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書評:TURNS Vol.32 特集「スポーツは地域を幸せにする」

2年後に東京オリンピック2020が迫り、スポーツに関するイベントや、新たな取組を模索する人たちが増えてきました。先日も「スクラムベンチャーズ」とベンチャーキャピタルが電通と共同で、スポーツ系スタートアッププログラムを支援する取り組みを行うと発表しました。

これまでスポーツに興味関心が薄かった方々が、スポーツに対して興味関心をもち、大きなプロジェクトを仕掛けたり、お金を儲けようと思うのは良いと思います。もっとやってほしいと思います。

ただ、僕はスポーツに興味関心をもつひとが増えたからこそ、これまで頑張ってきた人、これから地道に頑張ってきた人たちが、日の目を見るような機会が増えてほしいと思っています。

そんな事を考えていたころ、地域を活性化させるための様々な取り組みを紹介している雑誌「TURNS」が「スポーツ」を特集にした雑誌を発売するというので、読んでみました。

しかも、表紙は川崎フロンターレで長年プロモーションを手がけてきた天野春果さん、巻頭特集はFC今治の中島啓太さんと岡田さんのインタビュー。2人ともよく知っている人なので、読むしかありません。

自分のためではなく、人や社会のために

FC今治の中島さんと天野さんが取り組んでいることで共通しているのは、「自分のためではなく、人や社会のために」事業に取り組んでいるということです。

FC今治の企業理念は「次世代のために、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」です。愛媛県今治市というホームタウンを起点に、よりより社会を創るためにどんな取り組みができるのか、中島さんは日々模索しています。

天野さんの取り組みは、バナナを頭からかぶらせたり、ファン感謝デーのイベントで選手に仮装させて踊らせたりといった、インパクトがある取り組みばかりが話題になりがちです。

でも、天野さんがやりたいことは、チーム、ファン、地域といった、川崎フロンターレに関わる人々と信頼関係を築いて、チームにかかわる人々を幸せするということです。天野さんができることを一つ一つ実行しようとして、その取組の一つが仮装だっただけです。

地道に取り組んでいる人を支援してほしい

スポンサーやファンは、チームやチームのスタッフが、自分のために取り組んでいるのか、それとも、社会やファンのことを真剣に考えて取り組んでいるのか、見抜いています。自分のためにやろうとすることが、人の信頼をつかめるとは思えません。

本書には、中島さんや天野さん以外にも、地域のために、よりよい社会を創るために、スポーツを通じて奮闘している方々の事例がたくさん紹介されています。こうした方々にこそ、きちんと支援を受けられる社会であってほしい。僕はそんなことを感じました。


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