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シカゴ旅行。Lululemon。

16歳のムスメはLululemonが好きだ。水泳で鍛えた体型によく似合っているし、見事に着こなしている。

この町の若者は、私ですら買うのを迷うほど高価なLululemonを中学生の分際で着ている。ムスメが中学生の頃は、ばかをお言いでないよ、お前たちのような育ち盛りの子供が着るようなブランドじゃない、ときっぱり退けた。ムスメは、納得した上で、従順にAddidasやReabokなどのまっすぐスポーツブランドを着ていた。

私の弟が小さい頃まさにそうだったのだが、欲しいものがあるとリサーチする。私は長女で、欲しいものをあまりねだることがなく、ねだって親が買ってくれることになった暁には親が選んだものを素直に喜んで使った。弟、ときたら、である。親が思いもつかないような高いものが欲しい。賢いヤツなので徹底的にリサーチし、完璧論理武装をして親の説得に入る。目の前であれよあれよという間に母が感心し納得し、弟が嬉々として高価で質の高いステレオで音楽を聴いているのを私は呆然として見るだけだった。

どうもこの弟の血を、ムスメは引いているらしい。中学時代はまだまっすぐスポーツブランドを着ていた。高校生になった。私は理不尽な親ではないので、女子高校生が何を着ているかにも注意を払ってはいた。何歳で携帯を持たせるかというのも、何歳でInstagramを始めるかというのも、同じ学年の80%がもうやってるのに、まだダメと禁止するような理不尽な親ではない。ムスメは高校1年生の3ヶ月間と、高校2年生の7ヶ月間コロナのロックダウンで学校に通わなかったから、ろくなものを着てない買ってないし、年齢的にもそろそろLululemonを許してもいい頃か、と思い始めた。

ある日、スポーツブラがキツくなってきたといい、Leggingsも傷んできたというので、じゃあ新しいのを買おう、となった。

「あのさぁ、ママ。Lululemon、高いってのはわかるけれど、私が今着てるのよりもちょっと高いくらいで、でもずーっと長持ちするんだよ。それにセールでも結構見つかるし。」

商品説明やCustomer reviewを読み、洗い方次第で超長持ち、ということを知ったらしい。実際、大好きなトレーナーのふわふわ感をできるだけ維持するために、ムスメは自分の洗濯は自分でしているから、私が彼女のLululemonだけ別に洗う必要もないとも言う。

うまい説得をされたな、と思うのは、ムスメと同学年の女子どもはLoveShackFancyというブランドで身を包んでいると言って、何度か写真を見せられた。数人組で一人の親が運転する車に乗り込み、NYCにあるその店で買い物しまくって、くるりと帰ってくるというではないか。私は車でなんて行かない。昔住んでいたマンハッタンはちんたら歩いてこそ、その良さがわかるのだと信じているので、電車に乗っていく。その価格をみてあっけにとられたのだが、それどころか一度行くと10着は買い込み、それを着回して写真撮って見せびらかし「きゃー、かわいー。貸して〜」とやり合っている、というではないか。

「これ、かわいいか?全然着たくない」とムスメ。

今年の流行一発で終わり的なデザインである。それでこの値段。一体、親は何を考えているのだ?

同級生がそんな調子だとすれば、Lululemonなんてカワイイもんである。加えて、私のファッション師匠のLoanも一押しのブランドなので、Lululemonは解禁とした。


シカゴに行くことが決まると、「ママ!シカゴにthe biggest Lululemonがあるんだって!」2階建てで、エクササイズができてカフェまでついているという。レンタカーがあるので、大学訪問の帰りに寄れることを地図で確認。

そして当日。

「きゃー、こんなにサイズが揃ってて、各サイズにこんなに色違いがあるなんて!」

口から泡吹き出さんばかりの大興奮。試着室にこもるムスメ。その外にあるベンチで休む母。

「生地がすっごくいいの。柔らかくて気持ちいい〜」

試着室から顔を出すムスメ。カーテンの中に首を突っ込むと、そこには水泳で鍛えた彼女の体の線をまるで裸体のごとく見せるスポーツブラとleggings。いやー、美しい。こういうムスメを見ていると、まるで自分の体型をすっからかんに忘れ、

私も、ソレ着たい!

となるのだが、これまでにそれで何度か失敗している。小柄なムスメは私よりも背は5cmほど低くて、基本サイズは一つ下なのだけど、肩が張ってるのでTopに限っていえばサイズは同じ。結果「やっぱりコレあげる。着ていいよ」となる。ウェストもふくらはぎも見事に締まっていて、太ももの筋肉も素晴らしい。さすが、スイマー。私の足とお尻では、こんなLeggingsははけない、ということで、今回はただ財布を握りしめた。

あまりに悔しいので、レジ待ちしてる時に、ゾロっと並んでいる小物の一つ、6色で$28のskinny scrunchieを手に取った。散々高い商品をみた後に小物を見るとついうっかり安いと勘違いしてしまう。でも私は冷静である。なんで髪ゴムにこんな値段がついているんだよ、と思っていたら、

「ママ、それね、Leggingsと同じ素材で作られてて合わせ目は縫ってあるから伸び伸びにならないよ。高いけど、二人で一緒に使えばいいじゃない?」

くそー、scrunchieで我慢するか。それにまたハメられた感じもするけれど。

"Thank you, Mommy."
あい。


ただただ好きで書いています。書いてお金をもらうようになったら、純粋に好きで書くのとは違ってくるのでしょうか。