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2020年3月福島取材⑦/奪われた暮らし

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苅野小学校を目指して歩く途中、フレコン置き場に遭遇する。ここはおそらくついこの前まで仮置き場で、今は中間貯蔵施設への移動が終わりつつある場所だと思われた。

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この目の前にあるフレコンバッグは、おそらくは放射能汚染土の周りに置かれていた遮蔽用のただの土囊だろう…と自分は勝手に考えたが、真相はわからない。

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もし汚染土なら、こんな開けっ放しの状態は許されない。中の広い空間が汚染土の置き場で、おそらく中間貯蔵施設かもっと目につきにくい奥地の仮置き場へ移動された?

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このボロボロのブルーシートの下のフレコンバッグは、おそらく汚染土だろうと思ったが…

グーグルマップで確認すると、2013年にはこの場所は果樹園の跡地だった様子が伺われる。それが、15年にはフレコンバッグと、資材が運び込まれている。…よくわからない。

原発事故による強制避難区域の中では、ちゃんと管理されている場所もあれば、ほったらかしであったり、いい加減に弄くり回されたりしている場所もある。知人の家の敷地にゼネコンの仮設トイレが勝手に設置されていたり、家の壁にトラックがぶつかった跡があったり、めちゃくちゃだ。

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先へ進む。

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ここにも太陽光パネル。

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綺麗な梅だと思ってふと手元の線量計をみると、ホットスポットだった。この周囲は毎時1.0〜1.8μSvはある。木が汚染されてるのだろう…

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梅は綺麗なのにな…

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猪用の罠が設置されている。

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猪が掘り返した跡。

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だだっ広い更地。ここにも太陽光パネルが設置されるのだろうか。

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線量は高め。

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苅野小学校へ向かって高台を下るところで、ホットスポットを見つける。この写真は2.35だが、毎時3.0μSvに迫ろうかという値まで上がった。道の上でこの値なのだから、周囲の森の中はどれだけ汚染されているだろう。NHK『被曝の森2018』では、帰還困難区域内の森の中で未だ毎時6、70μSvの場所があると言われていたように記憶しているが、この辺りの森でも2桁以上はあるのではないか。

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苅野小学校到着。18年10月以来。

手前の家には住民が帰還しており、中にいたお婆さんと目が合ってしまった。何食わぬ顔で学校へ向かっていったが、通報されやしないかと少し心配になる。こんなところを「歩く」のは僕ぐらいしかいないからだ。

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校庭は割と最近手入れがされたようで、草木が生い茂っているということはなかった。遊具だけが寂しく立つ。モニタリングポストは毎時0.25μSv。僕の持つ線量計は毎時0.3〜0.5μSvほどだったと記憶している。大堀小学校などと比べれば低いが、首都圏にこのレベルの線量の学校は存在しない。普通なら立入禁止で除染すべきエリア。ここは避難指示解除されているが、ここに子供らの姿が戻ることはもうないだろう。

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体育館を覗くと、中は震災直後に避難所になった時のままのようだった。一時ここに避難し、原発が爆発して津島へ、結果的に浪江町民はそこで大量に被曝することとなった。

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18年10月に訪れた際は、机の上に生徒たちの私物が袋に入れられて保管されていた。それらは、後に「放射性廃棄物」として処分された。

壁に貼られたままの子供達の写真が切ない。彼らは今どこで何をしているのか。

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苅野小学校校歌。僕自身は出身校の校歌等に特に思い入れはないが…故郷とはこういうものだったりするのだろう。

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隣の苅野幼稚園。うさぎの餌が気になる。飼っていたうさぎ達は、震災でどうなってしまったのだろう。

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「修了おめでとう」の文字が切ない。

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「しゅうりょうしきまであと5にち」と書かれたホワイトボード。前回来た時は気付かなかった。「相馬焼もできてきました」と書かれているが、おそらく園児達はそれを手にすることもなく避難していっただろう。ただただ切ない。

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洗濯物が干されたままだ。

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東電復興本社元代表、石崎芳行は原子力は必要悪だと今でも口にする。

…考えがまとまらないが、厳重に管理され廃炉作業が進むプラント本体と、その周囲に広がる放置された空間を見比べて、それでもそんなことが言えるのだろうか。一般論に話を落とし込んで取り繕う前に、自分がそこで家族と暮らし同じ目に遭ったらどう考えるか、その程度の想像力は働かないのだろうか。それとも、SNSで匿名で現場を知らずに主義主張の違う相手をディスる程度の劣化した頭しか持ってないのだろうか。

<続く>


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