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原作マンガが一番おもしろい!美少女たちのゲス顔がたまらない『賭ケグルイ』

ドラマ化、アニメ化もされている『賭ケグルイ』。ご覧になっている方も多いでしょう。

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セレブ進学校である私立百花王学園では、ギャンブルの強さでヒエラルキーが決まっていて、最下層にいる者は人間扱いをされない。全生徒の頂点に立つ生徒会長は冷徹な天才ギャンブラーだ。

そこに転入してきた蛇喰夢子(じゃばみ・ゆめこ)は、リスクが大きければ大きいほど、勝負に悦楽する正真正銘の「賭け狂い」。

知識、心理戦、度胸、なによりも恍惚感を持ってギャンブルに勝ち続けていく。

鉄壁のギャンブラー集団である生徒会を狙って……。

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ヒロインが狂おしいほどにどうかしてる

ポーカー、花札といったおなじみのものから、オリジナルのギャンブルまでが次々と、勝ちを重ねる夢子を潰すために押し寄せる。

イカサマ、インチキは当たり前で「見破れない時点で負け」という世界。

億を超える金、自らの肉体や指の切断を賭けた大勝負に、夢子はウキウキのキュンキュンで臨みます。

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©Homura Kawamoto・Toru Naomura/SQUARE ENIX

全身全霊で賭けを楽しむ夢子にドン引きする相手に対して「さあ、賭け狂いましょう!」と誘う夢子。勝負前から興奮でトロけています。

ドヤ顔、ゲス顔が気持ちいい!勝ちもあれば負けもあるのが、ギャンブルの必然。

勝ち負けの綱引きをしていくなか、感情は激しく動きます。

追い込み、追い詰められ、傲慢につけあがり、屈辱にまみれ、口惜しさに泣き……。

その刹那の表情がとてもいい!

美少女の顔が歪み、感情だけでなく人間くささ、嫌らしさ、醜さが露わになっています。

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©Homura Kawamoto・Toru Naomura/SQUARE ENIX

ギャンブルの強さのみでスクールカーストが作り上げられているだけに、負けたら多額の借金と家畜扱いの奴隷身分。

さらには残りの人生すら取り上げられます。

その恐怖が伝わってくる崩れた表情は、演出としても、画風としても、最高に気持ちいいのです。

ここまでキャラをブサイク化してくれると、むしろスカッとするものなのですね!

夢子ほどラリッてませんが、けっこうな達成感と優越感に酔いしれます。

映像化では得られないエグさ

敗北感、恐怖、恥辱に打ちのめされたブサイクな美少女・イケメンたちに「ざまぁ」と心置きなく言えるような気分になっていきます。

ここまでのグシャグシャに崩れた顔は、考えるまでもなくタレント事務所はNGでしょうから、映像化では味わえませんね。

「ざまぁ」と言えるのは、敵を唯我独尊で打倒していく夢子に感情移入ができるから。

読んでいるだけで、疑似的にギャンブルにのめり込めるから。

自分の懐を痛めることなく、ギャンブルに没頭できる。

他人の人権や人格を、力任せにねじ伏せていく。

アンチモラルなテーマを描いた作品は数あれど、「上品に、下品を描く」ことに成功している例はないかもしれません。

夢子という「賭け狂い」のイカれた女子高生に、どんどん惹かれていきます。

日常を忘れ、ドキドキ感に没頭したいのなら、本作はピッタリです。

さぁ、『賭ケグルイ』ましょう!



※本記事は「マンガ新聞」2019年05月23日掲載レビューの再掲です。

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