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ニッポンのヒャッカ

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日本百貨店のテーマは”ニッポンのモノヅクリ”と”スグレモノ” 。 日本全国から集めた、モノづくりにこだわった職人の手による商品をお届けします。
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#沖縄

カツオに惚れ込んだ夫婦が作る、沖縄伝統の滋養食「かちゅう汁」―ニッポンのヒャッカ沖縄編8―

カツオに惚れ込んだ夫婦が作る、沖縄伝統の滋養食「かちゅう汁」―ニッポンのヒャッカ沖縄編8―

汁碗に、たっぷりのカツオ節と宮古味噌を入れ、熱湯を注ぎ込む。
一気に箸でかき混ぜて、湯気がたちのぼる汁をすすれば、
身体はポカポカ温まり、なにやら力が湧いてくる。

かつて宮古島で、風邪を引いたときや疲れたとき、
「元気が出るように」と食べられていた「かちゅう汁」。

宮古島のとなりの伊良部島では、これに生卵を加えたものを
「勝利をつかみたい」ときに飲むと良いとされ、
「勝負汁」とも呼ばれていた、

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「何もない」がある島は、疲れた心を癒す島―ニッポンのヒャッカ沖縄編7―

「何もない」がある島は、疲れた心を癒す島―ニッポンのヒャッカ沖縄編7―

島民約200名に対して、およそ13倍の数の牛が暮らす沖縄の離島「黒島」。

自転車なら2時間ほどで島中をのんびり巡ることができる、外周12.6kmの小さな島だ。

日本の道100選にも選ばれた島のメインストリート「黒島港線」から見えるのは、どこまでも続く牧場の緑と、赤い瓦屋根と石垣の琉球民家。島には信号もなければ、交番もない。空を遮る大きなビルも、ネオンの看板も、深夜まで明るいコンビニも、話題のス

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宮古島の農業を未来へつなぐ、ヤギとアロエの密な関係ーニッポンのヒャッカ沖縄編5ー

宮古島の農業を未来へつなぐ、ヤギとアロエの密な関係ーニッポンのヒャッカ沖縄編5ー

見渡す限りさとうきび畑が広がる、宮古島の風景。
そんな風景の一角に、そのピラミッドは突如現れる。

カラフルなピラミッドの上に乗っているのは「ヤギ」。

ここ「しろう農園」は、宮古島で最大の面積を持つ、有機アロエ農園だ。
なぜアロエ農園に、このようなヤギピラミッドが鎮座しているのだろうか?

その理由を探ってみると、島を想う人々の、ある「願い」が見えてきた。

▲(左から)しろう農園 砂川さん、酒

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なぜ黒糖は白砂糖より高い? 疑問に挑むサトウキビ農家の取り組みーニッポンのヒャッカ 沖縄編4ー

なぜ黒糖は白砂糖より高い? 疑問に挑むサトウキビ農家の取り組みーニッポンのヒャッカ 沖縄編4ー

なぜ黒糖は白砂糖よりも高いのか、考えたことがあるだろうか。

黒糖は、収穫したサトウキビから汁を搾り取り、不純物を取り除いて加熱したもの。
白砂糖は、それをさらに遠心分離器にかけて糖蜜と分離させ、残った砂糖の結晶を精製して作られる。

自然の道理であれば、黒糖よりも何倍も手間のかかる白砂糖のほうが高価になるはずだ。

であるにも関わらず、白砂糖のほうが低価格で販売できる背景には、ある不思議なカラク

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おもてなし文化の残る島・伊是名島が選んだ「自分たちらしさ」ーニッポンのヒャッカ 沖縄編2ー

おもてなし文化の残る島・伊是名島が選んだ「自分たちらしさ」ーニッポンのヒャッカ 沖縄編2ー



「うちの商品は、良さを分かってくれる人に買ってもらえればそれでいいんです」

そう語るのは、沖縄の伊是名島で、島の素材を使った商品開発を行う「島の元気研究所」の代表・納戸(のと)義彦さん。はじめ、あまのじゃくにも聞こえたこの発言は、のちに、伊是名島の人々にとって重要な意味を持つ言葉だと知ることになる。

伊是名島は、那覇から車で2時間ほど北上し、本部半島にある「運天港」からフェリーに乗り換え、

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開拓者スピリッツと独自のチャンプルー文化で「しまちゃび」を切り開く 絶海の孤島・北大東島の挑戦 ーニッポンのヒャッカ 沖縄編1ー

開拓者スピリッツと独自のチャンプルー文化で「しまちゃび」を切り開く 絶海の孤島・北大東島の挑戦 ーニッポンのヒャッカ 沖縄編1ー



「しまちゃび」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
沖縄の方言で、意味は「離島苦」という。

適切な治療を受けられない、インフラの料金が高い、住居を構えるのに費用が倍以上かかる、激しい台風、それによって長期間途絶える交通手段……など、離島には、本島に住む者が経験したことのない苦労が数多く存在する。

そんなしまちゃびに挑み続ける離島のひとつに、「北大東島」がある。

(写真提供:北大東村)

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