【仕事】ゲーム開発という行為の誤解を解くため、業務形態を細分化して説明します その1 ゲームは捨てられる!?
「ゲーム屋がなんでもできると思ったら大間違いだ!」
ある教育関係者と初対面で名刺交換の時に言われた言葉です。
自分はゲーム開発を長年やってきました。その後、ゲーム開発会社の中で、「ゲームを作らない新規部門」に参画。今でいうゲーミフィケーションです。
銀行、病院、スポーツ系、店舗、道路、スマートTV、家電…なんでもやりました。それなりに立ち上がったものも、今はもうないものも。
その活動の中で感じた「ゲーム開発」にまつわる業界の外にある誤解と実態を書いてみます。
結論:ゲーム開発のノウハウは超!潰しが効きます
いきなり結論です。ゲーム開発をしっかりやってる10年選手ならば誰でも「一般サービス」の使い勝手向上や、価値の増大、が設計できるのです。(効果が出るかはもちろん出来による!)
ネットを使うものだけでは無く、ネットを使わないアナログのサービスフローですら、解決方法を設計する事はできるのです。だから、初対面で私に悪態をついた人にもぜひ分かって欲しい。なんかのお役には立てますから・・・
なぜそんなことができるのか。ゲームしか作れないのでは?
UXとかDXとかの格好いい言い方ができる前から、実は粛々とそんなことをやっていたのです。
その辺を書いていきたいと思います。
ゲームは役に立たないもの
その前に、世間の認識から。
特に教育、行政関係者と話をする時に言われるのはこの見出しの言葉。
衣食住に、ゲームは入ってませんのである面では正解です。
もちろん、ゲームが総合的な生活の中で、リラックスを提供したり、活力を提供したりする面もありますが、それは利用者がそう思うこと。出し側はひたすら「楽しいこと」を考えるのみ、です。
なので、正解の一つではあります。
問題はそこではなかったのです。
遊びを作る=遊びながら緩いものを作ってる?
「遊び」というテーマの商品を作ってる人は、遊び人、という考え方を持たれていたことです。
そんな単純な見方する人いるのか?と思われるかもしれません。でも、そう見ている方がいることは確か。
ゲーム開発の現場はあまり公開されません。たぶん世間的なイメージは、
・ラフな格好
・身だしなみに無頓着
・乱れた生活リズム
・長い残業で公私の区別がない
・眼鏡率高い
・オタク率高い
・ノリで仕事をする
みたいなものでしょうか。眼鏡はまあいいじゃないか。
割とこんな感じ?↑
実際、そんな職場はたくさんあります。そうでない職場もたくさんあります。これは、一般の会社でも同じ。
ちなみに自分が所属してた会社はいずれも朝からしっかり出社するタイプばかり。残業長め、はどこでもありました。今は業界全体で長時間勤務は緩和の方向ようです。
でも、遊びを作るには「遊び心」だけではダメなのです。むしろ遊んでいられないのです。
それは、「遊び」の持つ、人との関わり方が関係します。
「遊び」は、面倒くさければ捨てられる!?
「勉強」「行政手続き」などは、サービスサイトの出来がどうのこうの、などでサービスを利用しなくなることはありません。必須なので。
でも、「遊び」は極端に言えばそれで無くても構わない。ほんの少しの不満があれば、もっと快適な別の遊びに逃げられてしまうのです。換えがきく、というジャンルの宿命です。
もし、
準備も大変
ルールも覚えないとダメ
やってみても分からないことだらけ
というゲームがあったらどうなるでしょう。
←準備いらない
←ルールは楽しんでいるうち覚える
←迷うことなく進められる
こっちの方が遊んでくれそうです。自分もそうです。
要するに、
「中身以前の部分が面倒くさければその遊びは別の遊びにとって変わられる」
ということなのです。もちろんその後にシビアに中身は評価されます。
面倒くさい、とはどういうこと?
ゲームの例で説明します。面倒くさいポイントは全ての領域で発生します。
ロールプレイングゲームで見てみましょう。
(1)ゲーム以前の準備
最近のゲームは、ネット接続や課金が前提になっていたりします。そのため、買ってきた!すぐ遊ぶ!みたいな手順は減りつつあります。
ゲームのキャラに会えるまでに、色々やることがあります。
・やたらと初期設定項目が多い
・その項目がどこでどう使われるかわからない
・しかも日本語かアルファベットか分からない
・最大文字数もわからない
・何をどう設定すれば良いか手順がわからない
・最大で何項目を入れるか分からない
・設定する箇所ごとに入力ウィンドウの書式が違う
・設定画面の文言がわからない
・課金の設定でメアドが必要
・そのメアド宛に認証アドレスが送られてくる
・クレジットカード登録等が必要な場合も
ちょっと思い出してみました。これまで出会ったものを全部重ねたので、さすがにこれ全部が該当するサービスはなさそうです。
ここまでの項目のいくつかがあったら、自分なら「他のゲームないかなー」と逃げたくなります。しかもここまでやってもまだゲームの主人公に出会えてもいません。
令和がない!
やっとゲームが始まる!というところまできても、結構ここからも入力することがあります。
もちろん、この辺は楽しみのうち、というゲームもありますが、万が一UIが分かりにくかったり、情報不足でやらされてる感が多いと、「面倒くさい」行為に格下げされます。
例えば…
・キャラを決める項目が多い上に、基準がないため迷う
・キャラの名前を入れたら文字数制限
・別にIDとパスワードを決める
・しかも入れたら「既にある」
・PW入れてから「数字と記号と大文字入れろ」
・始める前に長々とルールの解説、しかも文字情報
・背景説明がだらだらと
パッケージ開けてから(今多いパターンはダウンロード完了してから)既に22分経過、みたいなことになったら、結構がっかりしそうです。もちろん、その時間を珠玉の体験にしてくれれば問題ありません。
でも、イケてないゲームは、苦痛の時間を提供してくれたりします。
(3)ゲームの進行
ここでも面倒くさいことはおこります。
初見殺し、というおだやかでない言葉があります。何も知らずに進むと、最初にアプローチしたら必ずやられる!という状況です。何が発生するか分からない、対処も分からない、という状況。
これも、ゲームのハラハラドキドキの要素ですが、使い方を間違えるとプレーヤーをいらいらさせるだけ、になります。
そういうのも含め、面倒くさいリストを上げてみます。
・最初出会ったNPCが状況を長々と説明
・色々なところのメニューの操作統一感が無い
・行けそうで行けない部分がやたら多く結局行けない
・総当たりでNPCと会話するつもりで2度目に同じことを言われる
・雑魚キャラを倒さないといけない数が多すぎて飽きる
・会話の内容にセンスがないのに飛ばせない
・しばしば飛ばせない会話シーケンスが登場
・アイテムの説明が足りない
・トイレ行きたくても止められない
・・・書き始めて気づきましたが、キリがありません。自分でもまとまらないまま書いてしまいました。
UI編、進行編、実装編、などと分けていくと、1年間の講義ができそうです。一旦この項目はここまでにします。
中間でいったん振り返り
この前の項目が長くなりましたので、一旦これまでの流れをおさらいします。順番に、
ゲームは役に立たないもの
遊びを作る=遊びながら緩いものを作ってる?
「遊び」は、面倒くさければ捨てられる!?
面倒くさい、とはどういうこと?
という内容を書いていきました。ここまでで、世間の誤解=ゲーム屋は遊び人、でもゲームって面倒くさいと捨てられるものだよ、という流れなので、次はこちら。
面倒くさいことを徹底的につぶす作業
このように、ゲームというのは捨てられる危険があるという恐怖心から、徹底的にユーザーフレンドリーに作ります。
その結果、本当はかなり面倒な下知識が必要なアクティビティなのに、いつのまにか熱中してしまっているのです。
ポケモンを文字がギリギリ読めるか読めないかの3歳児に、講義でやり方を教えることを想像してください。たぶん3分もたないと思います。
でも、ゲームの形で渡せば、むしろ止めてもやめないのです。
この形を作っているのがゲーム屋なのです。
では、具体的にはどうやって?
続きを楽しみに!
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