見出し画像

[ お爺ちゃんはスベらない ]:毎週ショートショートnote(壁に少々らっきょう)

↑↑コチラの裏のお題【壁に少々らっきょう】に参加しました。
今回も、相変わらずの文字数オーバーでノーエントリーでーす。


画像:キク/illustAC


[ お爺ちゃんはスベらない ]

 今日は、遺品の整理に、お爺ちゃんの家にやってきた。
 大好きだったお爺ちゃん。
 旅立ってからだいぶ経ったけど、まだまだ悲しい。
 でも、いつも笑顔でいたお爺ちゃん。
 僕が悲しんでたら、「ホラ、笑って」って絶対言うから、僕は泣かない。
 母さんと姉ちゃんも、悲しみを堪えてるのが分かる。
 二人とも無言で、黙々と片付けている。
「ん……なんだこれ」
 と、姉ちゃんがぼそりと言ったから、僕は何気なく覗き込んでみた。
「あっ、懐かしい」
 それは、お爺ちゃんが描いた絵の束だった。
「知ってるの?」
「うん」
 僕は紙の束を受け取り、ペラペラめくりながら話した。
「この家に初めて泊まったとき、怖くて怖くて」
「あ、初めて一人で泊まったとき?」
 母さんが声をかけて来た。
「うん」
 と、僕は頷いてから「怖い怖いって言ってたら、お爺ちゃんがコレを描いて家中の壁に貼ってくれたんだ」
「へぇー、でも、コレなに? なんかみんな笑顔なんだけど」
 と、姉が言う。
「玉ねぎだって、魔除けになるんだ、って言ってたよ。笑顔が並んでて、怖さも吹っ飛んだよ」
「そうなんだぁ、でも」
 と姉ちゃんは、一枚の絵を取り出し「玉ねぎの中に、たまに笑顔のニンニクもいるよ」
「えっ、それは気づかなかったなぁ」
 と、僕が言うと、
「えー、ニンニクじゃ、ドラキュラ避けじゃないの」
 と、母さんが楽しそうに言う。
「あ、なんだこれ、玉ねぎでもニンニクでもなさそうなやつがいる」
「それ、きっと、らっきょうよ」
 と、母さんは笑いながら「お爺ちゃん、らっきょうが大好きだったから、ついでに描いて、壁に貼っちゃったのかもしれないわね」
「あ、これ、らっきょうかと思ったら、なんかの叫びみたい」
「ムンクの叫びね」
 と、僕が言うと、
「魔除けの玉ねぎと、勘違いのニンニクと、らっきょうが少々と時々ムンク」
 と姉ちゃんが笑いながら言う。
    母さんも笑いながら「ムンクも笑顔で、いったい、なにから守ってくれるのやら」
 それを聞いて、僕も大笑い。
 母さんも姉ちゃんも笑ってる。
 こんな時でも、皆んなを笑顔にしちゃうなんて、
 お爺ちゃんは、スベり知らずだ。
「ホント、お爺ちゃんったら……おかしいね」
 母さんは少し涙目だけど、それでも楽しそうだよ、
 お爺ちゃん。
 


おしまい。


今回のお話とコンセプトが同じお話を見つけました。
↓↓コチラから、是非是非↓↓

実は、今回のお話の「らっきょうのムンク」は、上記の記事の「チズ」さんのコメントから、パクりました〜🙇
めいさん、あっての、チズさん。おふたりに感謝です〜😊♪

↓↓今回のお題ではないですが、チズさんの記事も是非に↓↓

↓↓今回の表のお題【スベり高等学校】はコチラから↓↓

↓↓先週の裏のお題【腋の薔薇時計】はコチラか↓↓


この記事が参加している募集

私の作品紹介

サポートしてくださると、ありがたいですー😊♪