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「もうダメ、疲れた。」→ここからが勝負!

 あなたは今、フリーウェイトエリアの中。
スクワット、オーバーヘッドプレス、もしくはベンチプレスをしているとしよう。
筋肥大を目的としているなら、
75〜80%1RM(最大挙上重量)で10回×複数セット
のプログラムデザインをしているだろう。実際これを真面目にやると中々キツイ。特に、2セット目後半6回を超えたあたりから、この弱音が、
聞こえ始める人も多いだろう。
そこで、「もう十分追い込んだ。あ3セット目からはドロップセット(ピラミッドシステム)でいくぞ!(前回のnote参照)」と”妥協”してしまうなら、
go big or go homeである。 
ここからが勝負なのだ。




Strengthをつける!


 Strengthとは強さ。つまり、筋肥大をし身体の物理的なスケールを高めること。その為には、身体にかける総負荷量(重量×回数×セット数)が鍵を握る。

そして、総負荷量(以後Volume)の構成因子の具体的な数字は、一般的に、
75〜80%1RM(最大挙上重量)×10回×3セット(またはそれ以上)
と言われている。(NSCAより)



 この根拠を考えたことはありますでしょうか。なんとなく言葉だけが先行していてなかなか疑問視する人は少ないかなと思います。
これは、「運動単位の動員」「サイズの原理」から説明されます。
 ここから、専門的になりますので嫌だという方には予め謝罪しておきます。

ごめんなさい。




いきます。

・運動単位:以前の『お腹に力を入れて!の本質』でもお話しした様に、骨格筋はは運動神経を介した脳または脊髄からの指令により働きます。
その「運動神経とそれに支配される筋線維」を一括りにした名称を運動単位と呼びます。 

運動単位=運動神経と、それに支配される筋線維

運動単位は、筋線維の収縮特性と疲労特性に基づいて4タイプに分類されます。
S(Slow-twitch つまり、遅い収縮)
FR(Fast-twitch fatigue Resistant  つまり、速い収縮で疲れの耐性あり)
FI(Fast-twitch fatigue Intermediate つまり、速い収縮で耐性はまあまあ)
FF(Fast-twitch Fatiguable つまり、速い収縮で疲れ易い)

さらに、筋線維は、ATPase(筋収縮に必要なエネルギーを作る為にはATPが加水分解される。その時の酵素)のpHに対する感受性の違いを基に4タイプに分類されます。
Type Ⅰ =S
Type ⅡA =FR
Type ⅡX =FI
Type ⅡB =FF

収縮速度は、FF>FI>FR>Sの順番
疲労耐性は、FF<FI<FR<Sの順番 となります。

・S型線維は収縮効率が良く、疲労に対する耐性があるが、
収縮速度が遅い為、発揮筋力は小さい。
・F型線維は、収縮効率が低く疲労し易いが、発揮筋力は大きい。


また、運動神経はというと、神経自体の太さ・大きさと、電気の抵抗値(通しにくさ)により分類されます。神経の大きさは、筋線維の収縮速度と比例し、
FF>FI>FR>Sの順になります。

ここで、動作の為には関節運動が必要で、筋の収縮活動が生じます。その際、運動神経の小さい運動単位から使われ、必要発揮筋力に応じて、大きい運動単位が動員していくという仕組みを「サイズの原理」と言います。

つまり、S型が先行し、必要に応じてF型が加わっていくというイメージです。


ここから実用的な話に舵を戻していきます。

筋線維のタイプは、個体差があり、遺伝的要素が強いと言われています。また、筋肉ひとつひとつ異なります。例えば、まばたきする速さでスクワットをすることは不可能だし、まばたきで100kgを支えるというのも無理です。(とてつもなく意味がわからない例えということは自覚しています。)。ウサインボルトにフルマラソンを走って世界記録を出せと言っても無謀だという様です。しかし、興味深いことに、SとFFに挟まれた、FRとFIはトレーニングよって変化しうるそうです。

S→FR↔︎FI→FF


またFFに近づくほど、筋線維の太さは大きくなるし、肥大しやすくもなります。筋肥大を目指すなら、Type ⅡBに近い線維を作り出す。その為には、強度の高い運動をし、運動単位の動員数を増やすことが重要です。
サイズの原理から、軽い重量ばかりでは、TypeⅠ・ⅡAで補えてしまい、Type ⅡBが動員されるに至らない。
重い重量を複数回行うことにより、TypeⅡX・ⅡBが動員されていきます。このようにType II型筋線維を強くし、F型運動単位を鍛錬することにより、耐久性が強く、発揮筋力が高い筋線維の割合が増えることがあります。
75〜80%1RM(最大挙上重量)の負荷でも、15回位できる人いますよね。


なんとなくイメージが湧いてきましたか。



ここで「もうダメ、疲れた」という言葉を言い換えてみます。
『TypeⅠ・ⅡAではもう無理だ。TypeⅡX・ⅡBここから頼むぞ!』


ここからが、TypeⅡX・ⅡBのトレーニングの始まりです。


終わりが始まり。オワリがハジマリ。セカオワ。つまりドラゴンナイトということです。

今年のハロウィンは控えめに。

最後まで読んで頂きありがとうございます。


次の記事では、各筋線維の特性を生かし、目標に応じたトレーニング方法について書こうと思います。