの視線や完成度にこだわらないところがジャパンエキスポでのコスプレがどうもほのぼのとしている理由かもしれない。)


何度かJapan Expoを訪れて思うのだが、「コスプレ」は海を渡ると、概念が変わってきている。

日本におけるコスプレとは、マンガやアニメ、ゲームのキャラクターのコスチュームプレイのことを主に言う。始発点はキャラ愛から生まれた文化だ。

一方、フランスでは「非日常的なコスチュームを着用する」「コスチュームはオリジナルでもよく、それを着用してストーリーのある演技をする」となっている。

つまり、既存のキャラとは関係のないコスチュームをしていても、それは立派に『コスプレ=cosplay』なのだ。

この傾向はヨーロッパでは一般的なようだ。

Japan Expoをヨーロッパ予選大会の決戦とし、中継をする人気コスプレ番組『ECG』では、フランスのほか、ドイツ、オランダ、スイスのコスプレイヤーが競う。

このコスプレはオリジナルのみである。

中世ヨーロッパ風、異世界風、ディズニー風、といった趣きのコスで音楽やセリフに合わせて決闘をしたり、踊ったりの演技をする。

エキスポ会場でも同様に、中世の騎士や、シンデレラのようなデコレーションのコスチュームドレスが目立った。もしかすると『Game of Thrones』のヒットが少なからず影響しているのかもしれない。


日本とは関係ない「プチ仮装」の場にも


さらに注意深く見ると、キャラクターでも、オリジナルでもない、いわば「プチ仮装組」の割合が数年前に比べて明らかに増えていることに気づいた。

ネコ耳、悪魔風、アンデッド、スパイダーマンのマスク、人間離れしたカラーのコンタクト、カラフルなウィッグ、そして「Free Hug!」と書いた段ボールの切れ端を掲げて歩くティーンエイジャーなど。

彼らはマンガやアニメをはじめとする、日本カルチャーに興味があるわけではないと思われる。なぜならば、彼らは何の戦利品も持っていないし、手ぶらで帰る。せっかくの貴重な物販の機会だというのに。

きっと、日本でハロウィーンにアンデッドメイクをして渋谷に出かける人と同じように、いつもとは一味違うお祭り気分の表し方なのだろう。

オタクではない若者にしてみれば「ちょっとした仮装をして出かけるお祭り」としてJapan Expoを捉えているようだ。

彼らもコスプレイヤーとするならば、コスプレをしている人の3割は、この「プチ仮装組」である。


本気のコスプレイヤーの活躍


プチ仮装組が3割、キャラクターに関係ないコスプレが3割、そして残りの4割にあたるのが「本気」のコスプレイヤーだ。

日本に次いで、世界第2位のマンガ消費国としてのプライドがもっとも炸裂しているのが、このコスプレ分野だと思う。

そのレベルの高さをご覧いただきたい。

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(↑人気のわりになぜかコスプレが少ないのが『進撃の巨人』。コスプレ人気のピークは2014年だったように思える。)

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(↑開催期間中、会場のどこかしらに必ずいた皆勤賞のサイタマくん。コスは100%自作だという。話しかけると内気な少年だった。)

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(↑無駄に完成度の高い亀仙人。彼のほかにも亀仙人コスプレイヤーはいたが、あまりに皆そっくりすぎて個体差が見抜けなかった。この2人は友人ではなく、その場のノリでツーショットに応じてくれた。)

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(↑ジャパンエキスポの謎ともいえるのが「なぜONE PIECEのコスプレはこんなにもいないのか?」だ。探してやっと見つけたのがこのゾロ。頑張ったが麦わら一味どころかルフィーすらいなかった。)

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(↑遠目にオレンジ色の3人組が歩いていたのを発見。駈け寄って写真を撮らせてほしいと頼むと3秒でポーズを作ってくれた。)

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(↑今もっともアツい作品である『ヒロアカ』。好きなキャラではデク以上に名前があがるオールマイト。彼は上半身裸にペインティングしている。左にいる彼の友達はオリジナルのコスプレだとか。)

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(↑会場の「TERIYAKI BENTO」屋台にリアルな暁がひっそりと並んでいたので声をかける。暁はたくさんいたが、ここまで完成度の高いトビ&飛段はいない。飛段は肉体レベルでそっくりすぎだ。)

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(↑身長180㎝超のガイ先生。後日、マンガ新聞宛てに「撮影してもらった写真をわけてもらえないか」とメールをくれた。喜んで来年の再会を約束し、4メガの2ファイルをお送りした次第だ。)

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(↑飛段その2。飛段は人気キャラだが、手のかかるジャシン様バージョンは少ない。30℃を超える炎天下のなかで目立っていたので撮影させてもらった。とても気さくな青年だった。)

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(↑お父さんと手をつないでチョコチョコと歩く全長75㎝ほどのかわいい悟空。お父さんの温かいご指導ご協力で、一番かわいいポーズでの撮影が叶った。)

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(↑素人とは思えないほどのオーラだったコスプレサークルの皆さん。ほかの準備もしてきたそうだが「今日は暑いから『NARUTO』にした」とのこと。サスケくんは地毛で、この日形づくりながらザクザク切ったとのこと。リーダー格のヒナタはもちろん白眼のカラコン。)

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(↑Best of デク! ウィッグ、コスチューム、清潔感で高評価としたい。こんな息子がほしいと思うような感じの良い少年だった。デクのコスプレは遠目から見ると『黒子のバスケ』と見分けがつきにくいと気づく。)

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(↑華やかなオーラすぎて、近寄りがたかったサクラとヒナタの美しい2人組。パーフェクトなコスプレですね、と褒めると恥ずかしそうに笑っていた。右手背後で休憩しているゴスっぽいコスプレをしているグループもジャパンエキスポらしいコスプレイヤーだ。)

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(↑『ハイキュー!!』(フランスタイトル『Haikyuu!!』)はマンガもアニメも人気だがコスプレとなるとなかなかいなかった。彼女は烏野高校のユニフォームはネット通販で入手したとか。)

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筆者のNo.1コスプレイヤーは、こちらのカカシ先生。

二次元から飛び出してきたようなスラリとした長身に、必須アイテム『イチャイチャパラダイス』を唯一持っていた完璧さは、まさに再現率100%。


フランスのコスプレイヤーのすごさをおわかりいただけただろうか。

今年のコスプレは不自然に思えるほど、圧倒的に『NARUTO』が多かった。

「なぜNARUTO?」と聞けば、「好きだから」と返ってくる。

完結を迎えて、あらためて愛すべき名作『NARUTO』に注目が集まっているのかもしれない。

あらためて見るとジャンプ作品の圧勝だ。キラーコンテンツとして瞬殺力のバロメーターがコスプレなのだろう。


※本稿は「マンガ新聞」2019年08月22日公開記事の再掲載です









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